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『ハゲタカ』綾野剛の不屈の精神が人の心を動かす 総理大臣までも巻き込む最終決戦がスタート

2018年08月17日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日系)が、第2章に突入し、さらなる盛り上がりを見せている。


 鷲津政彦(綾野剛)率いるホライズンジャパン・パートナーズと飯島亮介(小林薫)が常務取締役を務める三葉銀行の戦いを描いた第1章は、第3話にて完結。第2章では、PCメーカー、ファインTDの社長・滝本誠一郎(高嶋政伸)との攻防を繰り広げ、昨夜放送の第5話では、滝本との最終決戦への幕が切って落とされた。


 2013年に放送された朝ドラ『あまちゃん』(NHK総合)の時から、そのあとの時間に続く『あさイチ』では、“朝ドラ受け”が行われるようになった。キャスターが変更になった今も“朝ドラ受け”は続いており、現在放送中の『半分、青い。』でも行われている。そして、木曜ドラマが終わったあとの、『報道ステーション』(テレビ朝日系)においても、富川悠太アナの受けが入ることが時折あるが、第5話の終わりでは鷲津の名台詞「私はまだ生きている」に触れていた。


 公式で名言集動画が作られるほどに、鷲津の名台詞は多く存在する。そのほとんどに共通するのが、死への覚悟。飯島に「死ぬこと以外かすり傷だ!」と咆哮した鷲津の父・花井淳平(小木茂光)は、大蔵省本館にて割腹自殺した。右腕であったはずのアラン・フジタ(池内博之)の裏切りによってホライズンを退くことになった鷲津は、「私はまだ生きている。これから宣戦布告です!」と新たなファンド「サムライファンド」を立ち上げる。その不屈の精神は、三葉銀行の隠し口座の存在を知りながらも、飯島にハメられ、自害することを選んだ父の思いをも継いでいる。


 芝野健夫(渡部篤郎)は、『ハゲタカ』において、第1章~第2章と物語のキーマンとなっている人物。三葉銀行を辞めたのち、企業再生のスペシャリストとして、“首切り屋”とも揶揄されながら、総合電機メーカー・あけぼのの再生担当執行役員を務めている。第5話では、芝野があけぼのの会長である新見(竜雷太)より、執行役員を解職されることとなる。それは、新見と滝本との結託の証であり、あけぼのとファインTDの統合を示していた。解職を言い渡された芝野は、「あなたはそれでも大会社のトップですか? 会社を私物化して、恥ずかしくないんですか?」「会社を瀕死の状態にしてることを自覚してるんですか? 権力と名声に振り回されている自分の醜さを理解してるんですか?」「はっきり言います。この会社を駄目にしたのはあなたです。あなたにあけぼのの未来を創ることはできません!」とまくしたてる。


 かつては、飯島の言いなりでしかなかった芝野が、瞳に涙を溜め、眉間にシワを寄せ、新見に意見する姿は、鷲津を彷彿とさせる。第3話の終わりに、三葉銀行を離れた芝野へ鷲津は「この国を守るために一緒に戦いませんか?」と声をかけていた。妻子を持つ芝野は、鷲津とともに歩む道を断ったが、その強固な鷲津の意志は、芝野にも受け継がれているように思える。


 サムライファンドとファインTDによる、あけぼの株の争奪戦の末に、鷲津は“現経営陣に対してNOを突きつける”あけぼのへのTOBを会見発表する。「あけぼのにとって確かな選択とは何かを問う戦です」と宣言する鷲津が敵対するのは、滝本、そしてあけぼのを腐らせた新見。総理大臣までをも巻き込む最終決戦は、第1章を超える最高潮の盛り上がりを見せそうだ。(文=渡辺彰浩)