フェルナンド・アロンソが、自らのツイッターで8月14日になんらかの発表を行うという意味のつぶやきを発したとき、それがF1からの事実上、引退を意味するものであることは、ある程度、想像していた。
じつは筆者は、アロンソに近い関係者と、ある交渉を行なっているのだが、その内容はアロンソが2018年限りでF1から引退したとしても不思議ではないことが容易に想像できたからだ。
今後の焦点は、アロンソがインディカー・シリーズへフル参戦するかどうかと、マクラーレンのシート争いだろう。
アロンソが2019年にインディカーへ転向する場合、所属先として最も有力なチームは、2017年にインディ500でタッグを組んだアンドレッティ・オートスポートとなる。その場合、懸念されるのがエンジンだ。
チームは17年の8月31日に「ホンダと複数年契約を交わた」と声明を発表している。つまり、少なくとも2019年もホンダ・エンジンを使用する。これにホンダが難色を示しているのではないかと言われているからだ。
ホンダのモータースポーツ部長を務める山本雅史も、今年のF1カナダGPでその件について、「インディカーシリーズについては、アメリカ・ホンダの子会社であるHPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)社長のアート(・セントシアー)が決断することなると思います」と前置きしながらも、「難しい判断となるでしょう」とコメントしていた。
ただし、それはマクラーレンがアンドレッティ・オートスポートと合同でチームを組んだり、マクラーレンのドライバーとしてアロンソがインディに参戦する場合の話。
■フェルナンド・アロンソがマクラーレンのドライバーのままだったら、インディ参戦は難しい理由
「インディはル・マン24時間レースやF1とともに、世界を代表するレースなので、F1でライバルとなっているホンダとマクラーレンが、インディで手を組むというのはグローバルな視点で考えると、非常に難しい判断となるでしょう」(山本)というものだった。
さらに、山本はいまでも「勝つために戦っているドライバーがマシンのパフォーマンスに対して不満を言うのは当たり前のこと」と2017年にアロンソが発したホンダへのバッシングは受け入れ、さらに「いまでもアロンソは素晴らしいドライバーだと思っている」と評価している。
つまり、アロンソがマクラーレンのF1のシートから降り、F1を離れるという決断をしたことによって、ホンダがエンジンを供給するアンドレッティ・オートスポートへアロンソが加入することに障害はなくなったのである。
いずにしても、2019年はF1を走らないと決定したアロンソにとって、2018年シーズンはひとまず最後のF1となる。ただし、日本でアロンソの勇姿を見られるのは、鈴鹿で開催される日本GPが最後ではない。その翌週に富士で開催されるWEC(世界耐久選手権)にもアロンソは参戦するからだ。
予告通り、8月14日に重大発表を行ったアロンソ。今後、さらなる発表を行う可能性は十分あり、まだまだ目が離せない。