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神アニメーター・井上俊之が考える“本当にすごいアニメーター”とは?

2018年08月09日 21:52  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

「さよならの朝に約束の花をかざろう」(c)PROJECT MAQUIA
8月7日(火)、TBSラジオ番組『アフター6ジャンクション』内のコーナー「神々の視点」にアニメーターの井上俊之さんが出演し、井上さんの考える本当にすごい”アニメーターの神”の名前を挙げる一幕があった。

井上俊之さんは『ロードス島戦記 (OVA版)』『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『AKIRA』『魔女の宅急便』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』『さよならの朝に約束の花をかざろう』など、数々の名作アニメで原画や作画監督を担ってきた敏腕アニメーター。
『AKIRA』のバイクシーンや『魔女の宅急便』の自転車シーンなど作品の顔となるカットを手掛けることが多く、業界内では「パーフェクトなアニメーター」とも称されている。

番組では井上さんがアニメーションの仕組みや国内外での役割分担の違い、『AKIRA』での現場の雰囲気や時代性などを解説。最後のコーナーで井上さんが神と考えるアニメーター3名の名前を挙げる運びとなった。
→次のページ:1番に挙げたのは、あのアニメ界の巨匠!

1番に挙げたのはスタジオジブリの宮崎駿監督。「みなさんとしては演出家、監督という認識だと思いますが僕らの世代にとってはまさに神アニメーター。他にも素晴らしいアニメーターは数多くいらっしゃいますが、与えた影響と成した仕事の大きさを考えるとやはり宮崎さんが神」と述べた。
その理由として『アルプスの少女ハイジ』全52話、『母を訪ねて三千里』全52話の全話全レイアウトを描き、レイアウトという作業の担うべき内容とクオリティを決定づけたことを挙げた。
1話あたり約300カット、それを毎週全て1人でこなしたこと、過去のスイスやイタリア、アルゼンチンの世界を現地の人が見ても違和感のないレベルの画に仕立てたことは「質的にも量的にも、今後世界の誰にも超えることは不可能」と述べた。

次に挙げたのは『新世紀エヴァンゲリオン』『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air』の戦闘シーンなどを手掛けた磯光雄さん。70年代アニメの表現の模倣やアレンジに終始していた自分たちに対し、磯さんが描いた『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』冒頭の北極基地の戦闘シーンなどは場面に必要となるリアリティや臨場感を突き詰めて描かれており、アニメーションが成すべき本分だと感じたという。
「自分たちがやっていたことはコピーのコピーのようなアニメファンのゴッコ遊びだった、と頬を打たれた思いだった」「漫画の世界に大友克洋以前以後という語られ方があるように、アニメは磯光雄くん以前以後に分けられるくらいのショックを与えた」と語った。
→次のページ:最後に挙げたのは『NARUTO』で有名なアニメーター

最後に挙げたのは『NARUTO -ナルト-』などのハイクオリティなアニメーションで知られる松本憲生さん。「彼が手掛けた30話、71話、133話などはアニメファンでなくても『なんか今日は違うな』と気付くのでは」「アニメーションの仕事の早さとクオリティにおいて、宮崎駿さんと同じく彼の質的量的ボリュームを超える人は今後出てこない超人。アクションのキレ、日本のアニメーターにとって大事な素養である空間把握能力も超人的」と評した。

本番組は8月9日現在スマートフォンアプリ「ラジオクラウド」にて聴取可能。井上さんの情熱と人柄が伝わる必聴の内容なので、アニメファンやアニメーターファンはぜひ聞いてもらいたい。

※8月10日 宮崎監督の偉業に関する記述に一部間違いがありましたので修正いたしました。

「さよならの朝に約束の花をかざろう」
(c)PROJECT MAQUIA