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東京五輪でサマータイム導入か「政府はエンジニアを絶滅させたいの?」「46道府県を巻き込むな」反対意見続出

2018年08月06日 13:11  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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政府は、2019年と2020年の2年間限定で、サマータイムを導入するための検討を本格的に始めた。産経新聞などが報じた。秋の臨時国会での、議員立法を目指す。

報道によると、6月から8月の数か月間だけ2時間繰り上げる方向で、2019年に試験導入し、2020年に本格導入する案が有力だという。東京オリンピック組織委員会の森喜朗会長は7月下旬、安倍総理大臣にサマータイム導入を求めていた。これを受けての動きと思われる。

サマータイムは、日照時間の長い欧米やオーストラリアなどで導入されており、日の出時間が長い3月から11月の間、時計を1時間~2時間進める、というもの。日本では2005年と2008年、議員立法での成立を目指したことがあったが、いずれも実現していない。

報道を受け特に懸念されているのが、システムエンジニアの業務量だ。

「オリンピックにかこつけて、やりたかったことを無理やりやろうとしてない?」


2020年は海の日や山の日などの祝日が移動し、開会式の前後が4連休、閉会式の前後が3連休など、イレギュラーな暦になることが決定している。来年2019年の改元への対応もある。サマータイムが導入されれば、エンジニアの負担増大は免れない。

2019年から先、継続的にサマータイムを導入するのであれば、まだ負担は小さい。しかし2年間限定となると、一度変更したシステムを短期間のうちに再度戻さなければならない。ツイッターでは、

「サ、サマータイム…!? サーバエンジニアが死ぬやつ…!」
「ただでさえ疲弊してるIT業界なのに……日本政府はエンジニアを絶滅させたいのかな」

という悲鳴が多数出ている。エンジニアの仕事以外にも、

「学校・病院・役所なども2時間前倒しということなら、市民生活ハードモードになるのでは」
「保育園の送迎に困るんだよね」
「日本でサマータイム導入とかおじいちゃんおばあちゃんが混乱するだけでは?」

など、各方面での悪影響を心配する声も少なくない。

東京五輪は、一部競技を埼玉県朝霞市、福島県福島市、神奈川県横浜市など、東京都以外の自治体で実施する。サマータイムの全国導もこのためだとも考えられるが、競技開催地になっている自治体は数えるほどだ。無関係な自治体の生活時間も変更となれば、「東京のバカ騒ぎに46道府県を巻き込むな」といった感想が出てくるのも当然だろう。

そもそも、暑さ対策のためなら、サマータイムを導入しなくとも、競技開始時刻の繰り上げで対応できるはずだ。ネットでは、

「なんかオリンピックにかこつけて、権力者たちがやりたかったことを無理やりやろうとしてない?今までやらなかったサマータイム導入しようとしたり、休日を動かしたり、ボランティア依存で自分のところに不利益がこないようにしたりと、やりたい放題だよねえ」

という指摘も出ている。

日本睡眠学会はサマータイムに反対「眠りの質・量を低下させる」

サマータイム導入で生活リズムが変われば、体調不良を引き起こす原因にもなる。日本睡眠学会は2012年、サマータイムは睡眠の質を低下させ、睡眠時間のさらなる短縮化を招くという理由から、反対声明を出している。

北海道庁では、2005年から2008年までの4年間、札幌商工会議所の「サマータイム月間」に参加する形で、繰り上げ出勤の推奨をしていた。業務への影響を複数回答で聞いたところ、「寝不足などにより体調が優れなかった」という人は29%にも上っている。「実質労働時間が増えた」人も26%いた。

世界の動きを見ると、サマータイムを新たに導入する国、廃止にする国など様々だ。今年1月には、フィンランドでサマータイム廃止を求める署名が7万人集まり、2月には、欧州委員会に廃止を求める提案がされた。欧州委員会は7月から、夏時間・冬時間の切り替えを維持すべきか、EU加盟国全てで廃止すべきかなどの意見募集を行っている。

【訂正】フィンランドのサマータイムについて、当初「今年1月に廃止」と記載していました。8月7日14時4分に訂正いたしました。