トップへ

ブリヂストン 2018スーパーGT第5戦富士 レースレポート

2018年08月07日 12:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

au TOM’S LC500
2018年 SUPER GT 第5戦 富士スピードウェイ500mile[GT500]
中嶋一貴/関口雄飛(au TOM’S LC500/BS)がシリーズ最長の500マイルレースで今季初勝利。トップ5までをブリヂストン装着チームが独占

開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2018年8月4日(土)~2018年8月5日(日)

 2018年オートバックス スーパーGTシリーズ第5戦は、今シーズン2度目の富士スピードウェイで行われ、決勝日に3万8300人の観衆を集めた。今回の走行距離は500マイル(約800キロ)。
 
 2018年シーズン最長のレースは灼熱の夏のドラマチックな展開のなかで中嶋/関口(au TOM’S LC500/BS)が3番手グリッドからスタートし、ピットインのタイミングで順位を入れ替えながらトップ争いを演じ終盤戦に突入、最終ピットストップの際にトップに立ち、そのままチームメイトの平川亮/N.キャシディ(KeePer TOM’S LC500/BS)を従えて優勝。トムスチームは、国内トップツーリングカーシリーズで初のチームワン・ツ・フィニッシュを果たした。

<予選>
 気温31度、路面温度44度から予選のセッションが開始された。路面温度50度を超えることも予想されたが、やや低めのコンディションの中行われた予選だった。
 
 Q1で3番手につけた中嶋/関口組は、Q2でもトヨタレクサス勢のトップ、3番手を堅持して決勝に進むこととなった。ブリヂストンを装着する佐々木大樹/J.マーデンボロー(カルソニック IMPUL GT-R/BS)が5番手。
 
 ホンダNSX-GTの予選トップは第3戦の鈴鹿を制している野尻智紀/伊沢拓也(ATRA NSX-GT/BS)。ポールポジションは松田次生/R.クインタレッリ(MOTUL AUTHECH GT-R/MI)だった。
 
 
<決勝>
 今回の500マイルレース(177周)では、4回のピットストップが義務づけられた。最初のスティントで中嶋/関口組は2位へ順位アップし、トップの松田/クインタレッリ組へ迫った。一旦トップに立つがピット作業に手間取って順位を下げてしまった。
 
 しかし、挽回してふたたびトップグループの一角を占めてレースは進行していった。佐々木/マーデンボロー組が55周目にトップに立ち、それ以降は松田/クインタレッリ組との攻防を制した中嶋/関口組が追いかける展開となっていく。しかし最終ピットストップのタイミングで佐々木/マーデンボロー組がインタークーラーのパイプが外れるトラブルでスローダウン。順位が逆転した。
 
 安定したペースで3位へ上がってきた平川/キャシディ組も2位へ上がり、トムスチームのワン・ツー・フォーメーションでチェッカードフラッグをかいくぐった。3位には予選でトラブルによって出走できず、14番手から追い上げてきた塚越広大/小暮卓史(KEIHIN NSX-GT/BS)が入った。

<ドライバーコメント>
中嶋一貴選手
「勝つことができてホッとしています。雄飛(関口)とのコンビでは初優勝ですし、トムスとしても初のワン・ツー・フィニッシュで、チームにとってもうれしい週末になりました。終盤までトップを走っていたGT-Rには申し訳ない気持ちもありますが、僕たちのクルマの速さは彼らと同等か、部分的には上回っていたと思っています」

「ピット作業で遅れた時には、少しガッカリしました。正直、最後に雄飛に替わった時には、2位でも仕方ないのかな……と思ったりもしました。雄飛にはこれまで不運続きでしたが最後まで諦めずに走ろうとしたことで、ご褒美として1位が手に入ったんだと思います。残り3戦ですが、ここから勝負に行きたいですね」

関口雄飛選手
「今年からトムスに移籍してきて今回が初優勝、というか初めての表彰台なのでとてもうれです。チームも初のワン・ツー・フィニッシュということで本当に良かったです。ピット作業でのタイムロスは人間なのでミスもある、仕方ない、と思っています。怒ったところでロスした時間が取り戻せるわけじゃないですからね」

「それよりも少しでも追い上げて行こうと気持ちを切り替えました。クルマもタイヤも最後まで調子は良かったです。次回からはウエイトハンディが50kgを超えるので燃料流量リストリクターが絞られることになります」

「GT500で走るようになってから6シーズン目、燃リスが絞られるのは初めて。だからちょっと興味があるというか楽しみな部分もあります。次戦の菅生は燃リスの影響が少ないコースなので、上位を狙いたいですね」

<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:松本真幸のコメント>
「今回準備したタイヤが予選でライバルに対して劣勢だったので、外してしまったかなと不安もありましたが、決勝においては予想通りのパフォーマンスを発揮し、供給しているメーカー全てで安定した速さを示すことができました」

