2018年08月04日 11:02 弁護士ドットコム
東京都内などで猫カフェ「MOCHA」(モカ)を運営するケイアイコーポレーション(東京・港区)は8月3日、東京・立川店で、計5匹の猫が「猫パルボウィルス」に感染し、死亡していたと、公式ホームページ上で発表・謝罪した。8月4日から、関東の全店舗を臨時休業して、抜本的な改善策を講じるとしている。
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猫カフェ「MOCHA」の立川店をめぐっては、感染力が強いとされる「猫パルボウィルス」が蔓延して、複数の猫が死亡しているという情報がインターネット上で広まった。従業員や元従業員とみられる人物から、そのような告発がされて、話題になっていた。
ケイアイコーポレーションによると、7月26日深夜、立川店の猫2匹の体調に異常がみられたため、病院で受診したところ、猫パルボウィルス検査で陽性の診断結果が出た。さらに、7月27日、28日にも、ほかの猫も、猫パルボウィルスの感染がわかり、8月1日までに計5匹の猫が感染して、死亡する事態に発展したという。
同社ホームページには、次のような謝罪文が掲載されている。
「これまで、当社全スタッフは、誰にも負けない愛情をもって全ての猫に接してまいりましたが、今回、5匹の猫が猫パルボウィルスに感染し、死亡する事態が生じてしまったことについては、大変残念な思いです」
「また、猫パルボウィルスが感染力の強いウィルスであることも踏まえ、2匹の感染が発覚した時点で営業を即時停止せず、洗浄を徹底すること等で営業を継続したことにより、皆様にご迷惑やご心配をおかけしてしまったことは、当社の判断ミスであったと深く反省しております」
そもそも、猫パルボウィルスはどのような感染症なのだろうか。獣医師の原野亮氏(ホームズ動物往診所)は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「猫パルボウィルスは感染力が非常に強くて、特効薬はなく、動物病院でも対応に苦慮します」と答える。
原野氏によると、猫パルボウィルスに感染・発症した猫は、嘔吐と下痢、血便、発熱、元気・食欲の低下などの症状がでる。さらに白血球減少も起こりうる。きちんとした処置をとらなければ、死亡してしまうという。
ウィルスの主な感染源は、感染した猫のふんだ。下痢などの一部が毛に付いている場合があり、ほかの猫がその猫に直接触れたり、間接的に食器・トイレに付くなどして、広がっていく。ウィルスの潜伏期間は5日前後で、「その間、感染・発症した猫は絶対に隔離する必要がある」(原野氏)。
隔離も、同じ部屋の別のケージではなく、部屋を分けたほうがよく、食器・トイレはかならず消毒することで、さらに感染が広がることを防ぐことができるそうだ。
「猫カフェの客やスタッフのように、猫に触れる機会が多い人たちの場合、店外にも、感染を広げてしまう可能性があります。感染した猫に素手で触ったら、ほかの猫に触らないようにしてください。どうしても触る必要があるなら、使い捨て手袋などを利用しながら、対応してください」
一般的な予防としては、ワクチンの接種がおこなわれている。いずれにせよ、「先ほど述べたような症状が出たら、早い段階で専門家に相談することをおすすめします」(原野氏)ということだ。
ケイアイコーポレーションによると、これまで、立川店の5匹以外は、猫パルボウィルスの陽性と診断された猫はいないが、獣医師の診断と指導のもと、少しでも体調に異変のある猫は、病院で治療しているという。
また、それ以外のすべての猫を隔離施設に収容しており、清掃業者により立川店の徹底洗浄・消毒をおこなう。ウィルスの潜伏期間も考慮して、8月8日ごろをめどに、感染の有無について全頭検査を実施して、その健康を確認して、さらに東京都動物愛護相談センターの安全確認を得たうえで、営業再開する予定。
立川店から猫を移動させたことはないとしており、ほかの店舗の猫にウィルスが感染したおそれはないが、「お客様のご心配も考え」て、関東全店舗についても8月4日から臨時休業とする。営業再開については、全頭検査の結果、安全が確認できた店舗から開始する。
(弁護士ドットコムニュース)