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足の痛みを押して富士500マイルに決勝出場したZENT立川。「クラッシュの次元がすごすぎて、逆に気にならなかった」

2018年08月06日 14:21  AUTOSPORT web

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大クラッシュの翌日、メディカルチェックでOKを受けてレースに参戦したZENT立川祐路
スーパーGT第5戦富士500マイルの土曜午前の練習走行で、ブレーキトラブルによって大クラッシュしてしまったZENT CERUMO LC500の立川祐路。練習走行は赤旗中断となり、立川はメディカルセンター、そして御殿場市内の病院で検査を受け、決勝日に再びメディカルチェックを受けて、レース参戦の許可を得ることができた。

 ZENTはシーズン3基目のエンジン交換のため5秒ストップのペナルティをレース中に受けながら、8位入賞。石浦宏明が3スティント走行し、立川は2スティントを走破した。まだ左足甲に腫れと痛みは残るなか、立川はどのような心境でレースを戦ったのか。

 まずは足の状況だが、まだ痛みは残るものの前日のクラッシュ直後より腫れは収まった状態で、ペダルも踏むことがきたという。

「腫れが足の裏の方だったらペダルを踏むのが難しかったかもしれないですけど、甲の方だったので大丈夫でした」と立川。

 ノーブレーキで1コーナーに進入して自分でマシンをスピンさせるという「人生で一番、本気で怖かった」という恐怖体験を経て、立川は翌日の最初の1コーナーに、どのような気持ちで入っていったのか。

「何度もクラッシュした映像を見ていて、逆に気にしなくなっていました(苦笑)。気にしてもしょうがないですし、行くしかないですし」

「逆に自分のミスでクルマを壊した時の方が、次の時に行きづらいですね。まあ、『今日は大丈夫だな』と。そんなに今日は気にはしなかったですね。クラッシュの次元がすごすぎて、逆に次に行くときに気にはなりませんでした(苦笑)」

 気になっていた立川の代名詞でもある左足ブレーキも、難なく踏むことができたという。

「(負傷した左足で)ブレーキペダルを踏むのが痛かったら右足で踏もうと思っていましたが、しばらく右足で踏んでいなかったので右足でブレーキを踏んだら遅くなりそうだし、それに今度は右足でブレーキを踏み外しそうだったので(笑)、左足で踏みました」

 ZENTはチームメイトの石浦宏明が3スティントを担当してMOTUL AUTECH GT-Rのバトルで先行するなど、負傷した立川の分を補う走りで奮闘。シーズン3基目のエンジン交換のため5秒ストップのペナルティをレース中に受けながら、ライバル陣営がトラブルやアクシデントで戦列離れるサバイバルな展開の中、最後尾スタートから8位入賞を果たしてチャンピオン争いにとどまることができた。ZENTと立川にとって、決勝日はラッキーな展開となったが、立川の心は複雑だった。

「走れただけでも良しとしなきゃいけないレースで、エンジン交換による5秒ストップペナルティがあったなかでここまでこれたのは不幸中の幸いですけど、本来ならもっと前で戦えたはずのレースですし、もっと前には行きたかった。昨⽇クラッシュしてしまった相⼿のModulo Drago CORSE が出場できなかったので、後ろめたい部分はありましたが、やるからには中途半端なレースはできないというつもりで頑張りました」と立川。

「でも、昨日クラッシュした直後は、次の日のレースで走れるなんて、これっぽっちも思っていなかった。ランキングのポイント差を考えても仕方ないので、失ったポイントを頑張って取り返すしかないですよね。次は石浦の101回目のレースになりますし、残り3戦、毎戦頑張るだけです」と、すでに次の戦いにその目線は向いていた。