8月20日放送の『モーニングCROSS』(MX系)に、作家の中谷彰宏氏が出演。中谷さんは番組で、働き方改革で注目される「生産性」という言葉について、生産性よりも「実際に大事なことは付加価値を作っていくこと」だと指摘した。
中谷さんは、付加価値は「便利、好き、そしてリスペクト」へと段階的に変化していくと指摘する。社会が発展途上だと、安くて機能が良いといった利便性が最大の価値になるが、その後発展していくにつれ、便利さの優位性は薄れていくと言う。(文:石川祐介)
「便利を極めて行くというのはAIなんです」
「好きって高級化していくんですよ。『車があったら便利』から『車が大きく見えます』みたいな。で、今度はビンテージカーとかみんなが持ってないとか、『俺はスカイラインを直しながら乗っている』みたいな、好みになっていく」
最近ではAIを活用し、労働者の生産性を高めようという風潮もあるが、「便利を極めて行くというのはAIなんです」と指摘した。
中谷さんによると、縄文時代の土器「火焔型土器」で、器の上部に4箇所飛び出ている部分に特に用途はなかったそうだ。当時の人々にとってこの突起は、利便性より一段階進んだ「付加価値」だったと言える。縄文時代は「古い」「遅れている」という捉え方をする人も多いが、付加価値の変化の過程を考えれば、この価値観は「ずれている」という。
「たった1人を代弁するという姿勢でないと付加価値は作れない」
次に、付加価値を作るための3つのポイントとして「マネできない」「たった1人を代弁する」「自分も嫌いじゃない」が重要と解説する。マネできない、とはつまりオリジナリティのことだ。「たった1人を代弁する」のは、「付加価値ってサイレントマジョリティだから、結局マイノリティに見える」ためだという。
確かに、画期的な発明や商品は、私達の予想できないものが多い。見込み客が計算できてしまう時点で、付加価値があるものとは言えなさそうだ。また、自分が気乗りしなくても儲けのために仕方なくやる仕事からは、付加価値は生まれないと言う。中谷さんは
「生産性を極めたところで付加価値が生まれる訳ではない。2つは真逆のところにある」
と語っていた。