2018年08月05日 11:12 弁護士ドットコム
同じ会社に勤める既婚男性から告白されたという女性が、「慰謝料を請求することはできますか?」と、弁護士ドットコムに相談を寄せました。
【関連記事:「16歳の私が、性欲の対象にされるなんて」 高校時代の性被害、断れなかった理由】
その既婚男性は、相談者にとって「兄のような存在」でした。結婚式にも出席し、奥さんとも顔を合わせ、信頼できる先輩社員として接してきました。もちろん恋愛感情はありません。そのような男性からLINEで告白され、相談者は「内容や言葉が嫌悪感しかなかったです」と心境を打ち明けています。
他にも原因はあるものの、この告白も一因となり、結局会社をやめてしまったという女性。告白をしてきた既婚男性に対し、慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。高木由美子弁護士に聞きました。
「嫌悪感を抱いただけでは、その告白が直ちに不法行為になるとはいえません。しかし、告白の内容や方法、それに伴う行動によっては、その既婚男性の行為はセクハラ行為や嫌がらせ行為として不法行為となり、慰謝料請求ができる可能性はあります」
高木弁護士はそのように指摘します。どのような場合、セクハラと認められるのでしょうか。
「セクハラのようなハラスメント行為は、その全てが違法で不法行為になるわけではありません。
裁判では、ハラスメント行為の違法性は、被害者の主観的な感情を基準に判断されるものではありません。両当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、被害者の対応等のさまざまな事情を考慮して、行為が社会通念上許容される限度を超え、あるいは社会的相当性を超えると判断されるときに不法行為が成立するとされています」
ケースバイケースということですね。今回のケースはどうでしょうか。
「既婚者が女性に単に好きと言い、それに女性が嫌悪感を覚えただけでは、社会通念上、許容限度を超えてセクハラになるとまでは言いがたいです。
しかし、例えば『好きだから一緒にホテルに行きたい』など、性的なものを伴う告白や、執拗にラインをするなどストーカー的行動をともなう場合には、セクハラ、嫌がらせ行為として不法行為となり、慰謝料請求できる可能性があります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
高木 由美子(たかぎ・ゆみこ)弁護士
第一東京弁護士会所属。米国・カリフォルニア州弁護士
事務所名:さつき法律事務所
事務所URL:http://www.satsukilaw.com/