夏の高校野球では、試合に負けた球児たちが甲子園球場の砂を集め、持ち帰る様子が度々報じられる。毎年おなじみの光景だが、持ち帰った後の使い道を疑問に思っている人は多いのではないだろうか。
こうした中、フリマアプリ「メルカリ」には、甲子園球場の土が出品されている。数百円から数千円まで価格は様々だ。
「自分で入れたので100%本物です」「甲子園に出場した先輩から頂きました」
8月13日現在、十数件以上出品されている。「甲子園第85回記念大会に出場し、敗退した際に実際に持ち帰ったものです。三塁側ベンチ前の土です」という紹介文付きで、「甲子園」の名前が入った瓶に詰められているものは栃木県からの出品。3500円で取引されていた。
同じく栃木県からの出品で「2001年(第83回大会)当時、甲子園に出場した先輩から頂きました。大切に保管していましたが、入れ物の瓶には少し傷がついています」という1000円の土も、既に売り切れていた。
現在開催中の第100回記念の土だと説明する品もある。「惜しくも甲子園に行けなかった球児、応援してくれた方、記念にいかがでしょうか」と呼びかけていたこの品は、13日14時45分時点でまだ買い手が付いていない。
2014年の90回大会で記念品として配布された、球場の砂が入ったバッジやキーホルダーの出品は特に多い。バッジは1000円から2000円台、キーホルダーは数百円から1000円台の出品で取引が成立していた。
このほか「平成10年松坂世代の時に出場した時の甲子園の土です。自分で入れたので100パーセント間違いなく本物です。当時のスパイク入れに入れた物をそのままお渡し致します。結構な量入ってます。当時出場した時の記念盾で確認できると思います」というものもあった。熊本県からの出品で、送料込みで750円。こちらも取引成立していた。
かつては同じ配合の土に注文殺到し販売中止になったことも
ネットでは「そもそも本物かどうか分からない」という声や「買ってどうするんだろう?」という疑問も出ている。「甲子園の土持って帰るのって、高校球児のロマンじゃないのかよ……」「なんだか虚しい」とがっかりしている人もいた。
球場のグラウンド整備を行う阪神園芸は2010年8月、球場の土と同じ配合の土「甲子園グラウンドキーパーの土」を、15リットル入り1袋2310円で発売している。「雨天や強風の際に流出するグラウンド土を適宜補充し、グラウンドを最善な状態にしていただくため」という理由での販売だったが、甲子園球場と同じ配合という点に魅力を感じた消費者から「記念に欲しい」などの声が殺到。発売後数日で、個人向け販売が中止になった。同社担当者によると、「現在は業務用に、大口の注文のみで販売している」という。
メルカリやヤフオクで購入後、土をどのように保管・利用するのかは不明だが、高校野球ファンや、甲子園を夢見た人達にとっては、甲子園の土への思い入れはやはり特別のようだ。