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欅坂46 菅井友香が語る、幾度の挑戦で芽生えた責任感と新たな決意 「パワーの源になりたい」

2018年08月14日 22:41  リアルサウンド

リアルサウンド

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 欅坂46が、7thシングル『アンビバレント』を8月15日にリリースする。


 同作は、前作『ガラスを割れ!』から約5カ月ぶりのリリースとなる新シングル。表題曲「アンビバレント」をはじめ、「Student Dance」(全TYPE収録)、“I’m out”(TYPE-A収録)、“ハッピーオーラ”(TYPE-B収録)、「302号室」(TYPE-C収録)、「音楽室に片想い」(TYPE-D収録)、「日が昇るまで」(通常盤収録)が収録されている。


 今年4月に行われた『欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』では、センター担当の平手友梨奈を欠いた状態でライブに臨み大成功を収めた欅坂46。さらに7月に富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催された野外ライブ『欅共和国 2018』では、グループ活動からしばらく離れていた平手が復帰し、大きな話題を呼んだことが記憶に新しい。


 リアルサウンドでは、欅坂46(漢字欅)でキャプテンを務める菅井友香にインタビュー。『アニバライブ』や『欅共和国』といった大型公演、坂道AKBでの他グループとの交流をきっかけに生まれたグループ内の変化をはじめ、“二律背反”を表現したという「アンビバレント」の制作秘話、そして8月21日に3周年を迎えるグループの現在地について、たっぷりと語ってもらった。(編集部)


■平手ちゃんがいることですごく締まる


ーー『欅共和国 2018』は4月のアニバーサリーライブ以来の単独ライブでした。アニバーサリーライブは平手友梨奈さんが欠席したことを受け複数のメンバーがセンターを担当し、それによって皆さんの中でライブの向き合い方や意識に変化が芽生えたかなと感じます。


菅井:はい、それはあると思います。


ーーそこを踏まえて、この『欅共和国』ではお客さんにどういうステージを見せようと思いましたか?


菅井:アニバーサリーライブを経て、メンバー一人ひとりが前より責任感を持つようになったと感じることが増えました。そのうえで、『欅共和国』は去年すごく楽しかった思い出もあったし、今年も絶対に成功させたいって気持ちがみんな強かったので、リハーサルに向けてエンジンがかかるのも結構早くて。わりと早い段階で、みんなと意識を共有できていた気がします。それに、久しぶりに平手ちゃんと一緒にライブをできることもあって、みんな嬉しがっていたし。もちろん今もメンバー全員揃ってはいないんだけど、平手ちゃんがいないライブを経験したからこそ、センターにずっと立ってきた平手ちゃんがいることによるワクワク感もありました。


ーー平手さんは『欅共和国』の前にまず、『THE MUSIC DAY 伝えたい歌』(※7月7日放送・日本テレビ系)でグループに復帰して「ガラスを割れ!」を披露しました。その後も音楽番組や『JUMP MUSIC FESTA』(※7月8日、横浜アリーナで開催)などでパフォーマンスしましたが、そういう活動を重ねることでグループとして熱量を高めているような感覚もあったんじゃないでしょうか?


菅井:もちろんどの現場も変わらず全力で、そのときのベストを尽くそうという気持ちでやっていたんですけど、やっぱり平手ちゃんがいることですごく締まるなと思いましたし、久しぶりにセンターに立って踊ってくれたときは「ああ、この感じがすごく懐かしいな」って気持ちになりました。アニバーサリーライブで違う子がセンターを務めたときも、「みんなにこういう一面があったんだ」とか「このセンターもすごくいいな」とか思うこともたくさんあったけど、表現力やパフォーマンス力に関してはやっぱり平手ちゃんは本当にずば抜けているんだなと実感することも多くて。もちろん頼りすぎてはいけないんだけど、でも「ずっと私たちを引っ張ってくれていたんだな」って感じて……どの曲も平手ちゃんセンターに合うように書いてくださっていると思うので、やっぱり平手ちゃんが真ん中に立つとしっくりハマるというか、本当に主人公なんだなって感じますね。


