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サイモン・ペッグが語る、『M:I』ベンジーが愛される理由 「観客が思っていることを代弁している」

2018年08月02日 18:52  リアルサウンド

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 トム・クルーズ主演のスパイアクション映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』が8月3日に公開される。全世界累計興行収入3,000億円以上を記録する『ミッション:インポッシブル』シリーズの第6弾となる本作では、クルーズ演じるIMFのエージェント、イーサン・ハントと彼のチームが、盗まれた3つのプルトニウムを奪い返し、複数都市の同時核爆発を未然に防ぐ新たなミッションに挑む模様が描かれる。


参考:『M:i5』の隠された魅力とは? アクション、テーマ、演出の特異性をひも解く


 今回リアルサウンド映画部では、シリーズ第3弾『M:i:III』からベンジー役でレギュラー出演しているサイモン・ペッグにインタビューを行った。自身が演じるベンジーの成長や、前作『ミッション:インポッシブル:ローグ・ネイション』から続投となったクリストファー・マッカリー監督、そして4度目のタッグとなったトム・クルーズについても語ってもらった。


ーー今回の最新作では、ジュリア役のミシェル・モナハンがカムバックしていたり、ウィリアム・ブラント役のジェレミー・レナーがいなかったりと、キャストの変動も多い『ミッション:インポッシブル』シリーズですが、あなたが演じているベンジー・ダンはすっかりシリーズになくてはならない存在になりましたね。


サイモン・ペッグ:(以下、ペッグ):また戻って来ることができてとてもハッピーだったよ。ベンジーは過去3作でチームの中でも重要な役を担ってきたから、実はもしも声がかからなかったらどうしようと思っていたぐらいなんだ。でも、キャラクターの寿命には限りがあるし、このシリーズはいろんなキャラクターが登場したり、いなくなったり、また登場したりと先が読めない部分もあった。ベンジーがもしかしたら殺されてしまう可能性すらあるからね(笑)。


ーー確かにその通りですね(笑)。『M:i:III』で初登場した頃から振り返ってみると、ベンジーも大きな成長を遂げました。


ベンジー:もともとはIMFの技師だったベンジーが、今やエージェントメンバーとしてイーサンたちとともに中心的な役割を担っている。僕自身も歳を重ねているように、ベンジーも成長していて、その過程を演じられるのはすごく楽しいことなんだ。初めて銃を撃つ経験をはじめ、ベンジーは危機的な状況を何度も経験して、成長してきた。今後もベンジーが登場するのであれば、安心して見守ってもらえるんじゃないかな。ルーサー(ヴィング・レイムス)もそうだけど、このチームの一員はみんななくてはならない存在になっていると思うよ。


ーー『スター・トレック』シリーズのスコッティも、この『ミッション:インポッシブル』シリーズのベンジーもそうですが、あなたは“愛されキャラ”を演じることが多いように思います。


ペッグ:ベンジーは作品におけるヒーローではなく、その代わりとなるようなキャラクターだね。ベンジーもスコッティも観客が共感できるキャラクターだと思うんだ。スコッティはカークがやろうとしていることに対して、「無理だ」とか「バカげてる」と、頭の中で思っていることをすぐに口に出してしまうところがある。ベンジーも同じように、イーサンのやろうとしていることがいかに無謀であるかを指摘する。観客が思っていることを代弁するキャラクターなんだよね。そういった等身大な部分がみんなに愛される理由なんじゃないかな。


ーーブライアン・デ・パルマ、ジョン・ウー、J・J・エイブラムス、ブラッド・バードと錚々たる監督陣がメガホンを取ってきたこのシリーズですが、前作『ローグ・ネイション』で監督を務めたクリストファー・マッカリーがシリーズで初めて監督を続投しているのも大きなトピックですね。


ペッグ:僕はクリスと仕事をするのが好きだから、また彼と一緒にできると聞いてすごく嬉しかったんだ。監督としても脚本家としても本当に素晴らしい人だからね。フィルムメーカーとして全ての過程をしっかりと見ることのできるできるすごい人だよ。だから、前作の時点で彼が次の作品でも監督を続投することはある程度想定していたんだ。クリスとトム(・クルーズ)には彼ら独特のリズムがある。2人の信頼関係は本当に素晴らしいし、クリスは誰よりもトムのことを信頼しているからね。何の疑いもなかったよ。ただ、もしまた次回作があった際にクリスが監督を続投するかどうかはわからない。ストレスもかかるし、非常に長い時間を費やす仕事だから。僕としてはもちろんまたクリスに戻ってきてほしいけどね。


ーー『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『スター・トレック BEYOND』などで脚本家としても活躍しているあなたにとって、脚本家としてのクリストファー・マッカリーはどのような存在でしょうか?


ペッグ:クリスは『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞脚本賞を受賞した経験もあるし、脚本家としてもすごく尊敬しているんだ。構成や物語、キャラクターを作り上げる達人だね。自分が出演している映画の脚本に対して、時には「僕の方がうまくできるかもしれないな」と思ってしまうこともあるんだけど(笑)、クリスの場合は全くそんなことはない。次は一体どうなるんだろうと毎回ワクワクさせられるんだ。今回は完成した脚本はなくて、撮影をしながら脚本が生まれていくという状況だったんだけど、クリスはそういうプレッシャーの中で仕事を進めていくと、さらに力が発揮されるタイプだったね。


ーートム・クルーズとは今回4度目のタッグとなりましたが、役者として、そしてプロデューサーとしての彼の魅力を教えてください。


ペッグ:役者、プロデューサーというよりは、トムには“フィルムメーカー”という言葉がぴったりなんだ。クレジットとしては主演と製作ということになるわけだけれど、脚本に対してのアイデアをはじめ、映画製作の過程において、それ以外のこともたくさんやっているからね。とはいえ今回は、役者としてのトム・クルーズの顔から、製作者としてのトム・クルーズの顔にハッキリと変わった瞬間があったのは事実だね。


ーーそれはどのタイミングだったんでしょう?


ペッグ:ノースタントでトムがビルの屋上からジャンプして、壁面に激突して骨折したときだよ。それまでは役者として撮影に臨んでいたトムだったけど、骨折したことがわかった瞬間に、撮影が中断してしまうこと、製作期間が長引いてしまうことなどを考えて、必死で体を動かしてそのシーンの撮影を終わらせたんだ。僕は普段、トムを役者とかプロデューサーとか区別して見たことはなかったけど、そのときが唯一だったね。トムは本当にものすごいフィルムメーカーだよ。(取材・文・写真=宮川翔)