2018 AUTOBACS SUPER GT Report
FUJI GT 500mile
第5戦 富士スピードウェイ
ZENT CERUMO LC500
#38 立川祐路/石浦宏明
◆8月5日(日) RACE
決勝結果 8位
公式練習でのまさかのクラッシュで、大きなダメージを受けたZENT CERUMO LC500。ただ、LEXUS TEAM ZENT CERUMOのメンバーはいち早く車両の修復にかかると、LEXUS TEAM ZENT CERUMOのメンバーは必死の作業を続けた。15番手グリッドからスタートすることは確定しているが、それでもなんとしてもポイントを持ち帰りたい……。チームの思いが日付けが変わった午前5時30分ごろ、ほぼ完璧な状態にZENT CERUMO LC500を復旧させた。
迎えた8月5日(日)の決勝日。ZENT CERUMO LC500の再車検も終えスタッフも満足げな表情を浮かべたが、LEXUS TEAM ZENT CERUMOにとってはもうひとつ決勝レースへの出走に向けた“課題”があった。それはクラッシュで打撲してしまった立川祐路が、メディカルチェックでOKをもらうことだ。立川は朝にチェックを受けたが、まだ痛みは残っているものの、レース出走に向けた許可が出た。
これで無事にレースに出場できることになったチームは、午前中のピットウォークで石浦宏明のSUPER GT参戦100戦のお祝いのセレモニーを行い、改めて気持ちを新たに午後0時55分からのウォームアップに臨んだ。石浦はこの週末初めてZENT CERUMO LC500のステアリングを握ったが、修復成ったZENT CERUMO LC500のフィーリングは悪くなさそうだ。ウォームアップでZENT CERUMO LC500は9周をこなし、1分31秒904というベストタイムをマークした。
迎えた午後1時30分からの決勝。スタートドライバーは石浦だ。序盤は最後尾から様子をうかがいながら、まずは5周目、前日のクラッシュによりエンジン交換となったため、そのペナルティストップ5秒が課せられる。これはすでにレース前から決まっていたことであり、石浦は冷静にペナルティを消化し、ふたたび追い上げをかける。
前とは大きく差は開いてしまったが、逆に考えれば無用なバトルをせず、高いペースを保てばレース距離が長いこともあり、追い上げも可能だ。「まずは前に追いつくこと」と石浦はタイヤを気にせず、アグレッシブに攻めると、35周を終えピットイン。立川に交代する。立川はブレーキングでその速さを生む左足のコンディションが心配されたものの、ドライビングに支障はなく、こちらも着実に周回を重ね、いよいよライバルたちの背中を視界にとらえた。51周目にはNo.3 GT-Rをオーバーテイク。順位を上げる。さらに63周目にはNo.19 LC500もパス。コンディションに問題はなさそうだ。
立川は70周目までドライブを続け、まずは一度目の役目を終えると、ふたたび石浦がZENT CERUMO LC500のステアリングを握る。ここまでZENT CERUMO LC500のピット作業もノーミスで、ペースも高い。周囲のライバルにトラブルやペナルティが起きるなか、90周を過ぎる頃になると、いよいよ8番手を争う集団に接近。91周目にはNo.39 LC500をパスし、さらに前を行くNo.64 NSX-GT、No.100 NSX-GTの戦いに近づいた。
長丁場のレースのなか、自身の第2スティントをまたもミスなく終えた石浦は、108周を終えてふたたび立川にステアリングを委ねる。順位もジワジワと上がり、ZENT CERUMO LC500は9~10番手を走行。徹夜で修復に携わったメカニック、スタッフたちの期待に応えるべく、ポイント圏内に浮上していった。
レース終盤、立川は9番手を走りながら着々と周回数をこなしていく。前後のライバルとは間隔が離れてしまったが、それでも立川は集中を切らさず、146周を終えピットイン。ふたたび石浦にステアリングを託すと、今度は首位を走っていたNo.12 GT-Rがガレージインしたこともあり、さらにひとつポジションアップ。これで8番手まで順位を上げると、石浦は終盤No.23 GT-Rに迫られたが、「これ以上ポイントを落とすわけにはいかない」としっかりとポジションを守り、無傷のままZENT CERUMO LC500をチェッカーまで導いた。
ZENT CERUMO LC500の結果は8位。今回はレース距離が700km以上であるため、4ポイントを持ち帰ることができた。もちろんレースに臨む前に目標としていた25ポイント=優勝とは大きな差があるが、徹夜の作業をこなしたスタッフたちは、ホッとした表情を浮かべた。しかし、今回失ったポイントは確実にある。シーズンの残り3戦に向け、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは今度こそ優勝を目指していく。
ドライバー/立川祐路
「まず、今日レースをすることができてホッとしています。昨日のクラッシュの直後は『しばらくクルマは直らないのではないか』と思いましたし、レースを戦うことができるとは夢にも思ってもいませんでした。チームのみんながしっかりクルマを直してくれたことに感謝したいですね。一方で、昨日クラッシュしてしまった相手のModulo Drago CORSEが出場できなかったので、後ろめたい部分はありましたが、やるからには中途半端なレースはできないというつもりで頑張りました。状況を考えるとエンジン交換のペナルティもあるなか、ポイントを獲れたのは本当に良かったですし、このポイントを残りのレースできっちり活かせるよう、次戦は完璧な戦いをしたいと思っています」
ドライバー/石浦宏明
「昨日は走り出しからクルマのフィーリングは良さそうだと思っていたので、きちんとクルマが直っていれば戦えると思っていました。それはウォームアップで確認できたので、ペナルティを受けてからは、どう追いつくかというのが頑張りどころだと思っていました。ペースは速かったですし、立川選手に代わってからはオーバーテイクもしてくれていたので、良かったです。エンジニアたちとも『地道にレースするしかない』と言っていたので、できるだけのことをして戦いました。今回は想定したとおりのレースはできたと思いますが、昨日のクラッシュだけが想定外でしたし、今週大量得点を逃す要因になったと思います。クルマは直しましたが、あれは起こってはいけないトラブルだと思います。他に迷惑もかけていますし、チームの一員として、チーム全体で大きく反省しなければいけないと思います。再発しないようにみんなで考えていきたいですね」
浜島裕英監督
「まず今週末を振り返ってみると、反省点としてトラブルを出さないことがまず第一です。ただ、予選日にトラブルが起きてしまったなかで、チームスタッフ、メカニックたちがしっかりとクルマを直してくれました。そしてドライバーも短いウォームアップの時間で確認をしてくれて、競争力のあるクルマをレースに送り出すことができたと思います。結果として、みんなの努力でポイントを獲得できたのは、期待以上のものになったのではないでしょうか。今回、持ち込みのレベルが上がっていることも確認できましたし、次戦SUGOは優勝を狙わないといけません。ハンデの部分でも有利な面はありますし、しっかりと大量得点をして、チャンピオンシップを争いたいと思います」