WEC世界耐久選手権の2018/19年シーズン、通称“スーパーシーズン”の第3戦シルバーストン6時間レースで総合4位フィニッシュ。その後、トヨタ2台の失格により2位へと順位が繰り上がったレベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13・ギブソンを駆るアンドレ・ロッテラーに、同レースの裏側と次戦、第4戦富士6時間レースへの展望を聞いた。
6時間レースの終盤、レベリオン・レーシングの1号車R13は、トップを走るTOYOTA GAZOO RacingのトヨタTS050ハイブリッド勢から4周ほど遅れてはいたものの、なんとか表彰台を獲得してシルバーストン戦を終えることができそうだった。
その1号車は金曜日の走行開始直後に9コーナー(旧1コーナーのコプス)でブルーノ・セナが大クラッシュ。セナは右足首骨折のため以降の走行をキャンセルすることとなった。幸いマシンは翌日の土曜には直ったものの、走行時間不足はいかんともしがたく、予選ではジェンソン・バトンやビタリー・ペトロフ、ステファン・サラザンらを擁すSMPレーシングの2台に先行を許してしまう。
セナを欠いた決勝はニール・ジャニとロッテラーのふたりだけで6時間を走ることになったが、SMPレーシングの17号車BRエンジニアリングBR1・AER、そして僚友の3号車R13と長らく同一ラップで“ノンハイブリッド勢の首位”を争いながらレース終盤へ。“クラス優勝”は目前まで迫っていたのだ。
しかし、チェッカー残り30分を切って、1号車R13にはオレンジディスクが提示される。テールランプがつかなくなったことで、ウイングを含むリヤ周りの交換を強いられた1号車は、チームメイトの3号車R13に先行を許してしまう。
「彼らも同じ症状が出ていたけど、交換はせずに済んだ。僕らは交換した結果、表彰台を失ったんだ」と肩を落とすロッテラー。さすがに疲労の色は隠せない。
「ニール(・ジャニ)の後の最初のスティントはマシンバランスが(悪く、ドライブするのが)難しかったけど、2回目に乗ったときには好転していた」
■ロッテラー「EoT変更がまだ充分ではない」
「(今回投入した)ハイダウンフォース仕様はポールリカールでもテストしたけど、良くはなってきているね。ただ、まだサスペンション・セットアップの最適化を含め、やらなくてはならない作業はいっぱいあるよ」
今回はレース前にLMP1クラスに導入されているEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)が変更され、燃料流量や最低重量の面でプライベーターの、とりわけレベリオンらNAエンジン勢には追い風が吹くと思われていた。
そのEoT変更については「よい方向だけど、まだ充分ではない。燃料流量が増えたことによるパワーの増加と、ウエイトの軽さは少し体感できるよ。でも、トヨタとのギャップは依然大きい」
「僕らにはハイブリッド・ブーストがないから、トラフィックのなかで大きくタイムを失ってしまうんだ。彼ら(FIA/ACOフランス西部自動車クラブ)は、トヨタを遅くする必要があるよ」とロッテラー。
とはいえ、次戦はロッテラーにとって“第2のホームレース”である富士6時間レース。WEC富士の話になると、ロッテラーの表情は少し明るくなる。
「富士はたぶん、少し良くなるんじゃないかな。僕らは(使える燃料量がハイブリッド車よりも多いから)長いストレートではいいスピードを見せられると思うよ。少しはトヨタに近づけるはずだ」。
「もちろん日本に帰ること自体が楽しみだよ。去年の11月か12月を最後に、今年はまだ一度も戻れていないからね」
「たくさんの友達、館さん、トムスチームのメンバー、そしてもちろん日本のファンのみんなにも早く会いたい! いつだってWECの富士のレースは素晴らしいオーディエンスが来てくれるし、みんなに会うことを楽しみにしているんだ。日本が恋しいよ!」