世界で活躍するツーリングカードライバーを数多く輩出しているアルゼンチンの人気シリーズ、スーパーTC2000(STC2000)の第7戦オベーラが8月11~12日に開催され、タイトル奪還を期す2016年王者でワークスのシボレーをドライブするアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が、土曜の予選レース、日曜のフューチャーレースともに制し、選手権首位におどり出た。
クオリファイレースに向けた予選セッションでもポールポジションを獲得したカナピノは、前週にスポット参戦を果たした隣国ブラジルの人気シリーズ、SCBストックカー・ブラジルの“ミリオンレース”完走の疲れもみせず、スタートでも抜群の反応を示し見事にホールショット。
選手権のライバルであるTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラ)やルノースポールのリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)らを従えそのまま首位を快走すると、2周目にスピンオフを喫したファクンド・チャプル(シトロエンC4ラウンジ)のアクシデントや他車のエンジントラブルによる混乱にも動じず、9周のレースを走破してトップチェッカー。
一方、ディフェンディングチャンピオンのカーナンバー1、ファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)は、元WTCC世界ツーリングカー選手権レギュラーのネストール・ジロラミ(プジョー408)らとのバトルで6位が精一杯。
この結果、アルドゥソは今季初めてポイントリーダーの座から陥落し、11ポイント差でカナピノを追う展開で、日曜のフューチャーレースを迎えることとなった。
シーズン通例のローリングスタートではなく、今季2度目のスタンディングスタートでの勝負となった日曜決勝は、ポールから発進したカナピノが盤石のクラッチミートを決めて首位をキープ。1コーナーのアウトサイドからトヨタ・カローラのロッシが並びかけるものの、カナピノが絶妙なポジショニングでディフェンスラインをとり、これで実質的に勝負あり。
オープニングラップで2台のマシンがコースオフを喫しセーフティカー(SC)が出動となるも、リスタートでカナピノの位置を奪おうとする2番手ロッシに対し、今度は3番手ペーニャのルノーが仕掛ける展開に。長らく続いたバトルの末に、1コーナーでインに飛び込んだフルーエンスGTがカローラのオーバーテイクに成功する。
25周のレースも中盤を迎えたところで、タイヤ磨耗に苦しんでいたプジョースポール・アルゼンティーナのファビアン・シャナントゥオーニ(プジョー408)が、ピット作業を終えたところでマシンに異変が生じピット離脱が不可能となるアクシデントがあるも、上位勢は波乱なくそのままのポジションをキープ。
カナピノは2番手ペーニャとの距離をマネージして、0.573秒のギャップを維持して2日連続のフィニッシュラインへ。その約10秒後方まで離されながらも、トヨタのロッシが3位に入り、表彰台メンバー不動の週末となった。
このレースでも5位に終わった現王者のアルドゥソに対し、オベーラの週末で2勝を挙げたカナピノが133ポイントで首位に立ち、2位アルドゥソへのリードを21にまで広げることに成功。そのアルドゥソの24ポイント後方に、トヨタのロッシが迫っている。
次戦STC2000の第8戦は、9月1~2日にアルゼンチン中部最大の都市、サンタフェの市街地コースを舞台に開催され、土曜のクオリファイレースはナイトレースでの開催が予定されている。