BTCCイギリス・ツーリングカー選手権のシリーズオーガナイザーであるTOCAは、現行規定の運用を終える2021年シーズン以降を目処に、ハイブリッド・パワートレインをBTCCに導入すると発表した。
次週ロッキンガム戦を控えた8月初旬にBTCCのテクニカルワーキンググループが開催され、その会合にて今回のハイブリッド導入のアナウンスを決議。
現在BTCCが採用しているNGTC規定の10年間の運用サイクルが終わる2021年以降に向け、次の規定コンセプトを協議する中でこのハイブリッド導入プランが採択された。
新規定のもとではハイブリッドのユニット自体が指定部品となり、すべてのマシンが既存のドライブトレインにドッキングできるようなシステムが採用される見込みとなっている。
これによりドライバーにはハイブリッド・システムによる補助的なパワーが与えられることになり、総合的なレース戦略の一部としてこのエクストラーパワーを活用して戦う方向性が示された。
このハイブリッド・システムの技術的最終決定は今後の12~18ヶ月の間に決議される予定で、そこに向けて2020/21年の間にシステムの検証と技術開発のため、現行NGTC規定マシンに新規ユニットを搭載してのテストが計画されている。
そのNGTC規定は、生産車由来のパフォーマンス差を極力削減する狙いで、前後のサブフレームを共通化。エンジンには2リッターの直列4気筒直噴ターボを採用しており、各マニュファクチャラーに適合エンジンがある場合は、そのエンジンをベースに各チューナーがレースエンジンを仕立てている。
■最適なエンジンがない場合は共通エンジンの用意も
また既存のユニットで最適なエンジンがない場合でも、TOCAが用意した"共通エンジン"を搭載することが許されている。これにより、バラエティに富んだマシンの参戦が実現している。
「NGTC規定を導入して以降のこの数年、我々はチャンピオンシップとして非常に重要かつエキサイティングなシーズンを過ごしてきている。そのBTCCシリーズの進化の過程の一部として、ハイブリッド・エナジーを用いたパワートレインの導入を発表でき、うれしく思っている」と語るのは、シリーズディレクターを務めるアラン・ゴウ。
「このコンセプトは直近のテクニカルワーキンググループで歓迎を持って承認された。そしてすでに、技術的な検証作業を含めた実用化の作業が開始されている」
「しかし、我々のハイブリッドは現在のF1で使用されているような込み入ったシステムではないし、またその必要もないと思っている。我々が目指すのは技術的に"エクストリーム"なものではなく、現行のNGTC規定内でシームレスにドッキングが可能な、コスト効果の高いハイブリッドでなくてはならない」
「重要な点として、BTCCがハイブリッドを導入することにより、マニュファクチャラー、スポンサー、そしてファンに対してシリーズの存在意義をより明確に打ち出すことができるようになることだ。そして偉大なレースシリーズとしての存在感をさらに高めることが望まれる」
「ドライバーたちはハイブリッド・システムから供給されるエクストラパワーを、レースマネジメントの中でどのように使用するかの戦略的要素を求められることになる」
「それにより、BTCCの特徴である接近戦に加えて、レースクラフト(レースに関する総合的能力)が重要度を増す新たな興奮の要素が加えられることになるだろう」