フェルナンド・アロンソはマクラーレンからF1に参戦する傍ら、TOYOTA GAZOO Racingから2018/19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”に中嶋一貴、セバスチャン・ブエミとともに参戦。6月に開催されたル・マン24時間レースでは参戦初年度ながら見事優勝を飾り、アロンソが目指すトリプルクラウン達成に向け一歩前進した。
そんなアロンソがWEC第3戦の舞台となるイギリス・シルバーストンに登場。取材に応じ、ル・マンウイナーとしての心境を語った。
ル・マン24時間レースでの勝利は「いろいろな意味があった」とアロンソ。
「幸福感を味わったし、チームや、ル・マン前に取り組んできたことを誇りに思った。ル・マン24時間のような象徴的なレースで勝利したいと思っていたからね。だから、このプロジェクトに加わったしスーパーシーズンへの参戦を決めた。僕の人生にとって特別な勝利になった」
「ル・マンが終わった後、24時間レースを勝つにはどれだけの運が必要なのか感じたよ。接触を避けて、トラブルが発生しないように戦わなくてはいけないからだ。いろいろな要素が重ならないとル・マンでは勝てないんだ。(ル・マン)デビュー戦で勝てたことを心から誇りに感じているよ」
「今後、もう一度勝てるかは分からないから、すでに1勝を挙げたことは特別だし、勝利の余韻を味わっている。F1のシリーズチャンピオン獲得とは比較できない喜びだった」
また、アロンソはF1、ル・マン24時間に加え、2017年に参戦したインディ500、それぞれの雰囲気を尋ねられると、「現場の空気感や雰囲気に大きな違いはない」とし、以下のように続ける。
「外から見ると大きく違うように思うかもしれないけど、ドライバーの立場からは、(レース前に)ミーティングに出席し、ピットストップのトレーニングや前回のレースからステアリングの(ボタン配置などを)調整したりして準備を整える点は変わらない」
「だから、どのレースも大きな違いは感じないんだ。もちろん、どのレースも楽しんで戦っているけどね」
3人のドライバーで戦うル・マンと、ひとりきりで戦うF1の違いについても語った。
「どちらも面白さがあるよね。比較することはできないよ。F1はマシンの性能やエンジニアのスキル、マシンを完璧な状態に仕上げなくてはいけない。一方、ル・マンは完璧ではなく、平均的に速いポイントを探る必要がある。3人の妥協点をね」
「ル・マンでは4スティントを走りきって、マシンを飛び降りたあとはチームメイトを信じるだけだ。僕はシャワーを浴びてリラックスしていた」
「チームはアラゴンなどでのテストでマシン熟成を続けてきたし、チームメイトのカズキ(中嶋一貴)やセバスチャン(・ブエミ)は百戦錬磨のドライバーだ。だから全幅の信頼を置いていた。自分以外の誰かの走りを信じるというのは耐久レースならではのものだと思う」
「チームのメカニックたちも完璧な準備を整えていて、2台のマシンには24時間を通して一切の問題が起きなかったし、チームも信頼していた」
8月14日に事実上の“F1引退”を宣言したアロンソ。まずはWEC“スーパーシーズン”でシリーズチャンピオンを獲得することに集中するとしながらも、インディ参戦も噂されており、その去就に注目が集まっている。