■集団行動は「シンプルだからこそ合わせるのが難しくて」


ーー『欅共和国』の話題に戻りますが、今年は3日間にスケールアップして、放水量もえげつないくらい激しくて(笑)。


菅井:濡れましたか?(笑)。


ーー高く放水した水が、時間差で後方にまで届いてしっかり濡れました(笑)。ライブ中はお客さん同様に、メンバーの皆さんからも自然と笑顔がこぼれてましたよね。もちろん笑顔になれる楽曲が多めにセレクトされていたのも大きいと思いますが、アニバーサリーライブと比較してとにかく笑顔が印象に残りました。


菅井:1曲目からすごく濡れる演出で攻めていたし、始まってすぐにお客さんもびしょびしょになったけど、メンバーも一緒にびしょびしょで、せっかく髪もキレイにセットしていただいたけど、それもすぐに崩れちゃったし、いい意味でどうでもよくなったというか(笑)。今が楽しければいいかなって気持ちで、自然と笑顔になっていました。ライブ中、移動で走ることが多かったんですけど、メンバーとすれ違うときもみんな笑顔で楽しそうだったし、自分も子どもに戻った気持ちで水をかけてました(笑)。


ーー野外ライブで、しかもスタート時はまだ明るかったのでお客さんの顔もよく見えたでしょうし。


菅井:「(水をかけられるのが)嫌だったらどうしよう?」と思っていたんですけど、皆さん積極的に「水をかけて!」ってアピールしてくださったので容赦せずに、なるべく遠くまで届くように水を振り撒きました(笑)。去年よりも大掛かりなセットを組んでいただいて、70メートルも飛ぶようなウォーターショットとかバブルマシンとか新しいアイテムが増えたので、大規模な野外ライブができるこの環境をありがたいと思いながら楽しみました。


ーーオープニングとエンディングでは、“集団行動”も披露しました。別のインタビューでお話を聞いたときに、あれが一番大変だったとおっしゃっていましたよね?


菅井:本当の集団行動はもっときっちり揃っていて、完璧にするまでには何年もかかるそうなんです。私たちは見本となる映像を観させていただいて「これ以上のものを作りたい」と言われてから練習を始めたので、最初はその難しさに戸惑いました。ただ一列に並んで歩くだけでも、一人ひとり身長も歩幅も違うから、合わせるのが本当に大変なんです。


ーーライブ中、スクリーンで上からの映像を観て思いましたが、形を一切崩さずに移動するのは本当に大変でしょうね。


菅井:動きの一つひとつが緻密に計算されていて、シンプルだからこそ合わせるのが難しくて。普段のパフォーマンスでも横一列に並んで合わせることが多いんですけど、そこは最初からずっと課題だったんですよ。なので、ここでの経験が今後にどんどん活かさせると思いますし、こうやってライブで新しいことにどんどん挑戦していくことで常に進化し続けていきたいなと思います。


ーーこの経験が、グループにより深みを与えてくれるかもしれませんね。


菅井:そうですね。いろんな引き出しが増えていくし、大変なこともあるけどやりがいを感じます。また、それによってライブに来てくれたお客さんが驚いてくれたり迫力を感じてくれたら、何より嬉しいですね。


■変化は必要だけど、今はまだ怖く感じることもある


ーー今年の『欅共和国』はセットリストが独特でしたよね。アニバーサリーライブはデビュー2年目に発表した楽曲が中心だったこともあって、『欅共和国』では久しぶりに披露した楽曲も多かったですし、曲順もかなり練られていて新鮮に楽しむことができました。なおかつ、アンコールでは従来の欅坂46の世界観が反映された演出もあり、笑顔とクールの二面性をうまく両立させられたんじゃないかと思います。


菅井:ありがとうございます。例えば「太陽は見上げる人を選ばない」は今までライブの最後にやることが多かったんですけど、今回はあえて中盤に持って来て。ちょうど太陽がいい感じの位置にあるときに、ひらがな(けやき坂46)のみんなと一緒に歌えたのは印象深かったですね。欅ってクールとかカッコいいって思っていただけることが多くて嬉しいんですけど、それだけじゃない爽やかな曲や一緒に騒げる曲もあるってことを『欅共和国』では伝えることができたんじゃないかなと思うし、普段とのギャップを見せられたんじゃないかなと。特に私は「僕たちの戦争」をパフォーマンスするのが好きで、あの場にぴったりだなって思うんです。ユニット曲だけど、ライブ中で良い役割を果たしてくれたんじゃないかな。


ーー「僕たちの戦争」や「AM1:27」は、もともとは少人数のユニット曲だったものをメンバー全員でパフォーマンスしたりと、新たな見せ方が増えましたよね。


菅井:それもライブの良さだと思うんです。でも、「AM1:27」のときは移動がすごく大変だったことが記憶に残ってます。センターステージから登場するので、みんなで花道の下を屈みながら必死で走って(笑)。今思えばちょっと笑っちゃうけど、そのときは曲に間に合うようにと必死でした。


ーーけやき坂46と一緒にライブをするのは去年の夏の全国ツアー以来でしたが、彼女たちの成長はどのように映りましたか?


