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川口春奈を離さない窪田正孝の絶妙な説得力! 『ヒモメン』で明らかになるヒモの生態

2018年08月13日 03:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ヒモ彼氏である碑文谷翔(窪田正孝)に徐々に愛想を尽かし始める春日ゆり子(川口春奈)が描かれた『ヒモメン』(テレビ朝日系)第3話。お小遣いをねだる翔ちゃんに、ゆり子は、自身の誕生日を暗証番号にしていたケースに500円玉を入れて渡す。それが発端で、翔ちゃんがゆり子の誕生日を覚えてないことが発覚。ゆり子に怒られた翔ちゃんは、ゆり子の望む誕生日プレゼントを買うために孤軍奮闘する。


【写真】ヒモ男演じる窪田正孝


 相変わらずのヒモぶりで視聴者を笑わせ、時にはイラつかせ、そして愛嬌のたっぷりの笑顔で癒す翔ちゃん。しかし今回ばかりは、ゆり子の職場で迷惑をかけ、ゆり子に愛想をつかされてしまう。ましてや、ゆり子の誕生日すら忘れており、まさに劇中の田辺聡子(佐藤仁美)のセリフ「ヒモはそういうところでポイント稼ぎする」すら達成できなかった。


 第3話では翔ちゃんが、国会議員の森山圭子(西尾まり)の汚職事件を「お食事券」と間違え、偶然秘密を暴いてしまうことになる。その中で翔ちゃんは森山に、正直に話して仕事がなくなっても、それはそれでいいじゃないか、と諭す。自身が無職であるゆえのアドバイスで、悩んでいた森山の気持ちをほぐす結果となった。


 翔ちゃんは妙に説得力がある。第2話の春日桜子(片瀬那奈)を説得する際も、持ち前の行動力と個性的な持論で、無事難を逃れた。「ヒモのくせに……」と言いたくなるが、口が達者で器用に立ち振る舞える姿は、田辺の言う“ポイント稼ぎ”に適しているのだろう。


 では、ゆり子と翔ちゃんにとっての「付き合っている意味」はなんだろうか。実は第1話~3話までで一貫して、ゆり子はどうしても翔ちゃんを嫌いになれないポイントがある。それは“ゆり子のことを考えてくれている一生懸命さ”である。おそらくゆり子が恋愛において譲れないであろうこの価値観は、実はヒモにぴったりの条件であった。ヒモは大抵、時間がふんだんにある。働いていないぶん、プライベートなことしか考えなくて済むのだ。ゆり子のように不規則で過酷な仕事をしていると、翔ちゃんのように有り余る“時間”があって、ゆり子のためにその時間を使うことを惜しまない男の方が、好都合なのではないだろうか。ゆり子と翔ちゃんは、実はお互いの苦手分野をカバーしながら上手に付き合っているとも言える。


 しかし第3話では、その肝心の“ゆり子を考える一生懸命”に欠ける部分があったり、さらにはゆり子にとって大切な仕事での立場さえ脅かす展開となってしまった。普通の人が持つ、働くことに対する意識の高さや重要度を、翔ちゃんはヒモゆえに理解できなかった。その食い違いこそ、今回ゆり子たちが不仲になってしまった本当の原因なのではないだろうか。


 2人には、2人の付き合い方がある。第1話のときから、ゆり子と翔ちゃんはお互いの利害関係の一致を基にバランスのとれたカップルであった。しかしここで一度、ゆり子の気持ちが少し離れることで、今後の翔ちゃんがどう巻き返していくのか。就職を試みる翔ちゃんの姿にも注目したい。


(Nana Numoto)