ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)が、MotoGP第11戦オーストリアGPで今季3勝目を挙げた。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)と最後まで繰り広げた接戦を制しての優勝。ロレンソにとって「キャリアのなかでもベストなレースのひとつ」と語るほど、会心のレースだった。
オーストリアGPの決勝レース、フロント、リヤともにソフトタイヤを選択したロレンソ。ロレンソがレース前に立てた戦略は「前回のブルノ(チェコGP)と同様にタイヤを労わって後半で勝負する」ものだった。そのため、ロレンソはレース序盤から中盤にかけて、タイヤに優しいライディングを心掛けた。
ロレンソはレース序盤に飛び出したマルケスから約1秒差以内の2番手で周回を重ね、一方で3番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)を抑え続けた。ドヴィツィオーゾはレース中盤までロレンソにテール・トゥ・ノーズで迫っていたが、ロレンソをパスしようとプッシュしたあまりリヤタイヤを使いすぎてレース終盤に失速した。
ポールポジションスタートのマルケスも、ドゥカティがレース終盤に追い上げてくるだろうと考えていた。そのマルケスは序盤からプッシュする作戦を採り、フロントにミディアム、リヤにハードというタイヤ選択。ロレンソとはタイヤ選択が分かれていた。
レース終盤、ロレンソはじわじわとマルケスの背後に迫ると、19周目にマルケスをオーバーテイク。そこから最終ラップまで、ロレンソとマルケスは激しいトップ争いを展開した。
「信じられないようなレースだった。これまでの自分のキャリアの中でもベストなレースのひとつだろう。とにかくすごいレースだった」
最終ラップまでもつれた優勝争いを振り返り、ロレンソはそう語った。勝負を決めたのは、最終ラップの3コーナー。トップで3コーナーに飛び込んだロレンソは、続くマルケスにインを突かれる。しかしロレンソはコーナー立ち上がりでドゥカティの加速を利用し、トップを守った。
「マルケスとのバトルで、彼をパスすることは難しいことがわかったので、デスモセディチGPの加速性能を最大限に活かして勝負する戦略に切り替えた。これが見事に功を奏した」
同時に、ロレンソはタイヤのマネジメントにも成功していた。「レースのカギはリアタイヤ。最後まで上手くタイヤマネジメントができた」とmotogp.comのなかで語っている。レース終盤のために温存していたタイヤが、最後の激しいバトルを生んだ。
「マシンは、レースを重ねるごとに良くなっているので、今後のレースで何度も優勝争いができるだろう」
レース後にそう語ったロレンソ。戦略とタイヤマネジメントでもぎとった今季、そしてドゥカティでの3勝目だった。