WEC世界耐久選手権に参戦しているアストンマーチン・レーシング(AMR)は8月2日、2018/19年“スーパーシーズン”におけるLM-GTEプロクラスのドライバーラインアップを変更するとアナウンスした。
量産車のフルモデルチェンジに合わせ、2018年から次世代型のバンテージをベースに新開発したGTEマシン、アストンマーチン・バンテージAMRをWECに投入しているアストンマーチン・レーシング。
アストンマーチンのワークス部隊である同チームは今季、新車の投入と同じタイミングで元BMWのDTMドライバーであるマキシム・マルタンと、ウイリアムズF1の開発ドライバーを務めていたアレックス・リンを97号車のドライバーに抜擢するなど、ドライバーラインアップを強化してきた。
この体制変更の煽りを受ける形で、2017年に97号車をドライブしル・マン24時間でクラス優勝を飾ったダレン・ターナーは、マルコ・ソーレンセンとニッキー・ティームのデンマーク人コンビが駆る95号車の第3ドライバーに。また、同じくル・マンウイナーとなったジョナサン・アダムはマルタンとリンの新コンビに加わって2018/19年スーパーシーズンの開幕戦スパ・フランコルシャン、第2戦ル・マンに参戦している。
しかしAMRは今回、チームの母国ラウンドとなる第3戦シルバーストンを前にイギリス人ドライバーであるターナーとアダムを、各車のドライバーラインアップから外す決定を下した。
ル・マンを除く6時間レースに2名で臨む参戦体制は、複数のドライバーが1台のクルマをシェアする際の“妥協点”をより高い位置に置けるという意味で有効とされており、近年のLM-GTEプロクラスでよく見られる手法だ。今季に関してはル・マンの前哨戦として位置づけられるスパ6時間であっても、フェラーリとBMW、そしてポルシェが第3ドライバーを起用していない。
■ベテラン、ターナーとの契約を延長。アダムはGTEアマをサポート
シーズン途中でGTEプロクラスのシートを失うこととなったアダムは今後、GTEアマクラスに参戦するアストンマーチンのカスタマーチーム、TFスポーツをサポートすることになるといい、サリフ・ヨロックとチャールズ・イーストウッドとともに90号車アストンマーチン・バンテージGTEをドライブする予定だ。
一方、過去14年にわたってアストンマーチンワークスドライバーとして活躍してきたターナーは、チームと新たに長期契約を締結。この契約によってターナーはレーシングドライバーと同時に、ロードカーとレースカーの開発責任者やブランドアンバサダーといったシニア的役割も果たしていくことになるという。
なお、3度のル・マンウイナーは2018年内に行なわれる第3戦シルバーストン、第4戦富士、第5戦上海の3レースを欠場するものの、第6戦セブリング1000マイル以後のスパ、ル・マンでは95号車に復帰する予定となっている。
「アストンマーチンとの関係をさらに広げ、継続できることをうれしく思うよ」と語ったターナー。
「ル・マンで3回の優勝を飾ったこの14年間は本当に素晴らしい期間となり、僕のキャリアのハイライトにほかならない。僕はこの先、新たなロードカーやレーシングカーを作り上げる上で重要な役割を果たすことになるが、そのことに興奮しているんだ」
「もちろん2019年のセブリングで95号車に戻るのが楽しみなのは言うまでもない! それはアストンマーチンドライバーとして素晴らしい瞬間であり、僕をの一部だからだ」