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DOBERMAN INFINITYが語る、“DOGG YEAR”で培ったチーム力「新しい扉を開いた」

2018年08月20日 20:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2018年を“DOGG YEAR”と定め、全国ホールツアー『DOGG YEAR ~PARTY ON THE OFF ROAD~』を開催中のDOBERMAN INFINITYが、この夏、さらに勢いを増している。8月15日には真夏のアッパーチューンとして6thシングル『SUPER BALL』を、9月26日には映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』の主題歌となる7thシングル『YOU & I』を連続してリリースするだけではなく、9月23日には自身がプロデュースする音楽フェスティバル『D.Island 2018』を山梨県の国母公園特設ステージにて開催する予定だ。その精力的な活動の背景には、どんな変化があったのか。そして、対比的な作品に仕上がった2枚の新作は、どのような狙いで制作されたのか。蕩けるほど暑い日差しの7月某日、都内スタジオにて待ち合わせたメンバーたちは、いつも以上にハイテンションで、その笑顔には自信と喜びが見て取れた。(編集部)


参考:DOBERMAN INFINITYが語る、“OFF ROAD”の走り方 「苦難を乗り越える過程を楽しんでいる」


■GS「グループの芯が明確になった」


ーー現在行っているツアー『DOGG YEAR ~PARTY ON THE OFF ROAD~』の東京公演を観ました。音楽面でもパフォーマンス面でも、現在のDOBERMAN INFINITYのモードが色濃く感じられるライブでした。


KUBO-C:今年4月にリリースしたフルアルバム『OFF ROAD』は、表題曲からバラード曲まで、ライブで歌うことを想定して作っていたため、今回のライブの構成は我ながらうまくまとめることができたなと感じています。お客さんからの反応も思っていた通りの感じで、すごく手応えを感じていますね。


P-CHO:お客さんとの距離感もすごく近くなりました。ステージを降りて観客席を歩いたり、参加型のコーナーを作ったり、自分たちから積極的に皆さんに近づこうとしたことで、良い意味での変化が生まれてきたと思います。今回のツアーで、さらに新しい扉を開くことができました。


SWAY:以前は僕が先頭を切ってお客さんを煽ったりしていたのですが、最近ではメンバー全員がお客さんと濃密なコミュニケーションをするようになりました。P-CHOさんが煽るときもあれば、GSさんがタオルを回すアクションを求めたり、KAZUKIがMCをしたり、KUBO-Cさんが弄られたり(笑)。それぞれのキャラクターが明確になって、それがお客さんにも共有されている実感があります。DOBERMAN INFINITYとして活動を始めて約4年、チームとしてさらに強くなっていると思います。


ーーLDH TVの番組『DOBERMAN INFINITY「ツアー会場で罰ゲームするのは誰だ!ダメドーベルマンNo.1決定戦」』で罰ゲームを行うことになったKAZUKIさんの替え歌パフォーマンスも、新鮮で面白かったです。まさかKAZUKIさんがあんなにおちゃらけた姿を見せるとは。


KAZUKI:これまで、そういう部分は見せないようにしてきたのですが、罰ゲームとなれば仕方がないので、どうせやるなら100パーセントの力で挑もうと(笑)。最初は恥ずかしかったのですが、お客さんの反応があまりに良いので、結果的に良かったと思っています。また、今回は憧れだった上半身裸でのパフォーマンスができたのもポイントですね。R&Bならではの色気のある表現が好きで、いつかは挑戦したいと思っていたんですよ。それに、身体を皆さんに見せるのであればジムに通って鍛えなくてはいけないし、そういう意味で自分を磨くことにも繋がったと感じています。


ーー昨年度のツアー『TERMINAL』に比べて演出はシンプルでしたが、その分、メンバーの皆さんそれぞれがポテンシャルを発揮している印象です。


GS:お客さんにできる限り楽しんでもらおうと、これまでは足し算でライブを作っていたところがあります。しかし今回は、できる限り音楽の力だけで勝負をしようと、引き算を意識して構成を考えていきました。まずは音楽に乗せてメッセージをしっかり伝えることを考えて、シンプルに組み立てたことで、仰るように一人ひとりの個性が際立ったのかなと。罰ゲームの歌も、KAZUKIじゃなければできないクオリティの高さなので、ちゃんとエンタテインメントとして成立している。改めてDOBERMAN INFINITYというグループの芯が明確になる、そんなライブに仕上がっていると思います。


