是枝裕和監督が総合監修を務めるオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の公開日が11月3日に決定。あわせて場面写真が公開された。
同作は、昨年日本公開された香港のオムニバス映画『十年』をもとに、日本、タイ、台湾の若手映像作家が10年後の社会、人間を描く国際共同プロジェクト『十年 Ten Years International Project』の日本版。早川千絵監督の『PLAN75』、木下雄介監督の『いたずら同盟』、津野愛監督の『DATA』、藤村明世監督の『その空気は見えない』、石川慶監督の『美しい国』の5作品で構成される。
公開されたのは、徴兵制が施行された日本を舞台にした石川慶監督の『美しい国』から太賀演じる渡邊の姿を捉えた場面写真。渡邊は徴兵制のポスターを手掛ける広告代理店社員で、デザインを一新するという防衛省の意向を、木野花演じる大物デザイナーに伝えることを命じられるという役どころだ。石川監督が、『十年』のラストを飾る同作のテーマに徴兵制を選んだ理由について語ったコメントも公開。
■石川慶監督のコメント
十年後、83歳以下の人は誰も戦争を知らない時代がやってきます。実質、戦争を覚えている人が社会からほとんどいなくなると言っても過言ではないのでしょう。話を聞きたくても、意見を仰ぎたくても、もうその人たちはいないのです。そう思うと、僕らはけっこう重要な転換期に生きている気がするし、たぶんとても重要な責任を負っているんだと感じます。でも僕は、次の世代に渡すべきバトンを何も持っていないことにただ愕然としてしまいます。“もう遅い / まだ間に合う”という香港版のキャッチコピーを重く受け止めつつ、“まだ間に合う”という思いを込めてこの短編を撮りました。