2018年08月21日 10:12 弁護士ドットコム
ドライブをしていると、時折、気持ち良さそうに車の窓から顔を出すワンちゃんを見かけます。ネットのQ&Aサイトにも「うちの犬は車大好きで、楽しそうに外を見ている」「首を出しているときは、リードをしっかり握って事故が起こらないように気を付けています」といった声が複数ありました。
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一方で、高速道路などかなりのスピードが出ている場面で、窓や腕置きに足をかけて顔を出しているワンちゃんを見ると、「落ちてしまわないかな」と思わずハラハラする場面もあります。こうした行為に、法的に問題はないのでしょうか。(監修:大和幸四郎弁護士)
車の窓から顔を出すワンちゃん。よく目にする光景ですが、これは安全運転を義務づける道路交通法70条に違反する可能性があります。
条文では、「車両等の運転手は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められています。
犬が窓から顔を出した状態での運転は、他人に危害を及ぼす可能性があります。そのため、条文の「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」という文言に違反することから、このような行為は禁止されているのです。
道路交通法55条2項では、車の運転手は、運転手の視野もしくはハンドルその他の装置の操作を妨げるような積載をして車を運転してはいけないと定められています。犬を膝の上に乗せて運転をすることはこの場合にあたるので、認められません。
2012年には、山口県の県道で飼い犬を膝の上に乗せた状態で車を運転していた男性が道路交通法違反(乗車積載方法違反)で現行犯逮捕されています。男性が逮捕されたのは逃走の可能性があったためですが、違反した場合は普通車で反則金6000円のペナルティが課されるので、注意しましょう。
上記の法律に違反しないためにも、犬用のシートベルトを設置したり、輸送用のケージに入れるなどしたうえで、犬を助手席に座らせるなどの対策が必要です。犬の車酔いを防ぐために窓を開けるとしても、犬が窓から顔を出せる状態にしてしまうことは危険です。
このような対策を何もせず、犬を助手席に座らせて運転すれば、運転中に犬が操作の邪魔をしたり、窓から顔を出して他人に危害を及ぼしたりするおそれがあります。そうすると、違反とされる場合がありますので、かならず対策をおこないましょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。借金問題、刑事・男女問題など実績多数。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/