31号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND5 富士スピードウェイ
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
8月4日(予選) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万2100人
8月5日(決勝) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万8300人
64kgのハンデもなんのその! 予選11番手から3位でゴール、今季3度目の表彰台へ
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの第5戦、『FUJI GT500 mile RACE』が富士スピードウェイで開催された。今年もaprは2台のトヨタ・プリウス ZVW51を走らせ、#31 TOYOTA PRIUS apr GTを、新たにコンビを組むことになった、嵯峨宏紀選手と平手晃平選手に託すこととなった。
開幕戦こそリタイアを喫した#31 TOYOTA PRIUS apr GTながら、第2戦以降は入賞を重ね続け、ついにランキングではトップを5ポイント差で追う2位にまで浮上した。
それがゆえに名誉の勲章でもあるウエイトハンデは64kgにまで達してしまったからには、一発の速さを競う予選では苦戦を免れそうもない。しかしながら、今回はレース距離が300kmから500マイル(約800km)に延長され、今年いちばんの長丁場となったため、戦術の駆使によって十分に勝負権ありと予想される。ここまでも予選より、確実に決勝で順位を上げてきたことが、何より強い根拠。一躍トップ浮上も、決して夢ではない。
公式練習 8月4日(土)8:40~10:25
このところ全国各地で猛暑が伝えられるが、この週末の富士も例外ではなく、非常にハードなコンディションのなかでの走行開始となった。最初に#31 TOYOTA PRIUS apr GTに乗り込んだのは、嵯峨選手ではなく平手選手。というのも、公式練習を前に嵯峨選手は左足を捻挫してしたからだ。
そのため、今回は平手選手がなか心となってセットアップが進められていった。途なか2回の赤旗なか断があり、最終的には公式練習が10分間延長されるが、それほど長くピットに止まらずに済んだのは、持ち込みのセットから微調整のみ施せば良かったため。また、今回のレースは長丁場ということもあって、決勝重視に専念できたことも輪をかけた。
ほぼ折り返しのあたりで平手選手は1分38秒915をマークして、その時点での10番手につける。嵯峨選手が乗り込んだのはGT300単独セッションの直前から。先にも述べたとおり左足の痛みを訴える嵯峨選手は全力でブレーキを踏めずにいたが、それでも1分39秒483をマーク。続いて行われたサーキットサファリでは要領を覚えたのだろう、最後に1分39秒028を記録していた。
公式予選Q1 8月4日(土)14:35~14:50
非常に高い温度での走行を覚悟していた予選ながら、薄い雲が日差しを遮ってくれたのか、気温は31度、路面温度は44度と、想像していたよりは低め。しかし、それでもレンジから外れなかったのだから、今さらながらにブリヂストンのタイヤの、懐の深さを感じさせられた。
今回のQ1担当は平手選手。入念にウォームアップを行なった後、最初のアタックで1分38秒232をマークするも、まだまだ行けると判断した平手選手は、さらにコースを果敢に攻め立てて1分38秒232にまで短縮を果たす。そしてチェッカーを待たずにピットイン。終了間際にタイムアップした車両もあって、走行終了時の4番手からは順位を落としたとはいえ、トップからコンマ2秒遅れの6番手で、難なくQ1突破を果たすこととなった。
公式予選Q2 8月4日(土)15:20~15:30
Q2を担当したのは嵯峨選手ながら、まだ左足の痛みは治まっておらず、本調子ではなかった。それでも、まず1分38秒504を記録し、もう一発と攻め込んでいった嵯峨選手は、セクター1、セクター2で自己ベストを更新し、タイムアップを予感させたものの、セクター3で残念ながら左足が音を上げて1分39秒545を記すに留まった。
その結果、11番手、6列目からのスタートとなった#31 TOYOTA PRIUS apr GTながら、長いレースを思えば、少しも絶望的なポジションではない。むしろ、決勝レースで次第に順位を上げて来てくれることが期待された。
嵯峨宏紀選手
「すみません……自分のミスで前日に左足首を捻挫しみなさまにご迷惑をおかけ致しました。ブレーキ時にどうしても痛みが走り微妙な調整ができず、予選を失敗してしまいました。明日は、長丁場のレースですしマシンのバランス、タイヤも最高の状態なので足の痛みを気にせず全力で上位を目指します」
平手晃平選手