菅井:ひらがなちゃんは去年の『欅共和国』の「誰よりも高く跳べ!」がすごく印象的だったんですけど、今年はさらに盛り上げ方がすごくて。ライブをたくさん経験してきたことで、さらに見応えのあるグループに成長していました。圧倒されちゃうぐらいの実力を付けていたし、煽りやMC含めてカッコいいなと思いました。あと、ひらがな2期生と同じステージに立つのは今回が初めてだったんですけど、みんな慣れるのが早いなと思って(笑)。


ーー自分たちと比べて?


菅井:はい。私たちはあの時期、もっと緊張していたし、いまだにうまく喋れないとかあるんですけど、2期生はすでに堂々としていて、すごく元気だなと感じました。グループの雰囲気も2期生が入ったことで少し変わって、漢字欅とは全然違ったものになったし。


ーー現在、坂道合同オーディションの最中ですが、漢字欅も新メンバーが加わることで空気感が変わるかもしれませんね。


菅井:どんな子が入ってきてくれるのか、全然想像できないんですけど……若い子が入ってきてくれたら、また活気づくのかな。3年近くずっとこのメンバーで活動してきたので、これからは変化することも必要かもしれないけど、今はまだその変化をちょっと怖く感じることもあって。でも、良い方向に進んでくれるのなら、グループの今後のためなのかなとも思いますし。いろんなメンバーの意見を聞くと、そこに対してちょっと複雑に感じている子もいるので。


ーーそう考えると、8月の全国ツアーが今のメンバーでライブをする最後のチャンスになるかもしれませんね。


菅井:そういう意味ではこの3年の集大成というか、今までやってきたことをすべて、ツアーにぶつけていきたいなと思っています。


■歌詞を読んで平手ちゃんと欅の関係性が思い浮かんだ


ーーちょうどオーディション最終審査の直前に、ニューシングル『アンビバレント』が発売になります。この曲は『欅共和国』最終日のダブルアンコールで、初披露されました。


菅井:選抜発表もまだしていない状態だったので、お客さんからどういうリアクションが来るかドキドキもあったんですけど、初披露することに対してはワクワクしていて。初めてお客さんの前でパフォーマンスしたことで、ライブで盛り上がっていただける曲だなって気づけました。


ーー本当にライブ映えする楽曲だなと思いますよ。サウンドのカッコよさはもちろんですが、歌詞もすごく“らしい”内容ですし。菅井さんは最初にこの曲をいただいたとき、どう感じましたか?


菅井:歌詞を読んで最初に、平手ちゃんと欅の関係性がまず思い浮かんで。と同時に、どんな人にも当てはまる内容だなとも思いました。どんなにみんなと一緒にいる時間が楽しくても孤独でいたいときもあるし、ひとりでいたいと思っていても人恋しくなっちゃうこともあるし。自分自身にもそういうときがあるので、みんなと一緒にいるのに心のどこかで孤独を感じたりとか、そういうどっちつかずな気持ちはきっと皆さんにも共感してもらえるんじゃないかな。MVでも社会の中のしがらみが表現されているので、この単純じゃない歌詞も含めてすごく欅っぽいなと思いました。


ーー前作「ガラスを割れ!」もそうですが、欅坂46の歌詞には自分自身の内面と対峙して、そこから外に広げていく、メッセージ性の強い歌詞が多いですよね。


菅井:確かにそうかもしれませんね。でも、この「アンビバレント」は自分と向き合いつつも曲調はちょっと明るくて、今までのダークさとはまた違っていて。そういう意味では、ネガティブな気持ちを吹き飛ばせる曲でもあるのかなと思います。


■MVとダンスで表現された“二律背反”


ーーMVは特に、途中途中に入る皆さんの笑顔がすごく印象的でした。


菅井:間奏の部分で、TAKAHIRO先生から「野生のゴリラになれ」って言われて、実際にゴリラみたいに踊ったのが楽しかったです(笑)。全体的にダンスは激しいんですけど、その激しい中にもちょっと主人公が大人になったからか、少しだけ女性らしい振り付けも含まれていて、そこは新しい一面かもしれません。


ーーそういう部分が、このシンプルな衣装にも反映されているんでしょうか?


