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DREAMS COME TRUE、ライブ映像作品『THE DREAM QUEST』の真価 森朋之が見どころ解説

2018年08月06日 18:11  リアルサウンド

リアルサウンド

 DREAMS COME TRUEの約30万人を動員したアリーナツアー『DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2017/2018 – THE DREAM QUEST -』のBlu-ray & DVDが、“ドリカムの日”=7月7日にリリースされた。3年ぶりとなるオリジナルアルバム『THE DREAM QUEST』を携え、2017年10月より全国12都市32公演で開催された同ツアーは、全公演完全ソールドアウトとなった。Blu-ray & DVDでは、12月17日の横浜アリーナの模様を収録している。


参考:ドリカムは“Jポップの始祖”である 最新作『THE DREAM QUEST』&過去作から伝わる存在感


 ライブ前半では、「決戦は金曜日」「JET!!!」「24/7 -TWENTY FOUR/SEVEN-」など、“ドリカムワンダーランド”や“裏ワン”を彷彿とさせる選曲を披露。その後、NYでの映像ドキュメンタリーを挟んだ後半では、アルバム『THE DREAM QUEST』を収録曲順どおりに演奏している。DREAMS COME TRUEのライブを長年鑑賞しており、メンバーへのインタビュー経験もある音楽ライターの森朋之氏に、今回のBlu-ray & DVDの見どころを聞いた。


「今回のツアーに携えたアルバム『THE DREAM QUEST』では、音楽探求の旅を続ける“名も無き旅人二人”が冒険の末、不思議な“十二音使徒”と出会うというストーリーが描かれています。こうしたファンタジックな演出をするのは、DREAMS COME TRUEの近年のエンターテインメントの特徴のひとつで、ストーリー自体が前回のツアーから続いています。中村正人さんは以前、『善と悪、陰と陽をテーマにしたストーリーは万国共通なので、観ている人も入りやすい』と話していて、今回の演出はその最新版ということになるでしょう」


 パッケージ作品としても、魅力的な仕上がりだという。


「ライブの中盤ではNYでのアルバム制作の模様を捉えたドキュメンタリー映像が流され、彼らが曲順を決める様子も映し出されていました。ライブでアルバムの収録曲順に演奏することの意図を伝えるための演出で、その背景には、アルバム一枚を通してひとつの作品であるという彼らのアーティストとしての信条が垣間見えます。今回のステージも、“上下左右トータル12面体から成るステージ”とのことで、ここでも“12”を強調しています。メンバー二人が、楽曲ごとにステージの様々な場所でパフォーマンスするのですが、常にベストなアングルから鑑賞できるのも、パッケージされた映像作品ならではの魅力です」


 音楽的にも新たな発見がある作品だったと、森氏は続ける。


「前半のパートでは、2006年にリリースされたアルバム『THE LOVE ROCKS』に収録されたバラード曲の『めまい』のように、人気曲でありながらライブではあまり披露されてこなかった曲もやっていて、ファンには嬉しいポイントです。また、面白かったのは1990年にリリースされたアルバム『WONDER 3』に収録された『ESCAPE』。吉田美和さんが今回のツアーに向けて過去曲を探っているときに、『いま聴くとトラックがすごくかっこいい』と気付いて、今回披露することになったようです。世界的に90年代のブラックミュージックが再評価される中で、もともとブラックミュージックをルーツに持っている彼らが、改めて過去曲の魅力を再発見したというのは、興味深いことです」


 そして、なんといっても最大の魅力は、DREAMS COME TRUEの“歌と演奏”だと、森氏は強調する。


 「彼らのライブを観るたびに、吉田美和さんのアーティストとしての凄さに圧倒されます。横長のセンターステージを縦横無尽に行き交い、ダンスを披露しながら、あの歌声を響かせることができるシンガーは他にいません。また、中村正人さんはもちろん、バックバンドも素晴らしい。今回は特にドラマーの坂東慧さんに注目してほしいですね。DREAMS COME TRUEのライブは、演出やステージ構成も作り込まれていて毎回凄いのですが、最終的には音楽の力で感動させられるのが、何よりも魅力だと思います。こうしたパッケージだと、演奏もしっかり聴くことができるので、ぜひ細部まで楽しんでほしいです」(松田広宣)