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決勝の鍵を握る上位のレースペースと2ピット戦略組。スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ予選《あと読み》

2018年08月18日 22:11  AUTOSPORT web

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持ち込みセットアップを外しながら予選Q3までに挽回した山本尚貴。7番手からレースに臨む
大きなトラブルもなく、快晴のもとでガチンコのタイムバトルとなったスーパーフォーミュラ第5戦ツインリンクもてぎの予選。Q2、Q3ともに上位3台の顔ぶれが同じで、ポールポジションは実質、石浦宏明(P.MU/CERUMO·INGING)、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの野尻智紀、松下信治の3人が主役となって争われた。その予選をドライバーたちのコメントで振り返りつつ、明日の決勝の展開を予想する。

 予選Q1では、唯一とも言える波乱が発生した。ポイントランキング4位の関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がQ1でノックアウトとなってしまったことだ。「乗り始めからクルマがオーバーステアで、ブレーキングポイントがどうしても手前になって、セクター1、セクター2で大きく遅れてしまった。それでもアタックの時に攻めましたが、1コーナーでブレーキングミスをしてしまいました」と、関口はアタックを振り返る。

 その関口はQ1でマシンをガレージに戻したあと、VANTELIN TEAM TOM’Sのサインガードに向かい、ジェームス・ロシターとお互い怪訝な表情で話し合うシーンが見られたが、「(自分が)ブロックをしたようなジェスチャーを受けたので、それを説明しにいきました。アタックの時に僕が1コーナーでブレーキミスで後ろとの距離が詰まってしまったけど、こちらもアタックを止めるわけにはいかなかったので」と関口。

 ロシターは手を大きく挙げるジェスチャーをしていたが、お互いの状況を理解し、その後は大きなトラブルにはならなかったようだ。ロシターは17番手、関口は予選16番手からのスタートとなるが、関口は「スタートとピットストップでなんとか前に上がって1ポイントでも稼ぎたい」と、決勝に向けての抱負を語った。ITOCHU ENEX TEAM IMPULは平川亮も予選9番手でQ2でノックダウンしており、関口とともに、このもてぎでは速さを見せることができなかった。

 ミディアムタイヤで行われた予選Q1でもうひとつ特筆すべきは、開幕戦の予選を彷彿とさせるように、松下が2番手に約コンマ5秒差をつけてトップタイムをマークしたこと。

 チームメイトの野尻も会見で「あのタイムは見えない」と驚く速さを見せたが、松下はむしろ「正直、特別なエキストラパワーでアタックしている訳ではない。予選Q1のミディアムタイヤから他のドライバーはQ2のソフトタイヤで1秒以上タイムアップしているのに、自分はコンマ5秒しか上げられていないので、これは改善したいですね」と、ソフトタイヤでの一発のタイムの出し方について反省のコメントを述べている。

■決勝レースの鍵を握るホンダの2台と、リバースストラテジー&2ピット戦略組


 その後、予選Q2、Q3では野尻、松下、そして石浦の3台が入れ替わりトップタイムを奪う展開で、Q3最後のアタックを決めた石浦がレコードタイムを更新して、今季初となるポールポジションを獲得した。

 一方、ランキング3位の石浦とタイトルを争うランキングトップの山本尚貴(TEAM MUGEN)は予選7番手、ランキング2位のニック・キャシディ(KONDO RACING)は5位とやや低迷したように見えるが、山本車を担当する阿部和也エンジニアによると「持ち込みのセットアップが全然合わなかったので、予選Q3に進めるとは思っていなかった。練習走行から予選に向けてセットアップを変えてQ3に行けたので良かったです」と、安堵の表情。

 山本とTEAM MUGENは苦しい展開のなかで望外の喜びとなったようだが、セットアップに苦労していることは間違いなく、決勝までにどのように修正してくるのか。チャンピオン争いのライバルであるキャシディ、石浦との順位関係は大きな見どころのひとつとなる。

 決勝の優勝争いに目を移すと、ポールの石浦に死角が見当たらない。むしろ、2番手の野尻、3番手松下は前戦の富士でもそうだったようにレースでのロングラン、タイヤのグリップが落ち始めてからのラップタイムの落ち込みがライバル陣営より大きく、ポールの石浦に対して大きなディスアドバンテージになる可能性が大きい。

 ロングランにやや難があるのはダンデライアンのクルマのセットアップなのか、それともホンダエンジンのドライバビリティとセットアップの組み合わせなのか、その原因はわからない。いずれにしてもロングランでの低速域でのリヤのグリップ不足は野尻、松下の課題になる。優勝を狙うために、野尻、松下としてはスタートで石浦の前を奪うのが理想的だが、果たしてどのような1周目になるか。

 レース戦略的にはソフトタイヤとミディアムタイヤのタイム差は1秒以上ありそうで、ミディアムタイヤのラップタイムが厳しくなるぶん、ソフトタイヤをいかに長く使えるかが勝負の分かれ目となる。上位グリッドのドライバーは1ピットの正攻法で臨むことは間違いなく、スタートでソフトタイヤを装着して、どこまで保たせられるかがポイントになりそうだ。

 その逆となるリバースストラテジー組、ミディアムタイヤでのスタートをどのドライバーが選択するのか。また、ピットロードの短いもてぎでは昨年の塚越広大(REAL RACING)のように燃料を軽めのスタートで2ピット戦略(ソフトーソフトーミディアム)を採用しやすい。オーバーテイクを連発して上位を目指すという戦い方も多くのチームで見られることになりそう。

 ピットストップ回数が多くなり、接戦となるとピットストップ時間も勝敗を分けるターニングポイントになる。今回からTEAM MUGENなど、このもてぎ戦から自動ジャッキを導入してきたチームも多いようで、今年のピットストップの重要デバイスとなっているチーム独自の自動ジャッキシステムにも注目してみたい。

 残り3レースとなった2018年シーズンのスーパーフォーミュラ。ランキング3位の石浦がポールポジションを獲得したことで、明日の優勝争いとチャンピオンのランキング争いがダイレクトに連動する展開になった。