グーグルが運営するサイト「Google re:Work(リワーク)」に掲載された、同社の採用方針に注目が集まっている。
企業の具体的な採用方針や基準などは、採用担当者以外に知らされることは多くなく、ましてや求職者に伝えられることは珍しい。ネットでは、「こういうふうにオープンなのもフェアでいいな」「効率的な採用」と評価する声が相次いでいる。
「失業期間があるという理由だけで不採用にするべきではない」
サイトでは、例えば面接について、こう説明している。
「たとえ採用に至らなかったとしても、応募者が面接をふりかえったときに、自分が質問にうまく答えられ、終始公平かつ誠実な対応を受けたと感じられる面接を目指しています。そうすれば、将来また応募してくれるかもしれませんし、知人にも応募をすすめてくれるかもしれません。逆に、気分を害するようなことがあれば、『悪事千里を走る』と言うように悪い評判はすぐに知れわたってしまうものです」
同社では、ボーダーラインぎりぎりで不採用になった人物の履歴書を再検討したことがあるという。一度、不採用になった人物でも、改めて採用する可能性があることから、
「不採用の人を含めすべての応募者に、この会社に応募してよかったと思ってもらうことが大事だということです。将来、彼らが有望な応募者になるかもしれないのですから」
としている。日本では、不採用通知がいわゆる「お祈りメール」のみで済まされたりすることもあるが、グーグルには、採用に至らなかった応募者も無碍に扱わないという姿勢があるようだ。
求職者と企業の最初の接点になる履歴書の選考では、「応募書類の完成度」、「定量化できる仕事のインパクト、貢献、実績」、「時系列が明らかな職務経歴」の3つに注目していることを明かした。特に職務経歴では、
「失業期間があるという理由だけで不採用にするべきではありません。研究によると、たとえ短期間でも失業経験のある応募者は不当に低く評価されるときがあることがわかっています」
と書いている。空白期間を不利に捉えられがちな日本企業と大きく異なる点と言えるだろう。
面接での難問・奇問は「一般的な認知能力と相関ない」ため廃止
同社ではかつて、
「ボーイング 747 の中にゴルフボールはいくつ収まりますか?」
「もしあなたが 5 セント硬貨と同じ大きさに縮んで、ミキサーに入れられたとしたら、どうやって脱出しますか?」
といった変わった質問を面接で聞いていたという。しかし、
「このような質問には、応募者が仕事でどのような業績を示すのかを予測することはほとんどできません。その理由の 1 つは、質問が的外れであるからであり(中略)もう 1 つは一般的な認知能力と、難問奇問を解くための能力との間に相関関係がないからです」
という結論になり、難問・奇問で応募者を評価することをやめたという。
サイトには他に、1人の面接官だけで判断するのではなく、4~5人の採用委員会を設けて合否を判断することや、面接担当者のトレーニングの必要性なども記されている。
ネットでは、自社や他企業の人事部に参考にしてほしいという声や、「採用プロセスを紹介するだけじゃなくて、要所要所に根拠文書がリンクされてるのが凄い」などと絶賛する声が多く出ていた。