菅井:そうですね。一応ズボンなんですけど、裾を持ってヒラヒラしたりとか。飾りのない衣装は、アイドルっぽくないかもしれないけど、すごく気に入っています。


ーーMVのオープニングでは皆さんが重なり合ってひとつになっていますが、あれはみんなでひとつの生命を表現しているそうですね?


菅井:はい。「みんなで重なり合ってひとつの生命体になって、一人ひとりが皮膚であり心臓である血管なんだよ」と言われて。そこから平手ちゃんは、その生命体の温もりから離れていくんですけど、でも途中で立ち止まって迷って、また最後は戻ってこようとする。そこに“アンビバレント”が表現されているなと思いました。


ーーなるほど。歌詞の世界観があの動きにすべて集約されていると。振り付けといえば、先日の『欅共和国』で披露したものと、MVの中とでは若干異なりますよね。


菅井:『欅共和国』で披露したバージョンでは、平手ちゃんがメンバー一人ひとりに触れていく振り付けがあって。ちょっと暗い気持ちで歩いていたメンバーに平手ちゃんが触れることで、すごく明るくなるんです。舞台の上で半分がすごく明るくて、半分がすごく暗い、その感情の変化もダンスで表現されていて、それが歌詞にある“二律背反”を表しているんです。あとは、アクロバットもみんな練習していて、それはまだ披露できるかわからないんですけど、いつかお見せできたらいいな。きっと「アンビバレント」のパフォーマンスは観るたびに違うものになっていくんじゃないかと思います。


■今だからこそ「基礎をちゃんと学びたい」


ーーカップリングの「Student Dance」も楽曲、MVともにすごくクールですね。


菅井:ちょっとアイドルっぽくないMVかもしれませんが、こっちもシンプルな衣装を着て、円形ステージの中でいろんなことが表現されていて。見る側と見られる側の気持ちが描かれていたり、歌詞は真夜中の学校で秘密で会う恋愛ソングになっていたりと、今までにない感じなんです。私は間奏の部分がすごく気に入っていて、ダンスをもっとカッコよくできたらいいなと思っています。


ーー「アンビバレント」も「Student Dance」もダンスの激しさが増していて、難易度もかなり高くなっているんじゃないでしょうか。


菅井:正直、ついていくのに必死です(苦笑)。ダンスに関してはスキルも見せ方も高い技術が求められるし、避けては通れないなと思っていて。曲を皆さんにどう伝えるかを大切にしてきたので、その伝える手段もより高いスキルを身に付けることで、より皆さんに伝わりやすくなると思うので、今後もっと頑張っていかなきゃいけないと思います。実は先日、坂道AKBでテレビ出演させていただいたときに、AKB48グループの皆さんと一緒になって(※『THE MUSIC DAY 伝えたい歌』にて)、本当にダンスが上手だなと感じたばかりで。


ーーほかのグループの皆さんと交流することで、刺激を受ける機会も増えていると。


菅井:はい。そのときは、皆さん女性らしいダンスが上手でびっくりしました。私は今までバキバキ踊ってきたので、そういうしなやかなダンスにも今後もっと挑戦しなくちゃって思いました。


ーー菅井さん自身はダンスを極めていくために、今何が必要だと思いますか?


菅井:やっぱり基礎をちゃんと学びたいです。最初は合宿をして基礎を教えていただいたんですけど、すぐデビューとなると毎回振り付けを覚えることに必死で。どんどんそれが重なってしまって、基礎がみっちり付かないまま振りが入っていく状況なので、やっぱり昔からダンスをやっていた子と比べると動きが全然違うんです。指先や膝の使い方ひとつを取っても違うなと感じることが多いので、しっかりと基礎を積む時間があったら嬉しいですね。


