日本ではいまお盆の最中だが、F1も現在、夏休み真っ只中だ。ただし、F1の夏休みは企業(チーム)によって定められた休暇ではなく、FIAのレギュレーションによって定められた強制的な休暇だ。
夏休みの間は、風洞やCFD(計算流体力学)といったマシンを開発部署や施設が閉鎖されるだけでなく、マシン開発に関係のない部署のスタッフを除いて、エンジニアやメカニックたちがファクトリーに出入りすることが制限されるだけでなく、メールによる情報のやりとりも、FIAによってチームのサーバがチェックされている。
2018年は、ハンガリーGP後からベルギーGPまで約3週間の中から2週間(14日間)と定められている。ハンガリーGPの後にインシーズンテストがあったため、多くのチームが8月6日(月)から19日(日)までを夏休みにあてているが、レッドブルなどのように土日の休みをあえてFIAの夏休みに組み込んで8月4日(土)からスタートさせ、18日(土)を仕事始めにするチームもある。
だが、レギュレーションによって2週間閉鎖されるのはF1に参戦しているチームで、各チームに部品などを供給しているメーカーは当てはまらない。例えば、チームにパワーユニット(PU/エンジン)を供給しているマニュファラクチャーに、レギュレーションを守る義務はない。
しかし、ルノーのレミ・タフィン(テクニカルディレクター/PU)によれば、「パワーユニットを開発しているフランスのビリーシャティヨンのF1部門で仕事しているスタッフは、車体を開発しているイギリスのエンストンのファクトリー同様、8月6日(月)から19日(日)まで夏休みを取る予定だ」と言う。
その理由は「F1のチームがFIAによって夏休みを取ることを強制されているのと同様に、PUマニュファラクチャーはそれぞれの国の労働基準法によって、然るべき休暇を取らなければならない。だったら、チームのファクトリーが閉鎖されている期間に合わせて夏休みを取ったほうが効率がいい」(タフィン)
ホンダもトロロッソ同様、8月6日(月)から19日(日)が夏休みとなっている。ただし、それはイギリス・ミルトンキーンズにある前線基地のHRD MKの話。日本の栃木県にある本田技術研究所 HRD Sakuraの夏休みは、本田技術研究所の規定によって定められた夏休みとなり、それはいわゆるお盆の8月11日(土)から19日(日)までの9日間となっている。つまり5日間だけだが、ルノーよりも夏休みが短い。
夏休みの取り方ひとつとっても、チームや企業による工夫や違いが見られるF1。それはF1の戦いは開発スピードの戦いでもあるからだ。
もしかすると、夏休み中に、ファクトリー以外の場所で仕事しているチームスタッフがいないとは限らない。なぜなら、FIAはそれを監視することもできなければ、それを罰する規定もないのだから。