仕事は真面目にやるべきだと思う。でも、それだけじゃ頑張りすぎてしまうから、たまに力を抜いたって悪くはない。
そんなことしたら成績が悪くなる、と考える人も多いだろう。しかし、現実はそうとも限らない。不思議なことに、真面目に働いているときより良い結果につながることもある。(文:松本ミゾレ)
「多少フランクなほうが印象良い」「必死だと細かいことに気づけなくなる」
先日、5ちゃんねるで「営業マン僕、必死でやる→契約0 適当にやる→契約5 なぜなのかww」というスレッドに出会った。真面目にやっても成績が伸びないのに、手抜きをしているとどういうわけか成績が伸びてしまうジレンマ、僕はある。
僕はライターで食っているけど、真面目に、真摯にと心掛けすぎると、どうしても説明がくどくなってウケない。一方で、飲酒しながら適当に仕上げる原稿に限ってよく読まれたりする。
スレ主の場合は、必死にやってもうまくいかなかったのに、適当にやったら5件アポが取れたとスレッドタイトルにもしているし、こういう「真面目に取り組むって馬鹿らしいなぁ」と思えるような事例は、どの業種にもあるようだ。
スレッドに寄せられた様々な意見には、仕事をする上では適当さも必要だという声も多かった。いくつか引用して紹介したい。
「肩に力が入り過ぎてたんだろ。のんびりやれよ」
「多少フランクな方が印象は良いよね」
「必死になると普段なら気づけることや目が届くことに気づけなくなるんだよ。営業は客の言動や挙動から何を感じ取るかにかかってるから客の前で必死になると全く意味がない。もちろん客のいないところでは必死になることも必要だけど」
こんな具合に、営業する側の意見、お客として求める理想的な営業マン像など、色々あったけど、手抜きを絶対悪と見る人はいなかった。
適当といい加減は似ているようで違う「さじ加減必要だろうからなあ」
営業は、煙たがられる傾向のある仕事だ。営業される側にとっては、最初から契約させる気満々で挑まれるより、柔らかい雰囲気で臨んでくれたほうが気持ちのハードルが下がる、といったところだろうか。
スレ主も「適当もただ舐めてるようにやればいいわけじゃないやろからさじ加減必要だろうからなあ」と発言しているが、まさにその通り。相手に警戒させず、非礼に思わせるでもない絶妙に力を抜いた接し方が、ときには仕事をスムーズに進めるためのポイントになることだってあるだろう。
そしてこれは営業職だけではなく、ほかの業種でも参考になると思う。上司に対して常に敬語の慇懃無礼なタイプより、敬意を持ちながらも、ちょっと砕けた接し方をする部下のほうがかわいがられることってあるしね。
真面目に取り組もうとすると、特定の仕事や作業に集中し過ぎて、関連する他の仕事が見えなくなってしまいがちだ。それよりも、周辺を考える余裕を持てるくらいの力で仕事したほうが、気付けることが多くなる分、難局を突破しやすくなる、というのはあるかもしれない。
「適当」と「いい加減」はイコールに捉えがちだけど、だいぶ違うことだよね。