「厳しいコンディション下で優位性を発揮できたと思っています。トムスさんの初ワン・ツー・フィニッシュをサポートできたことをうれしく思います。またチームインパルさんのGT-Rは本当に残念でした。次戦の菅生ではまだハンディウエイトも少ないですから健闘していただけると信じています。そして、菅生ではNSXも速いのでふたたび上位独占を目指します」

2018年 SUPER GT 第5戦 富士スピードウェイ500mile[GT300]
高木真一/S.ウォーキンショー(ARTA BMW M6 GT3/BS)が富士スピードウェイ3連勝。嵯峨宏紀/平手晃平(TOYOTA PRIUS apr GT/BS)が3位表彰台を獲得

開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2018年8月4日(土)~2018年8月5日(日)

 2018年オートバックス スーパーGTシリーズ後半戦のスタートとなる第5戦は、今シーズン2回目となる富士スピードウェイが舞台。参加する車両規定が多種なGT300クラスにおいて、FIA GT3のBMW M6は今回も圧倒的な速さを示して2位以下をラップダウンにして今季2勝目、昨シーズンから富士スピードウェイにおいて3連勝を記録した。また高木がGT300クラス通算20勝を達成した。

<予選>
 灼熱のコンディション下で僅差のグリッド争奪戦が繰り広げられた。トップ7までが約1秒差の中にひしめく予選となった。高木真一/S.ウォーキンショー(ARTA BMW M6 GT3/BS)が100分の14秒差で2番手グリッド、フロントローを得て決勝に向けて盤石の予選結果を得た。
 
 ポールポジションは、JAF-GT規定のマザーシャシー車両、松井孝允/坪井翔/近藤翼(HOPPY 86MC/YH)が獲得した。

<決勝>
 500マイルレースの序盤、高木/ウォーキンショー組はファーストスティントの8周目にトップを奪うと、ラップを重ねる度に2位以下に差を広げて行った。淡々とトップを快走するBMWの背後では、レースの最序盤でショートスティントによって義務ピット回数を消化しつつ以後ロングスティントを走ったり、タイヤ2本交換あるいは無交換でピット停車時間の短縮をするなど、チームによりさまざまな作戦が見られた。
 
 今回余裕をもってゴールを目指した高木/ウォーキンショー組は全ピットストップでタイヤ4本を交換。安定した速さを示した。一方でクラス11番手から決勝をスタートした嵯峨/平手組は、第1スティントで表彰台圏内まで一気に順位アップ。時折タイヤ無交換でピットストップタイムを短縮し、3位を確実にした。
 
 直後にはクラス9番手スタートの黒澤治樹/蒲生尚弥(LEON CVSTOS AMG/BS)が終盤追い上げて3位と約10秒差で4位ゴールを果たした。

<優勝ドライバーコメント>
高木真一選手
「今回の富士はBMW M6 GT3にとっては相性がよく好結果を残せてきているので、前戦タイでノーポイントに終わったことでウエイト(ハンディ)が増えなくてよかったと気持ちを切り替えてレースウイークに臨みました」

「タイで上位に入ってウエイトを載せていたら、今日の結果はなかったと思います。もちろん今回は優勝が目標でしたが、最低でも表彰台をと思っていました。タイヤを供給してくれるブリヂストンさんも含めて、チームの皆が一丸となっていいクルマに仕上げてくれ最高のレースウイークになりました。個人的に通算優勝20勝の最多記録は、特に気にしてはいません」

S.ウォーキンショー選手
「僕は2番目のスティントと4番目のスティントを担当したのですが、高木さんがトップに立ってくれて僕は高木さんがつくってくれたギャップを拡げていくだけでした。最初のスティントはハードタイヤを選び、タイヤは最後までグリップが安定していてコンスタントにラップを刻めるスティントでした」

「最後のスティントはミディアムタイヤを選んで走りました。路面温度も少し下がっていたようですが、このコンディションとミディアムタイヤとはとても相性が良く、グリップも最後まで安定していて最高な結果になりました。これでランキングトップになれたのはうれしいのですが、次戦の菅生は僕たちにとってあまり相性がよくありません。でも表彰台を狙う作戦で、悪くてもポイントを獲れるようがんばってチャンピオンを目指します」

<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:松本真幸のコメント>
「ここ富士では圧倒的な速さ、強さを誇るBMW M6が驚異的な富士3連勝を達成。それを今回も強力にサポートできたと思います。GT300クラスはタイヤ交換の作戦が多彩ですが、優勝チームは毎回のピットストップで必ず4本交換を実施して余裕をもって勝利のゴールへ向けて邁進して行きました」

「一方予選11番手からタイヤ2本交換などの作戦で着実に順位アップしてきた嵯峨/平手組は、前戦に続いて表彰台を獲得しました。シリーズランキング上位をブリヂストンユーザーが独占している状況となってきました」