ランボルギーニ・モータースポーツを率いるジョルジョ・サンナは、ブランパンGTシリーズなどのGTカーシリーズを運営するSROモータースポーツグループが提唱する新規定クラス“GT2”に興味を示していることを認めた。
7月末に開催されたトタル・スパ24時間でアナウンスされたGT2クラスは、現在WEC世界耐久選手権のGTカテゴリーとなっているLM-GTEクラスの前身と同じ名称を持つ新カテゴリー。その概要はアマチュアドライバー向けに製作される700馬力級のGTマシンを用いて、本格運用される2020年からブランパンGTシリーズ・スプリントシリーズなどでGT3クラスを補完するものだ。
既報のとおり、ランボルギーニは2019年シーズンに向け『ウラカンGT3』のエボモデルを開発していると見られているが、これと同時に今季デビューしたワンメイクレース車両『ウラカン スーパートロフェオEvo』のさらなる性能向上を狙ったアップグレードパッケージの評価も行なわれているという。
サンナはランボルギーニのGT2参入について「市販車ベースのV10エンジンで620馬力を誇るウラカン スーパートロフェオEvoにいくつかの改良を加えることで、新しいクラスの枠組みに入ることができる」と語った。
「我々は『(ドイツメーカーらの参入が相次ぐ)GT4に興味がない』と再三にわたって語ってきたが、これは現在も変わることはない。なぜなら、ランボルギーニ車と他のGT4カーでは同じライン上に立っておらず、競合が不可能だからだ」
「しかしGT2は違う。700馬力級の参戦車両が想定されるこのクラスでは、スーパートロフェオを新たなマシンのベースプラットフォームとして使うことができる。だが、まずは新GT2がどのように発展させていくのかをSROとともに理解しなければならないだろう」
■「今日のGT3とGT4のギャップは大きすぎる」
フェラーリやポルシェが同様にアマチュア向け新カテゴリーに興味を示しているなか、ランボルギーニは「競合他社がどのようなマシンを開発しようとしているのか。また、既存のスーパートロフェオとのバランスをとるために専用キットを使用することが可能か」といった疑問を解決していかなければならないという。
サンナは同社がGT2へ参入する場合、新たなクルマを開発する可能性は極めて低いことを強調しながら、既存のスーパートロフェオモデルがGT2にとってもっとも現実的なオプションとなるだろうと語った。
「スーパートロフェオの第1世代、また2018年にデリバリーを開始した同車のEvo仕様がヨーロッパ、北米、アジアなど世界各地で150台以上存在している。これらのクルマの空力性能とエンジン性能のバランスをとるために専用キットを備えたマシンをベースモデルとして使用できれば、ランボルギーニとして参入を考慮すると思う」
「我々はスーパートロフェオがジェントルマンドライバーにとって最適なパフォーマンスを提供している考えている。彼らは合理的なランニングコストでレースを楽しむことができているはずだ」
またサンナはGT3、GT4に続く新たなクラスには、充分な需要があると考えているという。
「(SROを率いるステファン・)ラテルが何を考えているかは私にも理解できる。今日のGT3とGT4の性能ギャップは大きすぎるんだ」
「ブリティッシュGTを見れば分かるとおり、GT3とGT4の混走は安全とは言えない。その点、スーパートロフェオやGT2カーであればジェントルマンドライバーがGT3カーの邪魔をすることなく安全にレースを楽しむことができるはずだ」