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蓮實重彦が「日本映画はその第三の黄金期へ」と絶賛 濱口竜介『寝ても覚めても』著名人コメント

2018年08月10日 19:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 東出昌大が主演を務める、9月1日公開の映画『寝ても覚めても』に、蓮實重彦ら各界の著名人がコメントを寄せた。


参考:tofubeatsによる主題歌「River」も収録 東出昌大主演『寝ても覚めても』本ビジュアル&90秒予告


 芥川賞作家・柴崎友香による同名恋愛小説を、『ハッピーアワー』の濱口竜介監督が商業映画デビュー作として映画化した本作は、2人の同じ顔をした男と、その間で揺れ動く女の物語。主演の東出が、同じ顔をしていながらも全くタイプの違う男・亮平と麦という1人2役に挑み、新星・唐田えりかがヒロイン・朝子を演じる。


 今回、本作にコメントを寄せたのは、映画評論家の蓮實重彦をはじめ、作家の山崎ナオコーラ、脳科学者の茂木健一郎、漫画家のいくえみ綾ら計13名。公開に先駆けて本作を鑑賞しての感想をぞれぞれ綴っている。


【 コメント一覧】


■いくえみ綾(漫画家)
朝子は「全てを捨てた」のか「その場にとどまった」のか
観終わった後も正直わからない。
ただ、思い出すと夢の中にいるような、残酷で美しい映画。


■平野啓一郎(作家)
相手の、そして、自分自身の「わからなさ」を受け容れるところから、愛が始まる。
静かに連なる場面の強度を、見終わったあと、振り返った記憶の中に感じた。


■武田砂鉄(ライター)
人はなぜ、その瞬間に、この瞬間が特別な瞬間になる、と気付けないのだろう。
特別な瞬間ばかりの映画を観ながら、そのもどかしさについて考え込みました。


■朝井リョウ(小説家)
目に見えるもの、見えないもの、心はどちらに向いているのか。
感想がそのまま人生観の表明になり得る、美しい爆弾のような一作。


■相田冬二(映画批評家)
恋の正体がついにあかるみになった。
永いため息も、甘やかな妄想も、すべてまぼろし。
もう逃げるな。目をそらすな。恋は、一か八かの緊急事態である。


■コトブキツカサ(映画パーソナリティ)
愛の強度、運命の人、そして人生の選択を考えさせられたと同時に、
朝子を中心とした恋模様に激しく心が掻き乱されました。


■蓮實重彦(映画評論家)
向かいあうこともなく二人の男女が並び立つラスト・ショットの途方もない美しさ。
しかも、ここには、二十一世紀の世界映画史でもっとも美しいロングショットさえ含まれている。
濱口監督の新作とともに、日本映画はその第三の黄金期へと孤独に、だが確実に足を踏み入れる。


■柴田元幸(翻訳家)
幽霊の脅威、友だちのありがたさ、猫の大事さ、自分のほんとうの望みを知ることの幸運。一度観ていい映画だと思い、二度観てすごくいい映画だと思った。


■茂木健一郎(脳科学者)
女が現実と仮想の間を揺れ動く時、愛しさが増幅する。
立ち尽くす男の腕に残る、小さな希望のぬくもり。
次の瞬間、何があるかわからないのが人生、そして映画。
ずっとドキドキしながら見ていた。


■山崎ナオコーラ(作家)
今、見ているのは、一瞬の美しさなのか、それとも時間の層なのか?
小説や音楽、そして映画は時間を表現する芸術だ。
『寝ても覚めても』は映画の特性を最大限に活かして、豊かな時間性を見せてくれる。


■新谷里映(映画ライター、コラムニスト)
心の揺れ動きが映像になっている、
恋愛によって生まれる、相反する感情を感じとれる、
それは心地良くもあり、悪くもあり、
偶然のようで必然で、
わがままのようで優しくて、酷くて、愛おしい。
とても大好きな映画です。


■立田敦子(映画ジャーナリスト)
ヌーヴェルヴァーグを彷彿とさせる繊細で軽やかな 200%の恋愛映画。
神経を逆なでする草食世代のファムファタールを描ききった濱口竜介監督は、
日本を代表する愛の語り手として大注目!


■今日マチ子(漫画家)
8年という時間は夢なのか、現実なのか。
雨に濡れた草むらの緑を、こんなにも苦しく感じたのは初めてだ。


■飯沢耕太郎(写真評論家)
冒頭に牛腸茂雄の『SELF AND OTHERS』の写真が登場する。
牛腸はポートレートの撮影を通じて「もう一人の人間」の影を追い求めていた。
まさに、この映画のテーマと重なり合う。


(リアルサウンド編集部)