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石井杏奈が山本舞香の心を動かす 『チア☆ダン』Rocketsが乗り越えた2つの壁

2018年08月04日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 夏の県大会が失敗に終わるも、太郎(オダギリジョー)からの“贈る言葉”でエンジンが入った福井西高校の「Rockets」。研究のために福井中央高校「JETS」の練習を見学に行った彼女たちはその凄さに圧倒され、JETSの練習方法を参考に、どんどん真似していこうと決める。そんな中、またしても茉希(山本舞香)が他のメンバーと衝突してしまうのだ。


参考:『チア☆ダン』最も輝きを放つのはオダギリジョー 『金八先生』を思わせる名スピーチの重み


 8月3日に放送されたTBS系金曜ドラマ『チア☆ダン』の第4話は、一度挫折を味わったRocketsのメンバーがそれを乗り越え、次のステップに向かうための最初のエピソードとしてふたつの大きな壁を乗り越えていく様が描き出された。ひとつ目は、メンバー同士の絆を確固たるものにすること、つまり茉希の心を開くこと。そしてもうひとつは、人前でチアダンスを成功させるということだ。


 先週放送された第3話のクライマックス。夜の部室に集まった彼女たちは、太郎が作った「夢ノート」に目標を書き記していく。その中で茉希は「もっとしゃべる」ということを最初の目標にしていた。中学時代に起きた事件がきっかけで、他人を信じられなくなってしまった茉希。そんな彼女をチアダンス部に引き入れることができたのは、第2話での汐里(石井杏奈)の言葉に他ならない。人に合わせて踊ることが大嫌いだという茉希に、汐里は「私も嫌い」と同調。そして「あなたが変わる必要なんてない。あなたはあなたらしく踊ればいい」とすべてを肯定し、受け入れるのだ。


 そして今回もまた、部から離脱しかけていた茉希の心を動かしたのは汐里だった。「本当言うと私も人の真似とか大っ嫌い」と茉希の心情に寄り添いながら、気になっていた事件の真相について聞き出す。「私たちも裏切ると思う? いいよ、茉希は茉希のペースで。無理して輪に入ってこなくてもいい」と尊重しながら茉希の必要性と、Rocketsの仲間であることを説く。しっかりとした筋立てで語りかけた後に、サクッとその場から立ち去るのもまた、汐里の説得術の巧さを感じる。


 一方で、前述のシーンと同じようにベンチで横並びになって過去の出来事を話すというやり取りが、本エピソードの中でもうひとつ登場した。こちらはチアリーダー部から追い出されてしまった1年生の芙美(伊原六花)と、わかば(土屋太鳳)のやり取りだ。落ち込んだ表情で涙を流している芙美に「何聴いてるの?」と別の話題で話を持ちかけながら、色んなことを聞きだそうとしてしまうわかばに、芙美は立ち去ってしまうのだ。この2つのシーンを比較するとどことなく、汐里とわかばの性格の違いがはっきりと見受けられるだろう。


 とはいえ、わかばは別の形で芙美の心を動かす。彼女の父親との思い出の曲であるTHE BLUE HEARTSの「人にやさしく」を商店街の祭で踊ることを決め、茉希も戻ったRocketsのメンバー8人で、息の合ったチアダンスを披露する。劇中でこの曲の練習の過程がスパッとカットされているのは、彼女たちの心がひとつになったということを表すためであろう。そして、芙美だけでなく活気のなくなっていた商店街も元気付けたRocketsは、観客からアンコールを求められたことで、逆に元気と自信をもらうことができたのだ。こういった相互に応援し励まし合う関係が生まれるのも、チアスピリットの魅力なのかもしれない。(久保田和馬)