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サマータイム、戦後日本で導入も「過剰労働になる」などの声上がり3年で廃止 今導入しても同じことが起きる?

2018年08月07日 18:31  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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安倍総理は8月7日、2019年・2020年のサマータイム導入について、自民党内で検討を進めるよう改めて指示した。早ければ秋の臨時国会での関連法案提出を目指すと報じられている。

ネットでは、システムエンジニアの業務負担増加や日常生活への影響から、導入に否定的な意見も多い。日本睡眠学会では2012年、サマータイム導入に反対する見解を出している。見解には、導入した各国で健康被害が確認されていること、日本でかつて実施した際、労働時間の長期化を引き起こしたことなどが記されている。

健康被害の懸念も「夜型人間は生体リズムのずれに時間かかる」「心疾患リスク高まる」


日本睡眠学会のサイトでは、海外で行われたサマータイム導入と健康被害に関する研究が数多く紹介されている。ドイツで5万5000人を対象にした大規模な調査では、夜型人間は、サマータイム変更後4週間経っても、生体リズムと新たな時刻とのずれが消失しなかったという。

人間の体内時間は24時間よりもやや長く、平均して24.5時間だ。そのため、サマータイムから標準時間に戻す際(1時間遅くなる場合)には身体の適応が容易でも、標準時間から夏時間に切り替える際には、負担が大きくなると考えられている。

スウェーデンの研究では、サマータイムが心疾患リスクを上げる可能性が指摘されている。2008年、医学雑誌に投稿された研究によると、サマータイム開始直後の3日間は心筋梗塞発症の危険率が有意に増加したという。日本睡眠学会によると、この研究チームは2012年、サマータイム移行時の最初の週に、急性心筋梗塞の発生危険性が3.9%高まるという研究結果も出しているという。

「始業2時間早めたら残業も2時間伸びる未来しか見えない」

サマータイム導入で生活時間が1~2時間早まっても、労働時間はかえって長期化するのではないかと懸念する声も強い。日本では戦後の1948年から、夏時刻法に基づきサマータイムが実施されていた。しかし、環境省のパンフレットによると、法律制定から施行までわずか3日しかなく国民に混乱を招いたこともあり、廃止を希望する世論の高まりから、4年後に取りやめられたという。

当時の世論調査で、廃止を希望した理由として上がっていたのは

「農(漁)村生活にぴったりしないし、つい労働過剰になる」(26%)
「慣習を変更されることを好まない」(22%)
「保健上よくない(疲れてだるい)」(16%)

などだ。働き方改革が十分に進んでいない現在の日本でサマータイムを導入すれば、始業時刻が早まっても終業時刻は変わらない、という事態にもなりかねない。ネットでも、

「前倒し残業と同じじゃないの?」
「始業2時間早めたら残業も2時間伸びる未来しか見えない」

と心配する声は少なくなかった。