サマータイムの導入を巡り、自民党と国民の間の溝は開くばかりだ。自民党の船田元衆議院議員は8月13日、自身のサイトで、サマータイム導入の議論について意見を述べた。日本では戦後3年間、GHQの下でサマータイムを実施していたが、国民の反対の声が高まり中止になったと紹介した上で、導入を推進する立場を表明。
「長時間労働に対しては、既に動き始めた働き方改革により、かなりの歯止めが期待される」
「コンピュータなどの時間設定の変更は、律儀で真面目な国民ならば十分乗り切れるはずだ」
などと主張した。
サマータイム導入で、労働時間の長期化やシステム改修の負担が懸念される中、船田議員の主張には「戦時中かよ」「意味不明」「真面目に考えた上で書いてるならやばい気がする」など、ツッコミが殺到している。
「睡眠不足などによる健康障害問題は、個人の心構えで多くは解消されるはず」とも主張
ほかにも、「正気で書いたとは思えない(というか思いたくない)内容だ」「これは酷い。サマータイムや省エネ問題を何ら深く追求すること無く、最終的には精神論か」と、呆れ混じりのコメントが多く目につく。
「乗り越えなきゃいけないようなものを出してくるな」
「いや、逆やろ。 時間にルーズな国なら適当でいけるけど 秒単位の正確さ求められる日本で時間を突然動かされるのは、強烈なストレス」
中には「つまりサマータイムで体調不良になるやつは日本国民としての心構えがなってないってことですね」「精神論で乗り切れるならサマータイムを導入しなくても乗り切れるな」という皮肉もあった。
記事中で船田議員は、サマータイムを導入すれば、生活リズムの崩れで体調不良になるという世論に対し、
「睡眠不足などによる健康障害問題は、むしろ個人の心構えにより、多くは解消されるはずだ」
とも述べている。睡眠リズム障害患者会は、サマータイム導入について9日、「かろうじて社会についていっている睡眠リズム障害の睡眠相後退型の患者に関しては、死活問題となる」などを理由に反対声明を出しているが、こうした声は届いていないようだ。生体リズムを気合や根性で乗り切れというのは、無理な話である。
「温暖化防止のためにも導入すべき」という意見には懐疑的な見方も
記事の最後には「サマータイム制度が少しでも温暖化防止につながるのであれば、我々は躊躇することなく、この新制度に挑戦すべきではないのだろうか」と、温暖化抑制の面からもサマータイムを導入すべきだと主張していた。
環境省のパンフレットには、温室効果ガスの排出削減に「有効な手段の1つとしてサマータイムが注目」されていると書いてあるが、他国では、サマータイムの導入でかえってエネルギー消費量が増えたという報告もあり、温暖化を抑制する効果があるかどうかは判断が分かれるところだ。ネットでも
「温暖化防止になるという前提がまず疑わしい。みんな暑い時間帯に帰宅して冷房ガンガンつけるからかえってエネルギー消費が激しくなるんじゃねえの?」
という疑問が出ている。