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『半分、青い。』永野芽郁と佐藤健の“ナチュラル”で曖昧な関係性を読む

2018年08月13日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 律(佐藤健)の夏虫での突然のプロポーズに関して、具体的な答えが与えられることを予感させられた『半分、青い。』(NHK総合)第113話。プロポーズをしたということは、鈴愛(永野芽郁)のことを律は異性として捉えてくれていたということなのか。それは何がきっかけで生まれたものだったのか。今回に限らず、いつも2人の関係性はどこか曖昧なところを残したままとなり、視聴者に不思議なドキドキ感を与えていた。


参考:奈緒&矢本悠馬が物語を動かす 『半分、青い。』もう1組のカップルを振り返る


 裕子(清野菜名)の言葉を借りれば、2人は「ナチュラルで、みんなの中でオープン」な関係性にあるという。確かに、そんな状態が続いていくことが理想なのかもしれない。だからこそ、(2人が意図してそうしているのかは分からないけれど)ぴったりと鈴愛と律の思いが重なり合うことがなかなかない。律がプロポーズをすれば、鈴愛は当時、オフィスティンカーベルの残された漫画家として頑張らなくてはならないという思いから、それを断った。そうかと思えば、お互いに子供ができて再会したときに、今度は鈴愛の方から「律を支えたい」という思いを伝えるも(もちろん、これは厳密な意味でのプロポーズではないが)、その後楡野の家で、結婚しているからという理由ではねられる。これに関しては鈴愛も、恋愛感情抜きに単純に“親友として”ということを強調して言い訳をした。


 恐らく、鈴愛と律は2人とも、自分たちがどうあるべきかという明確な姿は今でもはっきりとは分からないままでいるのだろう。というよりむしろ、そこにはっきりとした答えを出さないでいることが、まるでお互いの暗黙の了解のように続いている。ただ、鈴愛から律を「支えたい」と言われた際、律はそのとき「ドキッとした」と振り返っている。だからひょっとすると、今でも鈴愛のことをどこか特別な存在として認識しているのかもしれない……。


 しかし、形はどうであれ鈴愛の律を支えたいという思いは、今後の物語で重要な意味を持ち続けることであろう。というのも、律の母親・和子(原田知世)が心臓に大きな病を抱え始めているからだ。もちろん、今の律には妻がいるわけだから、側で支えてくれる人間がいないわけではない。ただ、和子のことを幼い頃から知っているのは鈴愛の方であって、和子のことを「おばさん」と呼びつつも、鈴愛にとっては母親的な親しみを覚える存在なだけに、どのような形で鈴愛が支えていくのかが気になるところである。


 このように、お互いに困っていることがあった際には、支え合うという関係は2人の幼少期から続くものである。しばらく、鈴愛と律はお互いに顔を合わせない期間が続いていたが、鈴愛に関して言えば、この誰かを「支えたい」という思いは子供の頃以上のものになっている。涼次(間宮祥太朗)と出会って以降、それはとりわけ大きなものになった。ご存知のように、結局涼次との関係性は残念なものに終わってしまったが、それでも漫画家としての挫折、苦すぎる離婚を経た鈴愛は間違いなく人間的に成長した部分はある(相変わらず、子供っぽいところは依然残ってはいるけれど)。すれ違いが多く、時に誤解が生まれてしまうような2人の間柄であるが、今後も急転直下の展開が続いていくであろう本作で、どんな絆を見せてくれるのだろうか。(國重駿平)