ダニエル・リカルドがレッドブルを今年いっぱいで離脱し、ルノーに移籍する意思をクリスチャン・ホーナー代表に伝えたのは、ハンガリーGPを終えた木曜夜のことだった。
ハンガリーGP後のテストも無事終わり、F1関係者が夏のバカンスに出かけようというまさにその時、リカルドが大型爆弾を炸裂させた。レッドブル残留は間違いないと誰もが信じていた、その予想を裏切ってルノーとの最低2年間の契約を発表したのだ。
実はリカルドは比較的早い段階から、レッドブルでF1キャリアを続けると上層部に伝えていたという。英デイリーメール紙によれば、すでに残留を発表するビデオまで撮影し終えていたという。
「なので、木曜日にダニエルから会いたいと電話がかかってきたときは、最初は何の用事なのかさっぱりわからなかった」と、ホーナーは述懐する。
そしてリカルドから翻意を告げられた時には、「あの冗談好きのダニエルが、また得意のジョークで困らせようとしていると思った」という。
それにしても、なぜよりによってルノーだったのか。レッドブルとルノーの不仲は、ここ数戦いっそう深刻になっていた。それだけに今回リカルド獲得に成功したルノーF1のシリル・アビテブールは、今頃、さぞ高笑いしているのではないだろうか。
■リカルドのルノーF1電撃移籍、ムッシュ柴田のひとくち解説
・F1ジャーナリストの柴田久仁夫氏が移籍の理由を推測
リカルドのレッドブル離脱はホーナー代表のみならず、F1関係者にとっても青天の霹靂だった。メルセデスにもフェラーリにも移籍の可能性がなくなったリカルドが自らチームを去って他に移るはずがない、と誰もが思っていたからだ。
なので当初はレッドブル側、より正確にはヘルムート・マルコ博士が、リカルドを放出したのではないかという観測も流れたほどである。
しかしこの記事を信じるなら、リカルド自身がルノー入りを決断したことになる。だがリカルドはかねがね、「勝てるチーム、タイトルを狙えるチームで走ることしか考えてない」と繰り返していた。そしてルノーはアビテブール自身、「まだタイトルを獲れる実力はない」ことを認めている。
数時間前にリカルド本人がSNSに上げたビデオメッセージでも、移籍の理由は明言されていない。考えられるのは、レッドブルとマックス・フェルスタッペンとの契約がナンバー1待遇で、それにリカルドが我慢できなかったということだ。そして2019年はともかく、2年目の2020年なら、ルノーはトップチームの仲間入りできると確信したということか。
リカルドの後任が誰になるのかも含め、いろいろな疑問への答えが出てくるのは、まだもう少しあとになりそうである。