東京医科大が女性受験者の得点を一律で減点していた問題に対し、8月5日に放送された『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、ミュージシャン、ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が独自の見解を示した。
まず、モーリー氏は「女性医師は出産や子育てを機に現場を離れるかもしれない」という考え方の背景には"生産性"の概念があると指摘する。(文:石川祐介)
生産性の概念が差別の正当化に使われている
続けて、「生産性という棒を振りかざせば、LGBTであろうが男女であろうが、外国人家庭に生まれたニューカーマーの日本人でもいいですが、あらゆる方法で足切りできる」と語る。"生産性"という言葉を武器にすればあらゆる差別を正当化できるというのだ。
女性が出産を機に辞めてしまうため減点したという説明も「単なる差別を正当化する言い訳でしかない」と語気を強める。点数が低かったのに下駄を履かされて合格した男性受験者が将来医者になってしまうことについては
「社会にツケを回してる。患者が損する。その分、優秀な女性の医師に命を救われたほうが良いと思います」
と口にした。
また、司会の東野幸治さんは「先進国でこんなことしてるのは日本だけなんですか?」とグローバルな視点での見解を求めると、モーリー氏は
「先進国でやったら集団訴訟の対象になる」
と回答。現在、「受験費を返せ」と抗議活動が行われているが、海外だとそんな生易しい要求では済まされないのだろう。
「男性も育児と家事をやるように子どもの頃から教育する」
このような問題が生じないために、モーリー氏は"アファーマティブ・アクション"が普及する必要があると説明。
アファーマティブ・アクションとは、黒人や女性など歴史的・構造的に差別されてきた集団に対し、雇用・教育などを保証する特別優遇政策。米国で1960年代に導入された。
モーリー氏は今回のケースは明らかな男女差別であるため、「女性に加点するくらい考えた方が良い」とアファーマティブ・アクションの視点を導入し、女性を優遇すべきであると話す。
ただ、それは極論過ぎると自身で訂正し、
「男性も育児と家事をやるように子どもの頃から教育する。これが誰もが納得するアファーマティブ・アクションだと思います」
と代替案を提示。女性を優遇するのではなく、女性が強いられている負担を男性にも背負わせることが、問題解決の糸口になるという。
さらに、出産して離職してしまうことに対しても、6週間の産休をとったニュージランドのジャシンダ・アーダーン首相の話を持ち出した。アーダーン首相は産休中も仕事をしていたようで、
「産休だから現場にいられないって画一的に決めたのは男性ですよね?」
と凝り固まった先入観が多様性を奪っていると締めた。