TCRインターナショナルにも参戦したアッティラ・タッシがR2で今季初優勝 8月17~19日にオランダ・アッセンで開催されたTCRヨーロッパ・シリーズの第5戦は、WTCR世界ツーリングカー・カップでの表彰台経験も持つダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR)がレース1で勝利を挙げ、国際格式レースで初勝利。レース2はオープニング早々に首位を奪ったKCMGのアッティラ・タッシ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)が今季初優勝を飾り、シーズン8人目の勝者となった。
週末はレーシング・デイと銘打ち、多くのカテゴリーと併催された旧TCRシリーズ系最高峰の1戦は、その開催を前にBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)の調整が発表され、プジョー308TCRが20kg増の1305kg、オペル・アストラTCRが10kg増の1325kg、そしてラーダ・ベスタTCRが20kg減の1335kgと車両重量が変更された。
またWTCRスロバキア戦で議論の的となったブースト圧についても全車両を対象に調整が行われ、即時に発効されることとなった。
その予選でポールポジションを獲得したのはTCRドイツ3連覇などの実績を持つ実力者、ジョシュ・ファイルズのFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRで、1分44秒522のファステストを記録。しかしタイトルコンテンダーのドゥサン・ボルコビッチ(ヒュンダイi30 N TCR)らと同様に、前戦ハンガリーでのペナルティが適用され3グリッド降格の処分に。
これで実質ポールには、TCRインターナショナル最後の王者としてBoPに苦しむアウディで奮闘するチームWRT、アウディスポーツ・レパード・ルクオイルのジャン-カール・ベルネイ(アウディRS3 LMS)が着くこととなった。
スタートで首位をキープしたベルネイに対し、後方3番グリッドスタートのナジーは力強いダッシュですぐさま2番手に浮上。その後もアウディのテールを執拗に追ったヒュンダイは、14周レースの5周目に複合コーナーで並びかけると、シケインの進入でインサイドラインを奪って首位に浮上した。
一方のベルネイは、初日に撤去されたいくつかの“かまぼこ型”縁石の影響でコースの攻略法が変わり「ターン5でスライドしたのが敗因だった」とエスケープゾーンに退避してポジションを譲ることに。
これでナジーは待望の国際格式初優勝。2.3秒差にベルネイが続き、最後の表彰台スポットにはターゲット・コンペティションのクリス・リチャーズ(ヒュンダイi30 N TCR)が入った。
続く日曜午前11時にスタートが切られたレース2は、選手権争いを展開するミケル・アズコナ(セアト・クプラTCR)と、5番グリッドスタートのタッシが躍動。
PCRスポーツのアズコナは、ポールスタートのスティアン・ポウルセン(セアト・クプラTCR)に対しアウトサイドから仕掛けてクリーンにパッシング。同じくタッシのFK8シビックも、スロースタートのジュリアン・ブリシュ(プジョー308TCR)やボルコビッチのヒュンダイを出し抜き、ワイドランを喫したポールセンも難なくかわして2番手に浮上する。
このまま後続とのギャップを広げにかかったアズコナ、タッシの2台は、2周目のターン10立ち上がりでシビックのパワーを生かしたタッシが前に出ると、4台によるタフな3番手争いを尻目に独走状態となり、そのままアズコナを従えて1秒差をキープしながらチェッカー。
後続はバトルの余波で接触やトラックリミット違反などの審議が続き、ベルネイやリチャーズがペナルティ裁定を受けるなか、ボルコビッチが最終的に抜け出し表彰台を確保することに成功。チャンピオンシップのダメージを最小限に留めると同時に、わずか2ポイント差でアズコナを再逆転し、ポイントリーダーの座に返り咲いた。
全7戦のシリーズも残すは2戦。次戦は9月22~23日開催のイタリア・モンツァ戦となり、ストレートラインスピードを巡って再びBoPのブースト圧議論が再燃する懸念も出ている。