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D’station Racing 2018スーパーGT第5戦富士 レースレポート

2018年08月06日 23:52  AUTOSPORT web

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D'station Porsche
D'station Racing
Race Report 005 - 2018.8.6

AUTOBACS SUPER GT SERIES Round.5 Fuji
August 4 - 5 2018

好フィーリングも暑さに苦戦
7位得点で終盤戦に繋げる

 今季ここまで、第3戦をのぞきポイントを獲得しつづけているD'station Racing。迎える第5戦は、例年同様夏の富士スピードウェイでのレースだが、2018年から500マイル(約804km)の長距離レースとなった。SUPER GTでは700km以上のレース距離の場合、ボーナスポイントが加算することができる。シリーズを考えても、上位入賞が重要となった。

 タイから戻ったD'station Porscheは念入りに準備され、8月4日(土)の公式予選日を迎えた。汗ばむ陽気のなか、午前8時40分からスタートした公式練習では、途中大きなクラッシュで中断したものの、藤井誠暢が20周、スヴェン・ミューラーが18周をこなし、藤井選手が1分38秒565というタイムをマーク。7番手と好位置につけた。

 ウエイトハンデもあり苦しい戦いが予想されたD'station Porscheは、第4戦から第5戦に向けて、ライバルに対してのスピードを改善するべく改善を進めてきたが、その甲斐あって公式練習ではフィーリングも良好。午後の予選では、ミューラーをQ1に据え、予選上位を目指すべく藤井をQ2に据えることになった。

 そして期待に応えたミューラーは1分38秒460というタイムをマークし、12番手とQ1突破ラインギリギリの順位ながら、見事ミッションを果たしQ2の藤井に繋げる。すると藤井も1分38秒405というタイムを記録し、富士での予選最上位となる8番手につけた。

 フィーリングも良く、ポルシェ911 GT3 Rは決勝でのロングに強みがある。加えて8番手からのスタートということもあり、上位入賞の機会もありそうだ。D'station Racingは期待とともに、8月5日(日)の決勝日を迎えることになった。



 午後1時30分からの決勝は、4回のピットストップが義務づけられている。合計5スティントが必要になるが、実際にはGT3カーの場合、3回のピットストップでも500マイルは走りきれる。ではこの1回分のストップをどう活かすか……? チームは長年の経験から、1回目のストップを早めに行いコース上の混雑を避け、ロスタイムを減らし、レース後半でセーフティカーが出た場合等で負うリスクを減らす作戦を立てた。

 スタートドライバーを務めたミューラーは、すぐに6番手に浮上することになるが、この作戦に従い5周を終えピットイン。早々に藤井に交代し、ピットイン義務をこなす。藤井はコース上の空いたスペースで高いペースを保とうとするが、折からの酷暑で路面温度が高く、タイヤが悲鳴を上げ始めた。ピットに状況を報せた藤井は、36周を終えピットインしミューラーに交代。症状は改善されたが、厳しさを感じたままミューラーは76周まで走行し、ふたたび藤井に交代した。

 この頃になるとやや気温も下がり、徐々にD'station Porscheのタイヤの路面がマッチし始める。均等にピット頻度を設定したライバルたちとは、時に順位が重なりながらも“見えない敵”との戦いとなっていったが、少しずつポジションも上がる。藤井は自身の第2スティントでロングドライブを敢行すると、124周まで引っ張り、ふたたびミューラーに交代した。

 終盤、8番手までポジションを上げたミューラーに#10 GT-Rが少しずつ近づくが、ミューラーはしっかりとペースをコントロール。逆に前を走っていた#21 アウディがタイヤを傷めピットインしたため、7番手まで浮上すると、長い500マイルをきっちりと走りきり、D'station Porscheは7位5ポイントを獲得した。ふたたぴポイントを重ねた藤井とミューラーは、ランキング8位。まだタイトル争いには残れる位置だ。

 今回のレースは暑さや展開が味方せず、トップ争いに絡むことはできなかったが、ドライバーふたりも与えられた状況の中でベストを尽くし、チームもノーミスで戦いを終えた。昨年までとは大幅にキャラクターが変わったポルシェ911 GT3 Rなら、終盤3戦は勝負できる可能性が高い。今回つかんだ5ポイントは、きっと終盤戦で活きてくるはずだ。

星野敏
Satoshi Hoshino / Team Principal
長距離だったので表彰台も期待しているレースだっただけに、その点では残念でした。今回はライバルメーカーのタイヤが非常に強く、その差という面で難しいレースでしたね。ただ7位フィニッシュということで、最低限のポイントを獲得することができたので、次に繋がると思っています。まだまだあきらめずに次の挑戦をしていきたいですね。併催のポルシェ カレラカップ ジャパンでは、若者と戦えることも分かりました。今度は最終戦の鈴鹿ですが、レースで勝てるようにがんばりたいです。皆さん応援本当にありがとうございました。

佐々木主浩
Kazuhiro Sasaki / General Manager
長丁場のレースということで、レース前にはもう少し上位でフィニッシュしてくれることを期待していましたが、もう少しでした。見せ場がなかったですね(苦笑)。今回のレースを活かし、またいろいろな対策を立ててチャレンジしてくれると思っています。きっちりポイントを獲得してくれたことは良かったのですが、当然この順位で満足しているチームではないですし、もっと上で走ることができる力を持っていると確信しています。次のレースはまた頑張っていきたいですね。

武田敏明
Toshiaki Takeda / Team Director
最終的にレース終盤は気温、路温が昨日より下がり、タイヤには合いましたが、そこではいいペースで走ることができました。ドライバーふたりも頑張ってくれて、ミスもなく7位という結果を残すことができました。ただ前戦もこのくらいの位置でしたし、とにかくもう少し上位に行きたい。あとアベレージでコンマ3秒上げたいのですが、タイヤサイズもありこの時季は特に厳しくなります。なんとかランキング上位に食らいついている状況なので、終盤3戦で大量得点をしたいところですね。

藤井誠暢
Tomonobu Fujii / Driver
結果としては予選8番手、決勝7位となりました。ストラテジーは悪くなかったと思いますが、路面温度が高いときのスティントでは、少し苦しい戦いになりました。後半スティントで履いたタイヤのパフォーマンスは素晴らしく、ペースを盛り返すことができました。ただ、表彰台を狙うためにはもっと改善しなければいけません。残り3戦の課題が見つかったと思いますが、タイトル争いを考えても残りのレースでいいレースをしなければいけないと思っています。そして今月開催される鈴鹿10時間もいい戦いをして、終盤戦に繋げていきたいですね。

スヴェン・ミューラー
Sven Müller / Driver
全体的にはいい週末だったと思う。チームは全力を尽くしてくれたし、いい仕事をしてくれた。マシンもプラクティスから予選、決勝を通じてすごくドライブしやすかったし、今年初めて僕のドライブでQ2に進出できたのは良かったよ。スタートはバトルを楽しんで、ふたつ順位を上げることができたんだけど、気温が高すぎて僕たちには不利だったね。終盤は気温も下がって、いいペースで走ることができたと思う。最終的には7位になったけど、今回の条件を考えたら結果には満足しているよ。