「64kgの重さが効いてしまいマシンバランスは厳しいと思い挑んだのですが、予想以上にブリヂストンタイヤのパフォーマンスが高く、それにマシンセットもキッチリと合わせてくれたことでQ1突破ができました。明日の500㏕は、この64kgがどう響くか未知数ですがドライバーで6位以上を目標に、そして作戦を駆使しチームワークで表彰台に立ちたいと思います」
金曽裕人監督
「11番の予選順位でも500㏕のロングレースならば、上位を狙える可能性はある。その為にも、ドライバー冷却関係、ピット作業などのミスは厳禁。確実なレース戦略を組み立て、チーム力で少しでも大きなポイントを明日は狙いたい」
決勝レース(177周) 8月5日(日)13:30~
決勝レースのスタート進行の始まりと同時に行われる、20分間のウォームアップは、スタートドライバーの平手選手から走行が開始された。ベストタイムを1分40秒075に、決勝想定の1分40秒台で2周しっかりまとめてきたのは見事の一言。
その後に嵯峨選手が乗り込み、2周計測。だいぶ左足の痛みは治まってきたとのことで1分40秒394を記すまでに。不安要素はかなり薄らいだと言えるだろう。スタートをそつなく決めた平手選手は、オープニングラップのうちにひとつポジションを上げて10番手に。3周目にももう1台をかわして、まずは上々の立ち上がりとなった。
7周目、8周目と、上位に早々とドライバー交代を行った車両があったことから、7番手に浮上。なおも上昇の機会を平手選手は待つ。14周目の1コーナーはまさに最初の見せ場、一気に2台抜きを果たして5番手に躍り出る。タイヤが早々に悲鳴をあげたのか、早々と上位にもドライバー交代が行われるなか、平手選手は2番手まで順位を上げた33周目にピットイン。
代わった嵯峨選手はタイヤ無交換で送り出され、その時点で8番手に後退するも、ライバル車両のピットのたび順位を上げて、44周目には3番手に浮上。54周目の1コーナーで1台の先行を許すも、それ以外の後続を一切寄せつけず周回を重ねていく。
次のピットは66周目。平手選手には4本ともニュータイヤというのは、あらかじめの作戦。言うなれば、平手選手が攻めて、嵯峨選手が守るということになる。84周目の1コーナーで1台をかわし、やはりライバルのピットと合わせて順位を上げ、3番手につけた99周目に、ふたたびタイヤ無交換で嵯峨選手とバトンタッチ。
この時点でスタートから2時間50分を経過、ほぼ3時間となる103周目には3番手に返り咲く。じわりじわりと近づいてきた車両と110周目あたりからバトルを繰り広げるも、無理にガードを固め続けるのは懸命ではないと嵯峨選手は判断し、115周目には道を譲る。
最後のドライバー交代は3時間16分経過した125周目。タイヤを4本交換して平手選手をコースに送り出す。この時点で7番手にまで退くも、134周目からはふたたび3番手に浮上。そのポジションを最後まで守り抜き、4時間40分で163周3番手での走破に#31 TOYOTA PRIUS apr GTは成功した。
ボーナスポイントが付与されるレースとあって、13ポイントを加算した嵯峨選手と平手選手はランキング2位をキープし、トップとの差も6ポイントと最小限に留めることとなった。これで次戦、スポーツランドSUGOへは90kgのウエイトを積んだ状態で挑むことになるが、このコースは#31 TOYOTA PRIUS apr GTが得意とするコースのひとつ。連続入賞の期待がかかる。
嵯峨宏紀選手
「左足の痛みはかなり治まってましたが、いつもの状態ではなかった。そういうなかで平手選手がかなりフォローしてくれたので、助かりました。戦略的にうまくいきましたね。ペース的には64㎏も効いて速かったわけじゃなかったけど。僕の時に(タイヤ)無交換を2回やっているので、ピットで稼ぐことができました」
「次のSUGOは90㎏と重たくなるけど、ノーポイントということはないと思います。過去、表彰台にも乗ってるので、絶対にトップ10にはいりたいと思います」
平手晃平選手
「暑いなかでもタイヤのフィーリングが良かったので、レースに関しては淡々と走っていれば、5位以上に行けるんじゃないかってチームと話していて、作戦重視でスタッフ全員集まって知恵を出しました。最初の僕のスティントで、かなりGT3勢が来たんですけど、いちばん暑いタイミングにタイヤをいたわり走った結果、2スティント持たせることができました」
「タイヤの温度レンジも広いので、そこはブリヂストンさんの強みで、最後は路面温度が30度台まで落ちましたが、そんな時でもちゃんと発動してくれて、ピックアップも少なくて、タイヤのパフォーマンスの高さとチームワークの高さとみなさまの応援で、想定以上の結果がでたと思います。次戦もご期待ください」
金曽裕人監督
「最初からクルマが重くて速さは厳しかったので、僕らは取りこぼさず、しっかりやろうと決めていた。そのなかでの3位表彰台は快挙。まずドライバーがパーフェクトなドライビングを見せたのと、やっぱりブリヂストンのタイヤが素晴らしく安定していたこと、みんなで考えた作戦も良かった」
「素晴らしいチームワークで、全員完璧な仕事をしてくれました。次も応援くださるみなさまとともに、チーム力で、ひとつでも上位を目指します」