ーーいろんなメンバーにお話を聞くと、皆さん必ず「基礎をもう一度やりたい」と言うんですよね。


菅井:確かに。「もっとレッスンしたい!」って言う子も多いですし。ボイトレも含めて、ここに来て一度初心に返りたいという気持ちが強いのかもしれません。


ーー欅坂46は特にデビュー以降、ものすごいスピードで物事が進んでいますし、下積みや基礎を再び経験することで自信につなげたいという気持ちもあるんでしょうか。


菅井:そうですね。このスピード感もすごくありがたいことなんですけど、でも下積み期間もやっぱり必要だと思っていて。個人的にはそこが不安な部分でもあるんです。だからこそもう一度、最初の気持ちを思い出して、また足場を固めてここから再スタートしたいという気持ちもあります。


■この気持ちを知れたのは欅に入れたからこそ


ーー8月21日には欅坂46も結成3周年を迎えます。


菅井:あっ、そっか。3周年かあ……早いけど「まだ3年か」という気持ちもあるし、なんとも言えないですね(苦笑)。でも、人って3年ですごい変わるなと思います。


ーー菅井さん自身、この3年でどこが一番変わったと思いますか?


菅井:なんだろう……すごく変かもしれないけど、ちょうど昨日考えていたのが、すごく代謝が良くなったなって(笑)。ライブとかダンスとかするようになって新陳代謝が良くなって、体の巡りが良くなりました(笑)。


ーー(笑)。加入前とは、使う筋肉も全然違うでしょうし。


菅井:そうなんです。乗馬はしていたけど、それとはまた別の大変さもありました。でも、性格はなんだかんだあまり変わってないような気がするんですよ。「変わりたい」と思って欅に思い切って応募したんですけど、人ってそう簡単に変われないなと思ったし(苦笑)。今でも高校の友達や乗馬の友達に会うと、「何も変わらないね」って言われます。


ーーそうなんですね(笑)。そういえば坂道合同オーディションのCMでは、菅井さんバージョンも流れていましたが。


菅井:あれを観ると、自分のことが嫌になります(苦笑)。でも欅に入ってから、自分がこんなにも泣き虫だってことに初めて気づきました。それまで泣くほど悔しいこととか、泣くほど嬉しいこともそんなになかったし、この気持ちを知れたのは欅に入れたからこそ。自分の知らなかった感情とたくさん出会えて最初は戸惑ったけど、3年経っていろいろ新しい自分も知れたし、素敵な人とたくさん出会えて人生に彩りが増えたな、ありがたいなと思います。


ーー極端な世界に飛び込んだからこそ、感情を以前よりもストレートに出しやすくなったんでしょうね。


菅井:そうですね。特にライブではそれが顕著で、応援してくださる方が目の前にいらっしゃることが、すごく不思議だなって感じることがあるんです。皆さん、私たちのために電車賃とかチケット代とか体力とか使って会いに来てくださるわけですよね。そういうありがたさがあるからこそ、「来なくてもよかった」と絶対に思ってもらいたくなくて。心から「来られてよかった」とか「これで明日からも頑張れる」とか思ってもらえるようなライブにする責任が私たちにはあるし、そういうパワーの源になりたいんです。


ーーなるほど。


菅井:欅の楽曲には私たち自身もパワーをもらっているので、それを次は自分たちが皆さんに届けたい。去年の全国ツアーは悔しいことも多かったので、今年のツアーではこの1年の成長をお見せしたいんです。それに、初めて欅のライブに来てくださる地方の方にお会いできる貴重なチャンスでもあるので、どの会場でもその日できる最高のライブを大切にお届けしたいなって、今は気合いがばっちり入っています。


ーー楽しみにしています。最後になりますが、菅井さんの中で結成3周年を迎えるにあたり、また新メンバーが入ってくるこのタイミングに、今後こうなりたいといか、こういうことをしたいという目標はありますか?


菅井:欅は関東での活動がどうしても多くなってしまって、全国のいろんな場所にあまり行けていなくて。もっと欅坂のパワーを全国の皆さんに届けたいし、全国ツアーも今後はもっといろんな都道府県に行けたらいいなと思っています。あと、すごく大きなことかもしれないけど……去年の年末にメンバーと「いずれ海外でもライブができるようになりたいね」って話したことがあって。もっと力を付けて、いつかは海外でもライブをすることができたらいいなと思っています。


ーー海外という話は、初めて聞きましたね。


菅井:今まであまり言ってこなかったんですけど、そういう夢を持っているメンバーがいたことが、私はすごく嬉しくて。それは私もずっと心に秘めていたことなので。でも、まだまだ足りないこともたくさんあるし、そんな甘くないと思うので、ここからもっと成長できるように頑張っていきます。(西廣智一)