元F1ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサは、カルロス・サインツJr.はフェルナンド・アロンソのチームメイトとしてうまく戦っていくには経験が浅すぎるとして、ふたりがマクラーレンで組むといううわさが現実にならないことを願っている。
アロンソは2019年もF1で走り続けるのかどうかの決断をまだ下していない。一方、チームメイトのストフェル・バンドーンは、アロンソに比べるとパフォーマンスがぱっとしないため、今季末でシートを失うのではないかとの推測が持ち上がっている。
もしそうなれば、その後任として有力なのは、現在チームのテスト兼リザーブドライバーを務めるランド・ノリスであると考えられてきた。
しかしこのところ、マクラーレンの2019年ドライバー候補について語られる時、カルロス・サインツJr.の名前が挙げられるようになってきた。現在サインツJr.はレッドブルからルノーに貸し出されているが、貸し出しの期限は11月に切れるといわれている。そしてルノーは来季、サインツの後任としてエステバン・オコンを起用することを考えている。
23歳のサインツJr.にとってレッドブル・レーシングに加入できるなら喜ばしいことだろうが、それが可能になるのはダニエル・リカルドが離脱する場合のみであり、リカルドとレッドブルの契約延長は内定しているものとみられる。トロロッソにはシートがあるだろうが、サインツはジュニアチームへの復帰は望まないだろう。
そうなると、サインツJr.は新たなシートを探す必要があるわけで、その最有力候補はマクラーレンであると推測されている。アロンソが残留を決めた場合、サインツは同じスペイン出身で、子どものころからのアイドルであり、良き助言者でもあるアロンソのチームメイトになるかもしれないわけだ。
しかしそれについてスペイン出身のデ・ラ・ロサは、サインツにとって良いことではないかもしれないと考えている。アロンソのチームメイトとなることには大きなプレッシャーが伴い、若いドライバーはその影響で本来の力を発揮できなくなるかもしれないからだ。
「彼らは一緒ではないほうがいいと思う」とデ・ラ・ロサはラジオ局Cadena Serのインタビューで指摘した。
「フェルナンドのチームメイトでいることはとても難しい。だから私としては、カルロス以外の誰かが引き受けた方がいいと思っている。カルロスはあと2、3年経験を積んでからフェルナンドのような大物と対決する方がいい」
■サインツはマクラーレン入りのうわさにノーコメント
デ・ラ・ロサはサインツJr.を高く評価していないわけではない。彼はサインツJr.が適切に身を処せば、F1において輝しいキャリアを築くことができると考えている。
「もしルノーがカルロスを手放すというミスを犯しても、彼はまだF1の中で居場所を見つけられるだろう」とデ・ラ・ロサは主張している。
今のところサインツJr.は、来季のマクラーレン移籍の可能性については固く口を閉ざしている。
「それについてはコメントできない」とサインツはハンガリーGPでの記者会見で発言した。
「レッドブルが僕の将来を決めるか、リカルドが契約を結ぶかどうかがはっきりするまでは、何も変化はない。僕の将来はまだ不確定で、他のどのチームとも繋がりは持っていない」
■デ・ラ・ロサが予想する2018年F1タイトル争い
デ・ラ・ロサ自身は1999年から2012年までの間、アロウズ、ジャガー、マクラーレン、ザウバー、HRTといったチームから104回のグランプリレースに参戦した。マクラーレンでは7シーズンの間テストドライバーを務め、9レースに参戦。また、フェラーリの開発ドライバーを務めた経験もある。
マクラーレンとフェラーリの両チーム、そして元チームメイトのルイス・ハミルトンをよく知るデ・ラ・ロサは、今年はフェラーリのマシンの方がパフォーマンスが優れているものの、ポイントの取りこぼしもあるため、2018年のタイトル争いは最終戦まで決着はつかないと考えている。
「メルセデスはフェラーリが勝つべきレースで勝っている。だからベッテルは、最高のマシンがあるにもかかわらず24ポイント差をつけられているのだ。ベッテルにとって非常に難しい状況だ」とデ・ラ・ロサは語った。
「だが、まだ道のりは長い。これからいろいろなことが起き、その積み重ねで、最後のレースにすべてが決まるのだろう」