8月5日、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第5戦富士の会場で行われたGTA定例記者会見のなかで、坂東正明代表は6月23日にドイツのノリスリンクで行われたDTMドイツツーリングカー選手権との『クラス1規定』の合意の意義、そして今後について語った。
■クラス1規定は2030年まで有効。「中長期的にプランを立てられる」
これまで長い年月をかけて、車両規定統一化に向けて交渉が進められてきたスーパーGT GT500クラスと、DTMドイツツーリングカー選手権。6月にノリスリンクで行われた共同記者会見では、GTA坂東代表とDTMをプロモートするITR e.Vのゲルハルト・ベルガー代表が『クラス1』の共通テクニカルレギュレーションを公開し、2020年からこの規定によってそれぞれのマシンが作られることになった。
この日、富士スピードウェイでGTA定例記者会見に臨んだ坂東代表は「やっとクラス1規定ができあがり、2020年以降それぞれアジアとヨーロッパでやっていこうと合意に達しました」と規定公開を報告した。
クラス1規定は、車両規定のなかでEVパーツが定められており、各地域にサプライヤーがいるかたち。また、ヨーロッパではITRが、アジアにおいては知的財産権を半永久的に所有できるように書類の作成が進められているという。
またこの規定は、2030年まで使用されることになる。2020年から採用されるため10年間という長い間採用される規定だ。坂東代表は「2030年までこのレースは行う可能性があるということ。GT500のチームはスポンサーのとり方を中長期的に考えられるし、同様にマニュファクチャラーもタイヤメーカーも中長期的にプランを立てられることができる」と今後、参戦する側にとってメリットになるだろうと語った。
■今後GT500×DTMのジョイントイベントを世界に拡大!?
すでにGT500とDTMについては、2019年に双方の車両によるレース(今回から『ジョイントイベント』という名称に統一された)が行われるが、このレースはまだ両者の車両に違いがあるため、性能調整を施して行われ、20年以降はクラス1規定に沿った車両で争われることになる。
坂東代表はこの場で、ジョイントイベントについてはすでに明らかにしているとおり、19年と20年は日本とドイツで1戦ずつが行われる予定であるものの、さらに今後の展開について「2020年以降は毎年2~3戦をやりたい」とし、加えて「2025年以降はジョイントイベントを増やしたい。ヨーロッパで2戦、アジアで2戦、アメリカでの2戦を視野に入れながらやっていきたい」という将来像も語った。
「将来的に結びついていくものとして、『ワールドチャンピオンシップレース』とは言いませんが、各大陸のイベントをやっていく状況を、ITRと一緒に作っていきたい」
また、GTAはアジアで、ITRはヨーロッパでのそれぞれの位置づけをしっかりしていきたいと坂東代表は言う。これに付随していくつか話もあるようで、なんと中国で『チャイナ・スーパーGT』の構想があると明かした。GT500をクラス1車両で、GT300をGT3車両で戦う、日本のスーパーGTと同様のスタイルだ。
この『チャイナ・スーパーGT』については、日本の3メーカーやドイツの2メーカーが中国に持ち込み、さらにその勝者がGT500とDTMのジョイントイベントに出場したりと構想が膨らむ。「プロモーターがしっかりしていれば、クラス1をもとにした各国のシリーズが立ち上がる。各国の販社がマーケティングが営業戦略として考えられるものと近くなってくる。日本企業がそこに経済効果を感じて、開発部隊と営業戦略が常にできあがるようにできれば」と坂東代表は語った。
ノリスリンクでの記者会見の際も「ドイツのメディアが40名くらい来ていて、ヨーロッパではすごい反応があった」と坂東代表。今回合意に至ったクラス1は、今後世界のモータースポーツのなかでどんな立ち位置を築いていくのか、そしてクラス1の年間6戦のシリーズ戦はどんなものになるのか、今後の展開が楽しみなところだ。