毎年恒例の日本最大級の同人誌即売会「コミックマーケット94(通称、夏コミ)」が8月10日から12日までの3日間、東京ビッグサイト全館にて開催されます。マンガ・アニメ・ゲームやその他周辺ジャンルのサークルや企業ブースが出展、さらにはコスプレエリアが設けられることから多くのコスプレイヤーが参加します。
「コミックマーケット準備会」の発表によれば、2017年の夏コミの来場者数はのべ50万人以上。お目当ての同人誌などを購入するために朝早くから数万人の人が開場前から数時間待ち、いざ入場しても隙間がないほどの人口密度です。2013年の夏コミ(C84)では、混み合う参加者たちの熱気で天井付近に「コミケ雲」が発生したことも報告されています。
6月から8月にかけて西日本東日本ともに平年よりも気温が高いことが、気象庁から発表されています。連日の猛暑で今年の夏コミはかつてない暑さが予想されるため、夏コミを良い思い出にするための暑さ対策をご紹介します。
■暑さ対策
・こまめな水分補給
何をおいても大事なのが水分補給。筆者は8月5日に名古屋で開催された「世界コスプレサミット2018」にも取材で行ったのですが、昼間は39度にも達する炎天下の中で500ペットボトル飲料を1日10本飲みました。それでも夜まで尿意を感じることが無かったので、水分の対外排出量は相当だったと思います。
夏コミは名古屋ほど暑くはならないかもしれませんが、人口密度によって実際よりも体感温度は上がることが見込まれるので、喉が渇いたと感じてから水分を補給するのではなく、のどの渇きを感じないようにこまめに摂りましょう。
すぐ飲めるように半分ほど凍らせたスポーツドリンクを複数本持ち込めればベストで、クーラーバックを重ねることで保温機能がアップするのでおすすめです。
・塩分を取る
恐らく吹き出る汗の量が尋常ではないことから、水分だけでなく塩分の消費量もあなどれません。塩飴も事前に用意してこまめに舐めましょう。あまりの暑さにしょっぱいはずの塩飴を次第に甘く感じる人もいるようです。
ただし、塩飴だけをひたすら食べるのは注意が必要で、合わせて水分を摂ることが欠かせません。目安としては200ミリリットルの水に対して飴1個が推奨されています。
・服装に気をつけよう
一番肝心なようでうっかりしがちなのが服装の意識。日差しを遮る帽子はもちろん、半袖半ズボンの動きやすく涼しい格好がおすすめです。
中にはジーンズをはいている人を見かけますが、経験的に汗のべたつきで不快感が強くなります。何か作業をするのでなければ、普段は快適なジーンズでも夏コミは避けましょう。
汗を拭くタオルも忘れずに、冷えピタなどの冷却グッズもかなり有効です。日焼けが時になる人は日焼け止めを塗りましょう。
→次のページ:「一般」「出展者」「コスプレイヤー」参加者別の対策は?
■一般参加者の場合
・入場時間を考えよう
コミケは徹夜で公式では並ぶことが禁止されています。一番早く並ぶことができるのが始発電車での来場です。
コミックマーケット公式サイトによれば、平均的な待ち時間は、始発電車で来場したなら10時~10時半頃に入場予定(待ち時間は5時間)、10時頃来場であれば11時~11時半頃(待ち時間は1時間)、12時頃の来場であればほぼ待ち時間なしで入場できるとのこと。
人気ですぐに売り切れる同人誌などがある場合を除けば、12時を目安にした入場も体力を考えて選択肢に入れるべきだと思います。それでも多くの人は、開場前から並ぶでしょうから、長時間の待機ではできる限り多くペットボトルを持ち込みましょう。
・食事はしっかり取り、ゼリー系飲料などの持参もおすすめ
夏コミは体力を大きく消耗するイベントですので、朝食・昼食はカロリーのあるものをしっかりとること、またカロリーメイトやゼリー系飲料、栄養ドリンクなども持参することも忘れずに。会場内にもコンビニエンスストアはありますが、多くの人が押し寄せますので購入するまでに時間がかかります。会場に到着する前に揃えておくようにしましょう。
・体質を改善する漢方薬も効果あり!?
