F1のスポーティングマネージャーを務めるロス・ブラウンは、レースの質が技術的に保証されるのであれば、今後10年の間にグランプリレースがすべて電気化されることも考えられると話している。
2014年に導入されたハイブリッドエンジンにより、F1にも電気的な要素が組み込まれることとなったが、内燃機関の完全な撤廃が真剣に検討されたことはなかった。
しかしながらフォーミュラEの成功ぶりと、アウディ、BMW、日産、ポルシェといった主要メーカーの参入により、F1もこの流れに注視せざるを得なくなっている。
フォーミュラEの歴史はまだ浅く、現時点ではどの程度の比較対象になるかは分からないが、ブラウンは開発の経過に注目している。
「フォーミュラEが行なっていることや、成果には敬意を払うべきだと思っている」とブラウンはF1 Fan Voiceに語っている。
「だが規模を考えると、両者を比較することはできない。ファンの数や魅力といった点ではF1に分がある。その点でフォーミュラEはまだ、成長過程だ」
商業的かつ社会的な理由による変更の必要性が認められれば、F1は大きな進化を遂げるだろうとブラウンは考えている。
「F1にとって正しいバランス、妥当性、ファンとの関わり方という方向に向かって進化していくと思う」
「5年か10年後、異なるパワーユニットが必要になったり、そうしたいという要求や望みがあれば、F1はきっとそうするだろう。将来的に電気化されたF1車両が登場するという可能性を、誰も潰すことはできない」
「現状でフォーミュラEは素晴らしいショーとはなっていない。敬意を持って言うのだが、彼らはモーターレーシングのなかでもまだ、ジュニアカテゴリーだ」
「フォーミュラE周辺での出来事は素晴らしいものではあるのだが、レースそのものをF1と比較すると、かなり退屈だ」
「マシンは特に速くもなく、人間的な魅力というものも見えてこない。ただしイベントを開催し、市街地にパーティを持ち込むという点では、彼らは素晴らしい仕事をしている」
「F1はモータースポーツの頂点であり、スピード、ドライバーの力量、チームといった点が(フォーミュラEとは)違うのだ。5年か10年後、異なるパワーユニットへと移行するというのなら、そうする。それが最も魅力的かつ、我々が達成したいと考えることを成し遂げられる手段になるならね」
「F1が永久に内燃機関に固執したままになるとは思っていない。けれども10年後に何が起きるかなど、誰に分かるだろうか」
「10年前、世界がどうなっているかを予測し得た人間など、多くはいなかったと思う。つまり、10年後の我々がどうなっているのかなど知り得ないのだ。しかしF1は正しい方向へと進んでいくだろう」