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40年間観られなかった“失われた傑作” 『恐怖の報酬』4Kオリジナル完全版で公開決定

2018年08月08日 12:12  リアルサウンド

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 1977年に公開された映画『恐怖の報酬』が、4Kデジタルリマスターの【オリジナル完全版】として11月24日に公開されることが決まった。


 今から40年ほど前に、約30分カットされた【短縮版】で公開された本作は、大火災が発生した4人の犯罪者が1万ドルの“報酬”と引き換えに、一触即発の消火用ニトログリセリン運搬を引き受けるというサスペンス巨篇。複雑な権利問題で日本では再公開もDVD発売もできなかったのだが、今回4Kデジタルリマスターで再上陸することとなった。


  本作の監督は『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン。アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの『恐怖の報酬』を、ユニバーサルとパラマウントが破格の2000万ドル(現在の100億円相当)の巨費を共同出資してリメイクしたもので、ロケは3大陸5ヶ国に及び、2年を超える製作期間が費やされている。


 本作が、長らく“失われた傑作”と謳われ、観ることのできない幻の作品だったのには複雑な理由があった。


 1977年6月の全米初公開時、空前の『スター・ウォーズ』ブームの直撃を受け興行的に失敗。日本をはじめ北米以外では、監督に無断で約30分カットされた92分の【短縮版】が配給され、正当な評価を受けることなく公開終了。さらには2大メジャーの共同出資が原因で権利者不明状態に陥り、長きにわたって全世界的に上映不可、北米以外ではDVDも発売されなかった。


 しかし、そんな状況に業を煮やしたフリードキンは 2011年、自らスタジオ2社を提訴し権利者を特定、2013年に121分【オリジナル完全版】の4Kデジタル修復に着手した。


 そして同年のヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、以後、欧米各地で再評価の嵐を巻き起こしてきた。満を持して今回日本再上陸を果たす。


 ホラー作家スティーヴン・キングは本作を「人生で最も好きな映画」と公言しており、クエンティン・タランティーノ監督は自身のオールタイム・フェイバリット12本の1本に選出もしている。(リアルサウンド編集部)