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欅坂46、平手友梨奈“復活”で臨むMステへの期待 TV初披露の新曲「アンビバレント」注目点は?

2018年08月17日 13:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 欅坂46が、今夜放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で7thシングル表題曲「アンビバレント」をテレビ初披露する。本稿では、同放送のパフォーマンスの見るべきポイントをいくつか解説したい。


参考:欅坂46 菅井友香が語る、幾度の挑戦で芽生えた責任感と新たな決意 「パワーの源になりたい」


■復活した平手友梨奈の鬼気迫るダンス


 「平手ちゃんがいることですごく締まる」とキャプテンの菅井友香も先日インタビューで話していた通り(欅坂46 菅井友香が語る、幾度の挑戦で芽生えた責任感と新たな決意 「パワーの源になりたい」)、センターの平手友梨奈のパフォーマンスにまず注目したい。彼女の切れ味鋭い動きや、カメラが寄った時にふいに見せる狂気的な表情は、広いアイドル界を見渡しても唯一無二の存在感がある。また、ひとつの曲でもその日その日の気分で表現を微妙に変化させることも知られていて、二度と観られないこの日だけのパフォーマンスが目撃できるという楽しみもある。彼女がセンターに立つことで全体の見栄えがどう変わるのか、そして平手不在の間に一皮むけた他のメンバーの成長した姿も見られるだろう。


■各クリエイターの渾身の作品


 白い衣裳は、デビュー時からほぼすべての衣裳を担当している尾内貴美香氏によるもの。今回の衣裳は踊り易さ重視で、かつフォルムが柔らかく芸術的な印象を受ける。中性的で、攻撃性が薄く、ゆったりとした空気感の漂うコスチュームだ。


 人が重なり合ったり倒れたりする斬新な振り付けは、こちらもほぼ全ての楽曲のダンスを手掛けてきたTAKAHIRO氏によるもの。全員で合わせるところは合わせつつもどこかスタンドプレー的な動きをするセンターポジションなど、歌詞の世界観に寄り添った振り付けが特徴となっている。


 欅坂46の世界観を支えるこうしたクリエイターたちの技にも注目しよう。


■夏に対する独特の距離感


 楽曲面についても掘り下げたい。新曲は、アンビバレント=”相反する気持ちが同時にある様子”をテーマにした曲だが、迷ってうじうじと引き籠もるのではなく、みんなで盛り上がっているけれどどこか一人になりたい自分もいる、といったニュアンスだ。サウンドは軽快で明るく、MVではメンバーが楽しそうに踊っている姿も印象的である。


 そして面白いのが、この曲で歌われる夏に対する独特の距離感だ。〈ラブソングばかり流れるシーズン〉夏だから猫も杓子も猛ダッシュ〉といわゆるベタな夏のイメージに対する嫌悪感を口にする。2番に至っては〈太陽味方につけたような よくいるタイプの単細胞〉という痛烈な表現まで登場する。ところが、夏の象徴とも言えるサンバ調でコール&レスポンスが行われる場面もあり、”夏批判”なのか”夏礼賛”なのかどちらとも言えない作りになっている。そもそもこの曲自体、非常にダンサブルに仕上がっている。この曲の主人公は夏に盛り上がりたいのか、盛り下がりたいのか分からない。


 よって「アンビバレント」には、いわゆるJ-POPに多く存在する”夏曲”とは一線を画した佇まいがある。曲としては充分盛り上がるように作られているが、あえて人間関係の面倒さを歌ったり、一人になりたいと歌ったりすることで、既存の夏のイメージには一定の距離を置いている。つまり、”サマーソング”に対するカウンター的な要素を持ちながら、同時に楽しく盛り上がれるというバランスを保っているのだ。この新しいタイプのサマーソングの登場に、視聴者がどのような反応を見せるのか気になるところだ。


■メロディの特殊性


 AメロやBメロと比べてサビのメロディは低い位置を動く。とにかくサビが低い。〈孤独なまま生きていきたい〉〈だけど一人じゃ生きられない〉で最低音を記録する。サビで最低音を記録するのは代表曲「サイレントマジョリティー」や「不協和音」と並ぶ特徴で、欅坂46のトレードマークと言ってよいだろう。


 Aメロの〈ラブソングばかり流れるシーズン〉あたりの浮き足立つようなメロディ(主にここで”夏批判”が繰り広げられる)は非常に不安定のため、低いメロディを全員で歌うサビにはずっしりとした安定感を感じ取れる。不安定なAメロ、安定感のあるサビ。こうした楽曲面の対比構造にも注目だ。


■パフォーマンスは”一点モノ”


 もうすでにライブで何度か披露されているものの、欅坂46のダンスはしばしばライブバージョン、MVバージョン、テレビバージョンと存在し、どの振り付けが正解ということがない。まさに”一点モノ”のパフォーマンスになっている。


 衣装、ダンス、メンバーのパフォーマンス力、そして挑戦的な楽曲。こうしたポイントを踏まえて、Mステでの“一回限り”のパフォーマンスを目に焼き付けよう。(荻原 梓)