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『チア☆ダン』土屋太鳳とオダギリジョーが“過去”と和解 ひときわ輝きを放つ堀田真由にも注目

2018年08月11日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 商店街のお祭でチアダンスを成功させ、さらにチアリーダー部に所属していた後輩2人が新たに入部することが決まり、10人体制になった福井西高校「Rockets」。しかし、新入部員を迎えようとした矢先、部室が荒らされてしまう。Rocketsの面々はこれまで対立を続けてきたチアリーダー部の仕業に違いないと見るのだが、わかば(土屋太鳳)は自分にも非があると感じ、報復をためらうのだ。


参考:山本舞香が表現する“思春期の闇”の上手さ 『チア☆ダン』では心を閉ざした不登校児役で注目


 8月10日に放送されたTBS系金曜ドラマ『チア☆ダン』第5話。先週の第4話でわかばとチアリーダー部から追い出された後輩の芙美(伊原六花)のやり取りと、チアダンス部に馴染めずにいた茉希(山本舞香)に汐里(石井杏奈)が会いにいくシーンとが類似したシチュエーションで描かれていたが、それと同様に、この第5話でも2つのエピソードがシンクロニシティを放つ。こういったストーリーの運び方が、このドラマの“前進”に大きな役割を果たすということだろう。


 わかばがチアリーダー部を抜けてチアダンス部に参加したことで、望(堀田真由)との間に軋轢が生じ対立関係が生まれる。わかばが本格的にチアダンス部に傾倒するようになった第2話以降、それが描かれてきたとはいえ、その裏側にあったわかばと望の関係性というものは明らかにされていなかった。今回の劇中で、「JETS」のある福井中央高校に入学できずに落ち込んでいたわかばを励まし、ともにチアリーダー部として2人が友情を育んできたことが明らかになるのだ。


 チアリーダー部がRocketsに向ける仕打ちへの苛立ちと同時に、入学以来の親友との仲違いに「後悔している」と語るわかば。そして彼女は、雨で中止になったチアリーダー部の発表のために、チアダンス部が獲得した発表の時間を提供するのだ。部室を壊されたり後輩を怪我させられたり、一度はわかば自身がチアリーダー部の部室に乗り込んでいく一幕もありながらも、後悔するくらいなら自ら前に進むという決断。それはつまり、赦し、称え合うということに他ならない。


 それと同様に太郎(オダギリジョー)は、前任の学校で熱血指導をしたことで心を閉ざし、学校をやめてしまった教え子・木田(岐州匠)と東京で再会を果たす。これまで回想シーンとして度々登場していた通り、その木田との関係性がきっかけとなり、太郎は心を病んで教師としての職を一時的に退いていたのだ。「あの時ちゃんと向き合って話せばよかった」と後悔し続けていた太郎は、木田に当時のことを謝罪する。すると思いの外あっさりと、社会に出て大人になった木田は太郎に赦しを与えるのだ。


 部長としてRocketsを引っ張っていくわかばと、顧問として引っ張っていく太郎。この2人が悩み、抱え続けてきた“過去”と和解を果たすことでさらにRocketsのチアスピリットは磨き上げられていく予感がする。しかも、このシンクロニシティは2人だけではない。太郎が東京からコーチとして連れてきたわかばの姉・あおい(新木優子)も、東京に旅立つ時の両親との気まずい空気から一転し、藤谷家4人揃った団欒のシーンが描かれたことも見逃せない。


 それにしても、今回のエピソードでひときわ輝きを放っていた、望役の堀田真由。個人的には本作のキャストの中でイチ押しなだけに熱を入れて語りたいところではあったのだけれど、彼女については詳しい記事が先に掲載されていたのでこちらを参照するのがいいだろう。とりわけ物語の舞台となる福井県の隣県である滋賀県出身の彼女が発する福井弁のしっくりくる感じは凄まじく、それでいてプライドが高くトゲのある性格というのも実に良い。先日の映画『虹色デイズ』での“ゆきりん”役とはまったく異なる魅力を放ってくれている。(久保田和馬)