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MotoGP第11戦:マルケス、終盤に向けハードタイヤを選択するも「ロレンソを抑えられなかった」

2018年08月13日 17:21  AUTOSPORT web

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世界最高峰の二輪ロードレースにふさわしいクリーンなバトルを演じたマルケスとロレンソのふたり
MotoGP第11戦オーストリアGPで2位表彰台を獲得したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。最後までホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)と激しい優勝争いを展開したマルケスは、レース終盤に向けたタイヤ選択と戦略でレースに臨んでいた。

 予選でポールポジションを獲得したマルケス。2番手にはドゥカティ・チームのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、3番手にはロレンソが続いていた。オーストリアGPが開催されたレッドブル・リンクはドゥカティが強さを見せているコース。マルケスはこのふたりに対抗すべく戦略を練っていた。

 ロレンソがウオームアップ走行でゆっくり走っていたのを見たマルケスは、ロレンソは序盤にプッシュしたくないようだと考えた、とmotogp.comのなかで語っている。加えてマルケスは、タイヤのグリップが落ちるレース終盤にドヴィツィオーゾとロレンソが速くなることをわかっていた。

 そこでマルケスは、レース序盤にプッシュする戦略を採った。同時にフロントにミディアムタイヤ、リヤにはハードタイヤを選択し、レース終盤に備える。ハードタイヤを選択したのは、全ライダー中マルケスだけだった。

 レース中盤まではほぼ、マルケスの思惑通りの展開だったと言えるだろう。オープニングラップこそロレンソに先行を許したが、2周目の3コーナーでトップを奪還すると、2番手のロレンソと3番手のドヴィツィオーゾとの差を広げるべく周回を重ねた。その差は一時、約1秒にまで広がった。

 しかしマルケスが語ったとおり、終盤には2番手のロレンソが再びマルケスに迫る。前後ともソフトタイヤを選択したロレンソも後半が勝負だと考えており、中盤まではタイヤをもたせるライディングで周回していた。

 そして19周目には、ついにロレンソがマルケスをとらえる。ここから最終ラップまで、マルケスとロレンソは何度もオーバーテイクを繰り返し、激しいトップ争いを展開した。

 3コーナーのブレーキングでは何度もロレンソのインを突いたマルケスだったが、ストレートの加速でロレンソに置いていかれた。最終ラップでも3コーナーで勝負を仕掛けたマルケス。しかしコーナー立ち上がりの加速でトップを守ったロレンソに次いで、マルケスは2位でチェッカーを受けた。

「すばらしい戦いだったよ。トップを守ろうと、ラインを変えたりもした。けれど、ロレンソを抑えることは不可能だった。このサーキットではドゥカティがとても強い。特にストレートがね。こういう状況では、最善を尽くすしかない。けれど、僕たちもブレーキングやコーナー進入では強みがあった」

 パルクフェルメに戻ったマルケスは、激しいバトルを演じたロレンソとお互いの健闘をたたえ合う握手を交わした。マルケスの表情は、戦いに満足したようにさっぱりとしていた。

 マルケスが満足したのはバトルはもちろんのこと、チャンピオンシップを考えたときにこの結果が充分なものだったからだ。

「ここ数戦では常に表彰台に立っている、これはとても重要なことなんだ。ロレンソに対しては5ポイント失っただけ、(ポイントランキング2番手の)バレンティーノ(・ロッシ)に対してはさらに差を広げることができた。この結果には満足しているよ」

 マルケスは今季、オーストリアGPまででポイント獲得を逃したのは僅かに2戦だけ。速さと強さ、そして安定を備えるディフェンディングチャンピオンが、このまま2018年タイトルに向け独走することになるのだろうか。