STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権に参戦する強豪PWRレーシングは、2019年のWTCR世界ツーリングカー・カップ昇格を目指し、セアトの高性能車部門クプラとともに、クプラTCRをWTCRに投入するプランの検討を開始した。
2012年に創設されたPWRレーシングは、当時のSTCCとシリーズ分裂の末に誕生したTTAレーシング・エリート・リーグからモータースポーツ活動を開始。翌2013年にTTAとSTCCが合流して、新生スカンジナビアン・ツーリングカー・チャンピオンシップへと生まれ変わったあとも挑戦を続けてきた。
TTA時代からワンメイク・パイプフレームシャシーを製作してきたフランスのコンストラクター、ソリューションFのシャシーを活用し、2016年にはセアトとの提携でレオンのクーペモデル(セアト・レオンSTCC)をシリーズに投入。
2017年にはSTCCがTCR規定を採用すると同時に、シリーズの盟主だったボルボがワークス活動を終了。その余波で現役引退を決めていたボルボ・ファクトリー契約ドライバーのロバート・ダールグレンを説得し、ふたたびレースドライバーとして起用したチームは、創設メンバーのピーター“ポーカー”ウォーレンバーグとダニエル・ハグロフの目論みどおり、ダールグレンが初のドライバーズチャンピオンに輝くなど、大成功を収めることとなった。
セアト・スウェーデンのディーラーネットワークの支援を受け、PWRレーシング・セアト・ディーラーチームとして活動してきたレース部隊は、今季2018年のSTCCでもドライバーズ、チームズの両部門でタイトル争いをリードしており、チームオーナー兼レースドライバーのハグロフは、来季に向けたチームの持続的成長のステップとしてWTCRへの挑戦を明確な目標に掲げたいと、その希望を語った。
「そう、我々は来季に向けてそれ(WTCR)を視野に入れている。もちろん、メインのターゲットは今季のSTCCタイトルであることは言うまでもないけれど、その延長線上にWTCR参戦があると考えているんだ。我々の現状のリソースなら、そこでもきっといい仕事ができるはずだと思うよ」と、今季開幕にはドライバーズ選手権をリードしたハグロフ。
「昨年はロバートがドライバーズタイトルを獲得しているし、今季はチームタイトルを獲るとセアトに約束した。来年は、すでにセアトとともにSTCCで戦い続けると決まっているが、それ以外の可能性としてWTCRは論理的なステップだと考えている」
現在、チームはSTCCのシリーズでハグロフ、ダールグレン、ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー、そしてルーキーのフィリップ・モーリンと4台のクプラTCRを走らせている。このうちの2台をWTCRに参戦させるとして、すでにWTCRではふたつのチームがセアト・クプラTCRで活動しており、PWRレーシングと競合することになる。
とくに、そのうちのひとつであるスペインのカンポス・レーシングは、WTCRシリーズのタイトルスポンサーでもある金融企業オスカロのサポートを受けている。
またドライバーにはWTCC時代からツーリングカー一筋で活躍してきた24歳のペペ・オリオラを擁し、ワークスエントリーが認められていないFIAカップ戦のシリーズにあって、セミワークスチームともいうべきトップカスタマー待遇でエントリーしている。