2018年08月12日 10:32 弁護士ドットコム
「U子が開業するらしいから、みんなで何かプレゼントしてあげよう」。中高時代の同級生のU子さんはこれまで勤務医だったが、晴れて実家近くで開業するのだという。都内在住の会社員J子さんは、「いいよ」と気軽に応じた。
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問題は何をプレゼントするか。でもU子さんから「率直に言えば、こんなのが欲しい」と送られてきたリストがあり、手間取らなかったという。クリニックに置く椅子や造花などインテリアが主な商品だ。
「結局、1人5000円から1万円くらいを出し合いました」とJ子さんは語る。「中高時代の友人以外にも複数のコミュニティでプレゼントをもらうのだとしたら、相当な金額になりますよね。こういうプレゼントもちゃんと申告するのでしょうか。U子のクリニックに行って『脱税はダメよ』と言いたくなるかも」
開業祝いでもらった金銭や記念品。プレゼントであっても課税の対象になるのだろうか。田邊美佳税理士に聞きました。
「個人事業者が開業に際して事業関係者等から受け取った祝い金等は、『事業の遂行に付随して生じた収入』として事業所得となります。つまり、開業祝いは課税の対象です。
もらう相手が友人等であっても、開院パーティーに招待してお祝いを受け取った場合や、事業に必要なものをもらった場合等には、事業に付随する収入として計上する必要がでてきます」
数千円程度のプレゼントでも申告が必要になるのか。
「全てではありません。親族や友人等からもらうお祝いで、事業関連性があるとはいえないもの、社会通念上相当なものであれば、通常の贈与の範囲で考えればよいでしょう。
とは言っても、友人等もお客様(患者)になりうる、もしくはすでになっているということもあるため、もらった金品が課税対象になるかどうかはその都度判断することになります」
プレゼントを申告する際は、金額はどのように計算すれば良いのか。
「申告にあたっては、金銭の場合はもらった金額を、物の場合にはその時価を収入として計上する必要があります。ただし、物をもらった場合、少額であればもらった物と同額が費用となるため、結果収入に計上しなくても特段影響はありません。
一方、高額なものをもらった場合には、費用ではなく資産計上し、減価償却をする必要性が出てくるため注意が必要です。申告漏れとなった場合には過少申告加算税や延滞税等のペナルティが発生してしまいますので、開業祝については適切に申告をして下さい」
【取材協力税理士】
田邊美佳(たなべ・みか)税理士
オネスタ税務会計事務所所長。公認会計士・税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。相続税申告、生前対策業務に特化。国際相続案件にも対応可能。
事務所名 : オネスタ税務会計事務所
事務所URL: http://www.onesta-tax.com/
(弁護士ドットコムニュース)