中国で販売している寒黙さん愛飲の漢方薬
また、毎年のように夏コミに参加する中国カメラマンの寒黙さん(@nigellizhe)に聞いたところ、漢方薬もおすすめとのことです。中国では夏の炎天下での屋外イベントには漢方薬を持参する人が少なくないそうで、暑さの弊害を抑える作用がある漢方薬を購入するのも選択肢の一つに良いかもしれません。
ドラッグストアではなく漢方薬専門店に行く場合は、処方箋が必要な西洋薬とは違うので、事前に取り扱っている薬局に電話をして確認するようにしましょう。
■出展者の場合
出展者は何と言っても、開場前に入場することができるのが最大の利点。ブースがあるため、自分の荷物を置くことができるので、一般入場者よりも入場にかかる時間や暑さ対策の持ち込み負担が少ないです。
基本的には終日、屋内の自分のブースにいるでしょうから、日差しを浴びることはないと思います。
それでも人混みによる熱気がすごいので、侮って暑さ対策が不十分だと体調不良で途中退場してしまうことも考えられます。せっかく当選したので気をつけましょう。
■コスプレイヤーの場合
コスプレの暑さ対策に関しては、夏コミ常連のコスプレイヤー空我さん(@Qooga_13)、らぷらすさん(@laplace0920)、クレアさん(@kuronekoya3)にお聞きしました。
画像提供:空我さん、らぷらすさん
空我さん「半分凍らせたペットボトルと熱中症対策グッズを忘れずに」
基本的には一般的な熱中症対策のグッズ(塩飴、経口補水液、スポーツドリンクなど)を利用するのがよいとのこと。飲料は1リットルのペットボトルを完全に凍らせたもの1本、すぐ飲めるように半分凍らせたものを2、3本持っていくようにしており、会場で売っている飲み物は概ね冷えてないため、凍らせたものに入れて冷やすのもおすすめです。
らぷらすさん「コスプレしていると熱中症の兆候に気づきにくい」
コスプレ衣装を着ている場合、私服の時に比べて体が熱を持ちやすい、イベントが楽しいために普段より熱中症の兆候に気づきにくい傾向があるとのこと。こまめに水分補給し、少しでも辛くなったら早めに休むなど、普段より早め早めで対応する必要があります。
撮影待機してくれたカメラマンさんに遠慮して、水分補給を後回しにしがちにするのも体調を考えたら危ないです。
画像提供:クレアさん
クレアさん「初めて夏コミでコスプレする場合は、できるだけ涼しい衣装がおすすめ」
夏コミの暑さを考えると、コスプレをおすすめできる環境とは言い辛い側面があります。なので、涼しい時のコスプレイベントと同じに考えてはいけません。
初めて夏コミでコスプレする場合は、できるだけ涼しい衣装がおすすめ。ただし、涼しいからと言って水着などの肌が露出している衣装についても注意が必要です。直射日光を肌に直接浴び続けると、低温やけどになってしまうことがあるからです。直射日光を避けて羽織るものを用意し、撮影時のみ脱ぐようにすることを推奨します。
・暑いけど化粧とかどうすればいい?
化粧については汗で落ちにくいウォータープルーフのものを利用しましょう。「KATE」や「アネッサ(ANESSA)」のウォータープルーフのものは強力なのでおすすめ。「舞台化粧用品 三善」のドーランも汗に強く落ちにくいです。
日焼け止め、汗を拭くタオルを用意し、我慢をしないことも化粧崩れを抑えるポイントです。
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夏の風物詩とも呼べる日本の夏コミ。海外からも多くの人が訪れるだけに、できるだけ多くの人に良い思い出を多く持ち帰ってもらいたいと願います。万全の準備をして夏コミに備えましょう。