■KAZUKI「すべてがサビみたいなパワフルな楽曲」


ーー8月15日に『SUPER BALL』、9月26日に『YOU & I』と、2カ月連続でのシングルリリースです。まずは前者の表題曲「SUPER BALL」から、そのコンセプトや狙いを教えてください。


P-CHO:2カ月連続リリースになったのは偶然で、夏曲として「SUPER BALL」を準備していたところに映画『DTC -湯けむり純情篇- from HIGH&LOW』の主題歌のお話をいただいたという流れなのですが、結果的に良い感じで対比的な作品になったと思います。「SUPER BALL」は、DOBERMAN INFINITYらしくテンションの上がる夏の一曲を作ろうというところからスタートして、どんな方向性の楽曲にするか詳細を話し合っていたときに、KAZUKIがオケとトップラインを作ってきてくれました。そこに、SWAYが“SUPER BALL”というキーワードを付けてくれて、みんなでブラッシュアップしていった感じです。


SWAY:DOBERMAN INFINITYでどんな楽曲を作りたいか、僕は常にメモをしていて、そこにあったアイデアの一つがこの“SUPER BALL”というキーワードなんです。“SUPER BALL”って、バウンシーでカラフルで、天真爛漫な子供のイメージもあって、すごくDOBERMAN INFINITYに合っていると思うんですよね。楽曲のイメージも膨らみやすいかなと、みなさんに提案させていただきました。


KUBO-C:SWAYはよく歌詞のテーマやコンセプトを持ってきてくれるのですが、その閃きにはいつも関心させられます。加えて、今回はKAZUKIがトータルプロデュースも手がけてるんですよ。


KAZUKI:僕が最初に出したトップラインに対して、皆さんがすごく良いラップを乗せてくれたおかげで、この楽曲は良い方向に向かったと思います。最初から最後まで、すべてがサビみたいなパワフルな楽曲で、どんなラップを乗せるかでこんなにイメージが変わるんだって、改めて感じました。


GS:ラップのスタイルにも今回はかなりこだわっていて、ひとりでも多くの方に届けられるように工夫を凝らしています。日本語のラップには、早口で何を言っているのかわかりにくいとか、難しいというイメージがまだあるんですよね。でも、ラップだからメッセージを届けられないということはないはずで、逆にどうすれば聞いてもらえるのかをすごく考えました。具体的には、〈テンションいつもの倍の倍の倍 アクセル全開!!〉のように、シンプルな言葉の繰り返しや、わかりやすい脚韻(単語の後ろで韻を踏むこと)を強調することで、一発で覚えてもらえるようなキャッチーさを意識しました。K-POPのいわゆるフックソングに近い発想かもしれません。


KUBO-C:わかりやすいフロウをいつも以上に意識したことに加えて、バースでもフックと同じくらいのインパクトが感じられるように、言葉のチョイスやその言い回しにこだわっています。この辺りはKAZUKIプロデューサーのディレクションですね。一方で、リリックでは男心を率直に表現しているというか、欲求をそのまま言葉にすることに徹しました(笑)。


ーージャケットのデザインも、とても健康的なイメージですね。


SWAY:素晴らしい表現ですね(笑)。ジャケットの方向性についても今回はかなり話し合って、いろんな方向性のプランを練りました。最終的に、このような健康的なデザインに落ち着いて、見る人の想像をかきたてる仕上がりになったと思います。


KUBO-C:胸に手形の日焼け跡が付いているのがポイントですよね。かなり長い時間、手をあてがっていないとこういう跡は付かないはず。手をあてがっていた人物も、とても元気の良い方でしょう(笑)。


