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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『ペンギン・ハイウェイ』

2018年08月17日 20:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、今年こそ忘れられない夏にしたい、リアルサウンド映画部のお祭り男・宮川が『ペンギン・ハイウェイ』をプッシュします。


参考:宇多田ヒカルの主題歌に乗せて描かれる“ひと夏の冒険” 『ペンギン・ハイウェイ』SPトレーラー公開


■『ペンギン・ハイウェイ』


 『有頂天家族』『夜は短し歩けよ乙女』などの作品で知られる森見登美彦の同名小説を、気鋭のスタジオ“スタジオコロリド”がアニメーション映画化した本作『ペンギン・ハイウェイ』。


 現在公開中の細田守監督最新作『未来のミライ』や新海誠監督作品で知られるコミックス・ウェーブ・フィルムのオムニバスアニメ『詩季織々』、スタジオポノックの新プロジェクト“ポノック短編劇場”第1弾『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』(8月24日公開)、そして浜辺美波と北村匠海共演の実写版も話題になった『君の膵臓をたべたい』の劇場アニメ版(9月1日公開)など、今年も夏休みに合わせて話題のアニメーション映画が続々と公開されているが、このタイミングでついに真打登場といったところか。


 頭がいい小学4年生の少年、歯科医院に勤めるミステリアスなお姉さん、郊外の街に突如現れたペンギン、森の奥の草原に浮かんだ透明の大きな球体……。「誰にでも、忘れられない夏がある」のコピーそのままに、『ペンギン・ハイウェイ』を観終えた後に頭に残るのは、誰しもが過ごした“あの夏の日”のこと。もちろんこの映画の主人公“アオヤマ君”のような特別な体験をしたわけではないけれど、子供時代の夏の記憶が呼び起こされる。


 森見登美彦の原作の力、それを2時間のシナリオに落とし込んだ脚本の上田誠(ヨーロッパ企画)、これが劇場長編デビュー作とは思えない監督の石田祐康などスタッフの功績はもちろん大きいのだが、それに加えて声優陣が素晴らしい。ミステリアスな“お姉さん”の声を担当した蒼井優の演技がいいに決まっているのは当然としても、そんな“お姉さん”に惹かれていく少年“アオヤマ君”役の北香那の“声の力”には正直驚いた。年齢も性別も異なるキャラクターを何の違和感もなくここまで表現できるなんて。しかもこれが声優初挑戦だというから、今後の活躍にも期待してしまう。


 映画のラストを彩る宇多田ヒカルの主題歌「Good Night」のハマり具合もいい。映画を観終えて劇場を後にするとき、みんなの頭にはどんな夏が広がっていくのだろうか。(宮川翔)