ーー2曲目の「HELLO」 は、ピースフルなメッセージに溢れた温かい一曲です。


GS:「HELLO」 は、ハワイ育ちのSUNNY BOYをプロデューサーに迎えて、老若男女を問わずに歌える楽曲を目指しました。前身のDOBERMAN INC時代のメンバーであるTomogenと、はじめてアメリカのアトランタに行った時、彼は現地のフレンドリーな文化に触れてすっかり楽しくなって、すれ違う人みんなに「HELLO! HELLO!」って挨拶しながら歩いていたんですよ(笑)。見知らぬ人にも気さくに挨拶を返してくれるのは、アメリカの素敵なところで、そういうフレンドリーさは見習いたいところです。もしみんながオープンな心で挨拶し合って繋がっていけば、今よりさらに楽しい毎日を送ることができるのではないかと思います。そういうメッセージを、この楽曲には込めました。


ーー3曲目の「GET UP AND DANCE」では一転、DOBERMAN INFINITYのストイックな一面を見せていますね。


P-CHO:この曲は、僕とR&BシンガーのJAY’ED、そしてトラックメイカーのNAOtheLAIZAの3人でやっているOLDMANWILDIN’という制作チームで作りました。「SUPER BALL」と「HELLO」というコンセプトの明快な曲があった上での制作だったので、良い意味で肩の力を抜くことができたのが良かったです。DOBERMAN INFINITYがもともと掲げてきた“オールラウンドヒップホップ”の精神を表現したもので、この楽曲があることで、芯の通ったシングルに仕上がったのではないかと思います。僕らは今、ホールツアーをやっているところですが、ドームクラスの会場でライブができるグループになるという初心を忘れているわけではありません。音楽を続けることで夢を叶えていくんだという決心を、改めて表明する楽曲です。


■P-CHO「リリックは何度も推敲しました」


ーー「YOU & I」の方は、ラップもすごくメロディアスで、「あの日のキミと今の僕に」のようなバラード曲を通過した今のDOBERMAN INFINITYだからこそ、作ることができた楽曲だと感じました。こちらもOLDMANWILDIN’のプロデュースですね。


P-CHO:『DTC -湯けむり純情篇- from HIGH&LOW』の主題歌ということでプレッシャーもありましたが、映画の中で伝えられているメッセージがすごくグッとくるものだったので、そのメッセージをさらに広げていく楽曲にすれば、自然と良い主題歌になるのではないかと考えて制作しました。ネタバレになるから映画の内容について詳しいことはあまり言えないのですが、仲間との友情や家族への愛を楽曲の中でも表現しています。また、曲を単体で聴いてもそのメッセージが伝わるように、リリックはメンバー全員で何度も繰り返し推敲しました。どんな方にとっても、人生と深くリンクする部分がある楽曲だと思うので、ぜひ聴いてみて欲しいです。


SWAY:P-CHOさんが全体の構成などを組み立ててくれて、僕らがそこに感情のラインをそのまま伝えるようなメロラップを乗せていくというやり方で制作しました。まさに「あの日のキミと今の僕に」などでやってきたことの集大成と言える楽曲です。


ーーKAZUKIさんの歌パートとラップの親和性もより高まっていて、ポップスとしても完成度の高い一曲だと思います。


KAZUKI:OLDMANWILDIN’の楽曲の歌パートは、JAY’EDさんがディレクションをしてくれるので、歌い手としてもやりがいがあります。仰るように、ラップとの調和も取れた楽曲で、DOBERMAN INFINITYの表現としてもさらに一歩進んだものになったのではないかと思います。


ーー映画の公開に先駆けて、9月23日には二度目の開催となるDOBERMAN INFINITY主催のフェスティバル『D.Island』が山梨県甲府市にある国母公園 特設ステージにて行われます。昨年はGSさんが中心となって同フェスを盛り上げていました。


GS:『D.Island』は、僕が提案したことに対して、メンバーのみんなが色付けをしてくれる感じで作り上げています。いわば、このフェス自体がDOBERMAN INFINITYの作品という位置付けなんです。音楽で繋がった様々なアーティストの方に出演してもらいますが、単にライブをする場所として作っているわけではありません。『D.Island』という空間自体が、DOBERMAN INFINITYの顔であり、心臓であり、手足であり……と、僕らの表現のすべてを味わってもらえるものになっています。DOBERMAN INFINITYというグループを知ってもらう上で、ある意味ではライブ以上に濃密なイベントといえるかもしれません。年に一度、一日しか開催しないお祭りなので、ぜひ足を運んでみてください。(松田広宣)